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絵本を作ろう

 さて、シュミカに渡したバナナ達は栽培方法などの確立のため、暫くは時間が掛かると思うので、保育園計画は一旦保留にしておかなければならなくなった。

 まあ思いつきでここまでトントン拍子に進んでいったのは僥倖といえるだろう。有能な使徒がいるおかげですね、わかります。


 箱モノは一旦置いておいて、日常生活での現在の状況を確かめておこう。私が居なくなる前より格段に文化は進んではいるが、人々の生活はそう大して変わっていないようにも見える。

 便利なアイテムはアルケミスタで作成されていて、それなりに普及はしているのだけど、多分文化が急激に進み過ぎないようにシュウが心を砕いているのだと思う。


 一つ何かを作っては広め、作っては広めとしていると、そこまで急激に生活への変化は感じられないだろうけど、確実に一歩ずつ進んではいるのだ。


 私がシャリオンから持って帰ってきたマジックバッグはトリルで独自に進化をして、これは一家に一台といった感じで普及している。

 貨幣がないので、希少価値云々で高値取引なんてものはない。物々交換の応用でなんだかんだ上手く行っているようで何より。


 皆が同じような生活をしているため、誰かの一人勝ちみたいなのはないし、それによる妬み嫉みなんかは発生していない。


 誰かがオリジナルの魔法を考えても、一人でそれを独占しようという人はラプールにもいないしロクストにもいない。便利なものは皆で共有というのは最早トリルの常識となりつつある。


 「うーん、特にこれと言ったものが浮かばないわぁ」


 「母様、何かお悩みでしょうか?」


 「悩みって程でもないんだけど、今より生活水準をあげるとなると、何から手を着ければいいのかなって思ってね・・・」


 「大陸間の交流がなされれば、今より衣服の質はあがるでしょうけども、少し先になりますね」


 「そうよねー、大陸間交流が始まったらまた色々と進みそうな気はするんだけども」


 文明レベルが一段上がれば、また生活水準もそれに追随するんだろうけどね。


 「そういえば、図書館的な町あったわよね?」


 「? はい、ありますね、今ではかなりの数の蔵書があると思います」


 「図書館の本は人に読まれているのかしら?」


 「いえ、それほどではないですね・・・わざわざその町に行って読むといったことはされてないようです」


 「ということは、一般家庭では本はあまりお目にかかれてない?」


 「そうですね・・・そうなります」


 むむむ、せっかく本を作る技術はあるのに、その中身があまり人々に知られてないのは本としても可哀想だ。そんなに中身に魅力がないのかしら?


 「本の内容とかはわかる?」


 「各町の案内や、今まで作られた道具についての説明書的な本が多いですね」


 「あー、物語とか小説のようなものっていうのは・・・」


 「ほぼありません、物語としてあるのは母様に関するものだけです」


 なんということだ、折角本という存在があるにもかかわらず、娯楽小説の類はないなんて・・・。でもなー、地球やらシャリオンやらの物語とか読ませてもなぁ・・・。

 この星の者が読んで楽しめるようなものでないと、意味がないとは思う。子供が読む用の絵本とかでもいいんだけど・・・。


 「そういえば、ガルクさんはどうしてるかな?」


 「ガルクは転生後の現在はまだ子供ですね」


 「彼の能力で作られた本はあるかしら?」


 「女神に関する本のみですね・・・しかもそれは図書館には寄贈されておらず、彼の家にある分だけです」


 「うーん・・・創作の得意な、というか素質のある人を探して引き合わせたりした方がいいかもね」


 「何か本を作らせるのでしょうか?」


 「うん、最初は絵本のような子供でも読める物が良いと思うわ」


 地球の基準で行くと絵本作家だけど、流石にそれの適性項目なんてないだろう・・・と思いつつも一応検索して見ると・・・



 「意外にいるわね・・・」


 いるのか。絵本なんてトリルにはまだ存在してないはずなのに、絵本作家適性のある人が割といるのだ。心に空想を抱えている人なのだろうか? それともちょっとばかし絵心とか創作したい願望がある人なのだろうか・・・?


 「この中の適性の高そうな人をガルクさんに引き合わせるように、導いてみましょうか」


 「わかりました、比較的ガルクのいる場所から近い所に居る者を選出しておきます」


 「お願いね、そんでもって私はガルクさんの夢に潜ろうと思うわ。シュウみたいにいきなり尋ねたら驚きすぎてショック死しそうだし・・・」


 一瞬だけシエルは驚いたような顔をしたが、すぐに無表情になり、そして今度は「やばい、ありえる・・・」みたいな顔になっている。あの人の信仰心は結構振り切ってたからね・・・。


 選出した人には、以前から良く使った方法で、ガルクさんへと導いておく。到着までにガルクさんへ私が接触するという事で話が纏まった。これで自ずとこのトリルでの創作物が作られることになるだろう。


 さて、夢で会うガルクさんはどんな反応を見せてくれるかな?

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