新しい使徒は
「へえ、魂ってポイントで作れちゃうんだ・・・そんでもって使うポイントは能力値に依存と」
適性値は高ければ高いほどポイントもお高くなっちゃうという訳ね、これはかなり考えてやらないと、後で後悔しないように。作れると分かっただけでも、結構な収穫だ。
でもシエルが戻ってから相談しつつ、創る魂の能力値を決めた方がいいと思う。私の独断では見落としもありそうだし、何よりシエルの部下になるわけだから、シエルが望む子を作ってあげたい。
はっ・・・これってつまりシエルの妹・・・! ということは私の二人目の子供?
そう思うと途端にまだ創り出してもいない使徒が愛おしく感じる。シエルがあれだけ可愛いんだから、妹も可愛いに決まってるわ。
いやでも待てよ・・・一人だけだと相変わらず手が足りないよね? シエルが望むだけ創ってあげれば、それだけ助かるのでは。
「とりあえず保留しておいて、シエルが帰ってきたら相談しよっかな、一応ポイントだけ確認しとこう」
保有ポイントを見てみると、なんだか恐ろしく貯まっている。桁の数がおかしい気がするが、いっぱいあるに越した事は無い。でもこれだけあるっていうことはだよ、私あんまり仕事してないってことでは!?
と、考えている間もずっと数字は増え続けている。そういやこれって確か文明度みたいなのがあがるとポイントが貰えるとか、最初の方に言ってた気がするけど・・・でも信仰を集めてもポイントが得られるっぽいのよね。多分文明がどーのよりも、そっちの方が獲得してると思う。
まあ、どっちにしろポイントを考えて使うとかは、気にしなくてもよさげだ。量産型をばんばん作ったとしても、多分大丈夫な程度には、ポイントは潤沢にあると考えていいと思う。
もしかして、わくわく交換ボックスも、黒字なのかもしれない・・・。もっと還元してあげたほうがいいのかなぁ、ラプールの人達ってあんまり物欲がないのか、要望有ったらどうぞって伝えてあるものの、今までに要望が上がってきたためしがない。
畏れ多くて言えないとか、考えなくてもいいんだけど・・・そういうわけにもいかないか。
「一人はシエルによく似た感じの子を作るとして、量産型もちょっと欲しい気がする。ラピスラズリみたいな感じのゆるいのでもいいけどねえ・・・でもあのギャップが耐えれそうにないわ」
主に笑いを堪えるのが耐えれない。私の腹筋が死んでしまう。
シエルが少女の見た目だから、それの配下がゴリマッチョとかも大変な見た目になるし、だからと言って幼女を量産してしまうと、私の趣味を疑われてしまいそう。
量産型は、人型じゃないほうがいいのかもしれない・・・でもなー、ゆるいとギャップがなぁ。
魂の作成画面を出しながら、うんうんと唸ってしまう。
よくある神の遣いって日本だとお狐様とかだし、いっそ普通の動物でもいいんじゃないかな? 神話に出てくるというと兎だけど、ラピンとかラピスラズリと被ってしまうからそれは却下として、キツネだとそれこそ日本の真似になっちゃうもんねえ。
だからと言って、ドラゴンとかは小回りが利かないし(偏見)ネズミとかの小さい動物も小さすぎてちょっとね。
「うぬぬ・・・」
「母様、戻りました。何やら難しいお顔をされておりますが、どうされましたか?」
眉間に皺を寄せたまま考え込んでいる間に、シエルが帰ってきた。流石仕事がお早い。
「いや~、シエルがあまりにも忙しいと思って、妹的な子を創ろうと・・・」
「い、妹ですか?」
「ええ、部下的な子が居れば、シエルの負担も減るかなと。作業を色々分担できれば、その分私達も色々と動きやすくなると思うしね」
「なるほど・・・部下」
「それでね、一人はシエルによく似た感じの子を創ろうと思ってるんだけど、更にその下にって思うとね、ぞろぞろ人型がいてもちょっとアレかなぁと」
「母様的には、魔物か動物が良いとお考えで?」
「流石私の事を良く分かってるわねえ、そうなんだけど、何の動物がいいかなと悩んでたところなの」
「それでしたら、フェンリルは如何ですか?」
「! フェンリルなら神獣だし使徒としての威厳的なのも十分ね・・・!」
あまりにも身近すぎて発想がなかったわ! そういえば、ウィードから貰ったフェンリルの宝珠とか使えば、ウィードみたいな賢いフェンリルが創れちゃうかもしれない。宝珠で一体創っておいて、残りを量産型にしたら群れを率いてくれるかも?
その事をシエルに伝えると、それはいいですねと賛同してくれた。妹タイプより、そちらの方が良さそうな気配がする。もしかして、まだ創られていない妹に嫉妬してたのかしら・・・?
でもそれを指摘したら、シエルが悲しい思いをするかもしれないし、これは胸にしまっておこう。
ウィードに貰ったフェンリルの宝珠を取り出し、これを元にフェンリルの魂を作成できる? と頭の中でシステム問いかけると、可能ですとアナウンスが流れた。
シエルと能力値云々を相談して、群れの長と群れを設定した。やはり二人で考えたらあっという間に決まってしまった。
新しい使徒の名前は「シルフィー」になった。




