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保育用魔物の見た目が決定した

 「さて、ギルの希望は多分アイリーンが却下してると思うから俺の方でも却下しておくぞ?」


 「えー・・・可愛いのに」


 「可愛いのは知ってるし、保育士にピッタリそうな感じも分かるけどダメ」


 現在シャリオンの管理室には俺とギルの二人だけがいる。サージェスはピンクのアレが気になっていたので、別室で鑑賞させている。画面からちゃんと離れて見るように言いつけてあるから、フラッシュにやられることはないだろう。


 「じゃあさ、色違いは」


 「それっぽいのはダメだぞ、後で俺が怒られるだろ。でもまあ、完全な人型よりはああいうまるっとしたフォルムの方が子供達には人気出そうな気はする」


 「でしょでしょ!」


 「曲線は偉大だからな。でもあからさまに人とかけ離れすぎてると、それはそれで怖がられる気もするんだ。見た事もない物に忌避感を覚えるのは本能みたいなもんだしな」


 「あー、そうだね、ロクストならともかくラプールはほとんど人族だしねえ」


 「というわけで、ふっくらしたおかーちゃん的なほぼ人型の魔物にしようと思う」


 「まるいのは決定事項なんだね」


 「曲線は人を癒すんだよ」


 子供達を抱きあげたりするときに、ふわっとしたお肉で包み込まれれば、きっと暴れる子も大人しくなるだろう。多分。


 「それってベ・・・」


 「違うからな? 人型だっつってんだろ?」


 「似たようなもんじゃん?」


 「とりあえず、ベースにする魔物を選んでいこう、そこから形をもりもり変えていけばいいだろ」


 新規に創れる魔物を一覧で出していき、比較的コストの安いものを優先的に表示させる。ゴブリンやオークはトリルにもいるし、別の物にした方がいいだろう。折角の新種族なのだから。


 「肝っ玉かーちゃん的にはオーガなんだが、それだとちょっと怖すぎるし、ポイントが若干高いな。ここはいっそ精霊系にしたほうがいいか・・・?」


 子供の世話をさせるには、なんとなく優しい見た目の方がいいのは確かだ。あと女性的な方が多分良いと思う。基本的に子供はお母さんが好きだからな。

 しかし、精霊系は低級ではコストが安いが、その分性能も低い。子供の教育という点を見ると、やはり教養はある程度必要となってくるため、低級の精霊ではその点が不安。


 「うーむ・・・ベースから弄るのは諦めた方がいいかもしれん・・・既に行き詰ってきた気がする」


 「やっぱラ「それはダメだっつってんだろ」


 言わせねえよ?


 「あ、でもあれか、オークのメスをベースにして、まったく別ものにしちまえばいいんじゃないか?」


 体系的にも近いものはある。オークならコストも安い。


 「一旦お試しで幾つか作ってみて、アイリーンに選んでもらってもいいかもね?」


 「そうだな、こっちで全部決定するのもアレだもんな、そうするわ」


 コーマはオークベースのおかあちゃん的魔物と、オーガベースの肝っ玉母ちゃん的魔物と、ラピンを擬人化させたような緩い見た目の魔物の3種類を試作としてアイリーンに提出することにした。


 「とりあえずさ、最後のは思い付かなかったからネタ用みたいな感じで言っといてくれ」


 「わかった、じゃあとりあえずアイリーンに伝えてくるね」


*****


 「というわけで、この3案がコーマから提出されたものになりまーす」


 ドン、とアイリーン達の前にコーマが試作した魔物の見本を並べる。丸い、非常に丸い。そして基本的に緩い。


 「う、うーん・・・? 最後のはかなり不思議生物っぽいよね? どこかで見たような気がするんだけど」


 「ああ、それはネタ用みたいなもんだって言ってたよ、ラピンをベースにしてるし」


 「!!! それかぁ! 可愛いっちゃ可愛いけど・・・これは却下かなぁ」


 「私は結構好きですけど・・・ふんわりしてて」


 まさかのシエルがネタ用を好むという結果に、ギルとアイリーンは驚きを隠せなかった。多分この場にコーマが居たら、何かしら吹き出していたに違いない。


 「人型とは離れてるけど、これだけゆるゆるの見た目だと確かに警戒はされないかも・・・?」


 シエルが気に入ったという点だけで、既にアイリーンの選択肢はラピンベースのそれに絞られそうになっている。


 「ま、まあ選ぶのは君だから・・・」


 ラピンベースのネタ用として作られたそれは、兎のような耳を生やしているが、本家よりは短くされていて、そして大きさも大人の人間ほどになっている。ラピンは手がペンギンだが、それはちゃんと手先が人間の手のようになっている。流石にすらっと長い手指というわけではないのだが。

 顔はペンギンに近いと言えば近いのだが、嘴は鋭くはない。構造は同じだが、嘴はひよこのように短くて、なぜか微妙にやわらかい。


 「これにエプロン標準装備したら、結構いい感じじゃない?」


 既にこれに決めようとしているアイリーンは、ノリノリでエプロンを付けると言い出した。シエルもそれにうんうんと頷いている。


 「それに決めるにしても、他のにするにしても、名前とか性能はそっちで指定していいよ、データだけ持ち帰ってコーマと最終的に詰めるから」


 結局ラピンベースになったのは言うまでもなかった。


 

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