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イメージ録画

 保育園云々はとりあえず今の所シエルとの会話の中だけの私の妄想でしかないのだけど、ノリと勢いでそれに付属する予定の超バナナを作ってしまった・・・。いやまあ有効活用するからいいんだけどね!


 「問題は、保育園の事をどう伝えるか・・・よね」


 シュウは乗り物の事があるから忙しいし、流石にあれもこれも頼み過ぎだとは自覚しているので、この件は別の人間がやるべきだと思う。シュウはまだ彼女もいない・・・はずなのだ。なのに子供の為の施設の事を任せるのはあまりも残酷な、いやいや気の毒な事だと思う。


 「そうですね、個人で発案するにはちょっと大掛かりな事なので、発言権のある人を誘導するか、女神像の前にお告げ文を表示するか・・・位ですね」


 保育園を立ち上げるにしても、個人の所有してる土地とかないしね、立地条件とかも話し合いで決めた方がいいと思う。私が直接保育園よろしく~って言うのは簡単だけど、自分達で気付いてやってほしいなんていうのは、都合がよすぎるわね。


 「夢で、こうしなさいみたいなのじゃなくて、子供たちが遊んでるイメージ的なのを伝えれたらなぁ」


 「母様、ここにそのほいくえんというものの模型とかは作れますか?」


 「地球に居た頃のなら・・・」


 流石に自分が通っていた頃の事は覚えてないので、学生時代の通学路にあった保育園を思い浮かべる。園庭があって、遊具があって、平屋の校舎がある感じ。


 記憶を手繰り寄せながら、目の前にそれのミニチュアが現れるように念じると、あの通学路に合った保育園の模型が出来上がった。わあ懐かしい~と思いながら、そのままではトリルバナナを植えるところが確保できてない事に気付く。


 「懐かしんでる場合じゃないわ、どこにバナナを配置しようかしら」


 「この囲いをバナナの木に変えてはどうでしょうか?」


 「ああ、記憶を頼りにして作ったからうっかりフェンスまで再現してたわ」


 園児が飛び出さないように通常保育園にはフェンスが設置されている。今のトリルにはフェンスを作る技術はあっても、資源があまりないのだ。ロクストにはあるかもしれないが、ラプールにはない。


 「とりあえず、フェンスをバナナにチェンジして・・・でもやっぱり囲いがないと不安だから土塀でも設置しておこうかしらね」


 「そうですね、町の中には乗り物が行き来してますからね」


 そこまで高くない土塀をセットして、これで大体こんな感じというのが伝わると思う。


 「それで、模型を作ったはいいけど、これをどうするの?」


 そういえば、シエルは模型を作ってくださいとは言ったけど、これで何をするのかは言ってない。


 「夢に流す映像を作るにしても、まずはこういう見た目などをしっかりイメージ出来ない事には難しいかと思いまして」


 「なるほど、外見はこれで、各自遊具で遊んだり、バナナをお昼に食べたり、皆でお遊戯したり基本の文字を学んだりしているプロモーションビデオ的なのを夢で流せばいいわけね」


 「ぷろもーしょんびでお・・・? は良く分かりませんが、ヒントにはなるかと思います」


 おおう、シエルは元地球人じゃないから、こういう横文字的な単語には弱いんだった。でもまあなんとなくは言いたい事が伝わったので良しとしよう。


 「問題は・・・」


 「その夢の映像の作り方がわかりませんね・・・」


 「う、うん・・・なんかそういうアイテムでもあればいいんだけど」


 自分の頭の中で映像を作る感じの、パソコンとかで映像編集はちょろっとだけやったことはあるけども、そういうのを保存しておくアイテムはここにはない。


 ないなら作ればいいじゃない?


 というわけで、イメージ的には水晶玉みたいなので、手を当てながら自分の頭の中で映像化したものをそこに流し込むみたいな。そんなアイテムを作る。


 やがて目の前に両手にすっぽり収まるサイズの水晶玉が現れた。多分これでなんとかなる。


 「母様、これは・・・?」


 「ええとね、自分の頭の中の映像を映し出して保存する水晶玉」


 ざっくりしすぎだとは思うんだけど、なんかこう上手く説明できないというか、地球文化を知らないシエルに説明できる自信がないというか。録画とかいう単語もないじゃない?


 「凄いです・・・!」


 おっとシエルの語彙力が死んだな? シエルも上手く言語化できないっぽいね、分るよ・・・。だって説明しようがないもんね・・・。


 「とりあえず、トリルにある集落の代表を全てピックアップしておこうか。夢で見せるのはもうちょっと経ってからの方がいいわね、シュミカに渡したバナナの事もあるし」


 増やし方とか、育て方を確立させるために預けたからね。何の準備もない状態で映像だけ流してもダメだと思うし。

 まあ、準備だけしておけば、いつでも取り掛かれるので、実行に移す手前のところまで作業を進めておけば後が楽なのだ。


 「はい、ではそちらの水晶玉への映像の提供はお願いしますね、私はピックアップしておいていつでも実行できるように準備しておきますので」


 流石シエルは良く分かってらっしゃる。

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