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ロクストの保育園

 次々と通知の音が鳴っている、ラピスラズリ達が現地の子供達によって名付けられているのを知らせる音だ。コーマが創ったラピスラズリ達はエプロンを付けている。そのエプロンのお腹部分にある絵は花の絵が主だが、ネタ切れしたのか、食べ物の絵もあったりするのだ。


 ラプールの子供たちは素直に、その絵にちなんだ名前を付けていた。良い解釈をすれば、分かりやすい。悪く言うならば何のひねりもない。だがそれでいいのだ、子供達がラピスラズリ達に親愛の心を込めて名前を送っているのだから。


 「そういえば、ロクストの保育園もそろそろ完成する頃かしら?」


 ラプールの方は順調に完成し、稼働している。ロクストはラプールより随分数が少ないが、建設中だ。シュミカもラプールでバナナを配り終えたら、ロクストへ向かうと言っていたので、もう少ししたら、ロクストの保育園も稼働できるようになるだろう。


 ロクストの方での、名付けがどうなるかがちょっとだけ気になる。


 『アイリーン様、ちょっとよろしいですか?』


 珍しくネルちゃんからの通信だ。この子は大抵自分で解決してしまうので、事後の連絡はあったとしても、このように相談するように話しかけてくることは稀だ。


 「ええ、大丈夫よ。どうかした?」


 『ええと、保育園なんですが、こちらの人口の増え方が結構凄くてですね、派遣していただくラピスラズリさん達の数を多めにしていただけないかと思いまして』


 「あらそうなの、派遣人数が増えるのは別に構わないわよ?」


 『ありがとうございます! 保育園の規模も宿場町などの小さな町なら普通くらいで十分なんですが、ロクオウの分が結構大きくてですね・・・』


 「そんなに子供の人数多かったの・・・凄いじゃない!」


 元々はゴブリンとオークの村だったのが、今やロクスト最大の都市になっているロクオウ村。もう村とは呼べない規模だ。デフォルトの粗末な村からスタートしたのに、今では建物も最新の物だったり、2階建て、3階建てだったりする。浴場も一つから二つへと増え、今では10以上存在している。


 ロクストも貨幣制度はなく、物々交換が未だ主流で、農業区画や工業区画はあっても商業区画はないのだ。商業区画に似たものはあるのだが、商売をするところというよりは、レストラン街などに近い。

 農業区画や工業区画で作られたものがそこへ集められて、分配されるのだ。


 ラプールと違い、ロクストでは鉄などの金属類が採れる鉱山などが複数存在するため、ロクオウの中限定だが、貨物用トロッコが運用されている。魔術系統の発展はラプールの方が一枚上手だが、ロクストはそれを補うように人口が多い。最初全然増えなかったのをコーマが悩んでいたのが懐かしく思える。


 『2か所に設けたんですが、1クラス20人くらいとして、1か所に10クラス以上できる感じになっちゃいまして・・・流石にそれだけの人数だと面倒を見るラピスラズリの手も多くないとですよね?』


 「す、すっごいわね・・・シュミカが届ける予定のバナナもちょっと多めにするように伝えておくわ」


 『ありがとうございます! 食糧自体は全然賄えるんですが、ラピスさん達の事も鑑みて、多めに頂けるとありがたいです!』


 やり取りをしながら、ロクオウの保育園の建設予定地を見てみると、なんとかドーム何個分みたいな規模のどえらい敷地があった。よくこれだけの土地を確保できたもんだと、素直に感心する。

 中心に円形の建物が建っていて、クラスごとに園庭を仕切るようだ。バナナで仕切るようにするのか、直ぐにでも植えれるようにと、穴が掘ってある。


 「なるほど、クラス分けは住んでる所の方角で決める感じなのね」


 『はいっ、その方が通うにも負担が少ないと思いましたので』


 クラス別のお遊戯室だけだと、輪切りのパイナップルのような形だけど、中心はかなり大きくとってあるようで、全員が集まって何かする事を想定してあるのか、円形の体育館のようなものが建っている。


 ネルちゃんに色々話を聞いていくと、自分達で色々と話し合っていた時に、ギルにも相談に乗ってもらっていたらしかった。入園式や、卒園式、お遊戯会など、全員で集まる事もあるからと、今の形状にすることが決まったらしい。なるほど、ギルの発案なのね。


 「とにかく1クラスに2体ずつと、まとめ役に1体派遣する、でいいかな?」


 『はいっ! ありがとうございます!』


 大陸間交流が始まれば、ロクストの建築技術もラプールに流れてくる事になる。ラプールの町は、街並みがガラッと変わってくるところも出てくるかもしれない。

 それはそれで楽しみでもあるし、ちょっと寂しいような気にもなってしまう。まあ、建物などは、すぐにどうこうという事にはならないだろうから、じわりじわりと変わっていくんだろうけど。


 ちなみにロクストの転移門がある場所には、既に町が出来ていた。中々のスピードである。ラプールからの鉄道(?)技術がロクストに流れれば、中央から転移門の町へと移動する速度が格段に上がる事になりそう。


 私に何かできることはあるだろうか?

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