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滅びから救うために

 時は少し遡り、シャイターン族を生き残り組にあてがい、天界へと戻った後。ふうっと一息ついて、シャリオンの模型の前に居住まいを正すと、コーマはこれからの事をサージェスに伝える。


 「これから順番に現在存在する魔物達へとコンタクトを取っていこうと思う。これからの事を考えて、シャイターン族のように人型になって、新しい種族となるのを選ぶか、現状維持を選ぶかしてもらうつもり、これについて何かあるか?」


 「いや、人が居なくなってそれぞれの種族同士で固まって過ごすようになってから、魔物達の血も濃くなりすぎていると思う。遅かれ早かれ待ち受けるのは種の滅亡だけだ。代行の考えには賛同する」


 人が居なくなって数百年、以前は各地に散らばってそれぞれのコミュニティを作っていた魔物達も数を減らし、外からの脅威がなくなると、その閉鎖的な性質は更に深くなった。

 閉鎖的になるということは、血のつながりも濃くなっていく。近親による弊害は、地球のそれと何ら変わりなく魔物達を蝕んでいる。


 「問題はないわけね、まあ極端な改造はしないつもりだけど、そろそろ鎖国もやめて貰わないとね、魔物も人も居なくなるって言うのは避けたいしな」


 「では、早速コンタクトをとる魔物を選んでいくんだろう? やりづらい相手からやるのか、話が通じやすい相手からやるのか、どちらがお好みだ?」


 「んー・・・そうだな・・・個人的にはやりづらいのからぶち当たるのが好きだが、やりづらさよりは種族が滅んでしまうまでの時間が短い方からかな?」


 ゲーマー的には難易度の高い事案の方がそそられるが、これはゲームではないので現実的な選択をしようとコーマは考えた。しっかりと考えての事だという事がわかり、サージェスは意外そうにコーマを眺めてしまう。


 「そんなに意外かよ? 俺だって真面目にやるときゃやるんだぞ?」


 それでもネルが居れば、ネルに任せてしまうんだろうけども。というオチは頭の中で考えて、一瞬でその辺に捨てておく。


 「ふ、分かった、ではそのように順を決めるぞ」


 元はシュウとサージェスが担当していた星だから、当然把握はしているだろうという事で、サージェスに選出の作業は任せるが、それは正しい選択だったようだ。


 あっという間に種の終わりまでのカウントダウンが短い魔物から、順番に一覧が表示された。


 「急ぎの案件ではないにしろ、ダラダラやってるわけにもいかねえしな、とりあえず最初の魔物の特徴とかざっと見てからウィードに連絡とってみるか」


 上から見てるのと、同じ大地にいるのとでは見方が変わるだろうという配慮。珍しくコーマの有能なほうの側面が垣間見れた。


 上位に来ている魔物達は、その特徴として、あまり子だくさんではない種族だ。蜘蛛系などは一度に生まれる子供が多いのでかなり下位の方にある。一度に一匹しか生まれなくて、尚且つ生涯においても然程子供を産むことが少ない種族。

 今でも滅んでないのは、その寿命が長い故。それだけの事だった。


 それ以外の理由での滅亡の危機に瀕している魔物、第一位に来ているのがなんと夢魔だった。サキュバスとかインキュバスとか、漫画だとエロ担当のアレである。


 人間が滅んでしまったため、本来の栄養を得られていない。人を媒介にして種族を残したりする特性があるため、それもできない。


 「なるほど、詰んでるな。これなら普通に種族作り替える話も聞いてくれそうではある」


 「そうだな、もう種族としてもほとんど数が残っていない。年老いた夢魔など、恐れる程の力などは持ってはいまい」


 「んじゃさっそく現地行ってみるか」


 「分かった、共は必要か?」


 「一人で交渉できそうなのがあれば、そっち行ってもらってもいいけどな」


 「そうか、では別行動で」


 「はいよ、一応気を付けて行けよ」


 「分かった、そちらもな」


 淡々としたやり取りで、早速分担作業に入る。サージェスがどの種族を選択するかまでは事後承諾というか、結果を教えてもらう時に知ればいいだろうと考え、詳しくは聞かずに目的地へとコーマは移動したのだった。


 鬱蒼と茂る森の中、そこの奥に少しだけ開けた場所があり、古びた洋館というか、幽霊屋敷のような建物が建っている。人が住んでいそうなたたずまいだが、ここに住んでいるのは魔物だ。人型ではあるが、現在種の存続の危機に瀕している。


 屋敷の手前に降り立ち、そこへ向かってゆっくりと歩いていくと、屋敷の入り口の扉がゆっくりと開かれていくのが見える。どうやらお待ちかねだったようだ。


 「これは、歓迎してくれてると考えていいのか?」


 そこからぞろぞろと出てきたのは、男女。だが、女性の方が多く見える。全部で10人程だった。よくこれで今まで生き延びていたものだと逆に感心した。年老いた夢魔たちは、全員が年齢数百歳とステータス画面には出ている。

 見た目はというと、ヨボヨボしているわけでもなく、ピチピチというわけでもないが、それなりに整った容姿をしているため、そこまで年寄りといった印象は受けなかった。


 「よう、神様代行としてきたぞ、お前達、新しい種族になる気はあるか?」


 とりあえず正面突破から。

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