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元居た場所へと突き返す

 暫くすると、シエルが戻ってきた。落ち込んでいる風にも見えないし、どうやら無事に任務をこなしたようだ・・・? ちょっとばかり中身が気になるけど、それはそれで怖いので聞きづらい。


 「おかえり、シエル。大丈夫だった?」


 ううっ、無難な感じにしか聞けない私ったらチキンすぎるわ。


 「はい、特に暴言も吐かれませんでしたので、大人しく聞いて頂けました」


 ギルも苦戦というか匙を投げるような二人が大人しく話を聞いた・・・だとう? えっえっ、どんな裏技使ったのかしら・・・聞くのが怖い。


 「そ、そう・・・」


 恐ろしい想像はしないでおこう。あと、シエルを怒らせないようにしようっと。大人しい子は怒らせると怖いもんね!


 『おーい、ギルそこにいるかい?』


 「いるけど」


 『こっちの準備できたから、そっちにいる二人を連れてきてくれるかい?』


 「ん、わかった。すぐにでも連れていく」


 『お、おう』


 どんだけ嫌だったのよ・・・デミスも若干引いてるレベルでの応答に私もちょっとだけ引いたわ。ギルは優しいから、許せなかったんだろうなぁ。神様なのに、ほんと・・・人間くさいというかなんというか。


 「短い間ですが、お世話になりました・・・」


 「お世話になりました・・・」


 「いえいえ、お役に立てずにごめんなさいね」


 すっかり大人しくなった二人は、私に一応挨拶しに来てくれた。私は特になんもしてないけどね、デミスに怒鳴り散らしただけだよ?

 お辞儀から顔を上げた二人が、若干引き攣った顔をしたのは、多分私の背後にいるシエルを見たからだろう。シエル、貴方ほんとに一体何を言ったの・・・?


 二人とギルを見送って、白い部屋は静寂を取り戻した。


 「ふう・・・なんかバタバタしちゃったね、気分転換にラプールの電車的なやつどうなったか確認してみよっかな」


 「そうですね、祭り以来になりますから、多少は計画も進んでいる事と思います」


 祭りの前に言っていた、大陸横断鉄道的なアレね。大陸間交流を始めるにあたって、一番遠くの人達は交流したくても遠くて出来ないのは気の毒だっていうことから始まった一大プロジェクトだ。

 レールを敷くのか、どうやるのかはまだ全然決まってなかったんだよねえ。


 「よし、じゃあシュウは今何してるかな~?」


 現在地を見ると、どうやら自宅にいるようだった。よしよし、今なら会いに行っても良さそうね。一応先ぶれを出しておこう・・・。手紙というか、授業中によく友達から回ってくるタイプのメモに近い手紙。あれを送っておく。


 拡大してシュウの居るところを見てみると両手でまるのジェスチャーをしている。手慣れたもんだねえ。


 「お久しぶり~」


 「おひさ~、なんかちょっと疲れてる?」


 シュウは気遣いの出来る子ね!


 「ま、まあちょっとバタバタしててね。もう大丈夫だけど」


 「そっか~、まあそれは置いといて、丁度良かった。大陸横断鉄道的なアレでちょっと今行き詰っててさあ」


 「どのへんで詰まってるの?」


 シュウに詳しく聞くと、どうやら人員不足に悩まされているらしい。レールを敷くのは技術的に問題ないのだが、そのレールの整備をする団体を立ち上げるにしても、人手が足りないと。あと、ラプールにはそこまで規模の大きい鉄の取れる場所がないために、資源的な問題も浮上しているんだとか。


 「うーん・・・じゃあさ、折角魔法がある世界なんだから、リニア的に浮かせるのならどう? それならレールもいらないし」


 「なるほど・・・電車の方に引っ張られ過ぎてそれは盲点だったな・・・」


 「風魔法の応用でなんとかなりそうな気はするのよね、停止用に前と進む様に後ろ、あと浮かせるための下にそういう機構を取り付けてさ」


 「通り道は土魔法で作ればいいな、壁を作っておいて、町の近くで通り道用に開けておいて踏切的なのを作っておけば事故は防げそうだ」


 流石シュウは理解が早い。現物を知ってるというのはかなりのアドバンテージだよねえ。ない物を作るにしても、それの元になる物を知っているのと知らないのとでは発想に差がでるものね。


 「それならコストもかなり抑えれるよね、まあ貨物用と人を運ぶ用は分けた方がいいとは思うけど、重量的に」


 「結構なパワーが必要になりそうだな・・・空の魔石の大きさって指定とかできたっけか」


 「交換ボックスの項目に増やしておこうか?」


 「頼むわ、今まではそこまで大きな魔石じゃなくても十分な物ばっかりだったからなぁ」


 確かに今まではこんな大きなものを作る事もなかったしねえ。大体人力で解決してきたしね・・・折角魔法があるのに。


 その後町の停車場には車線を多く設けて、留まったりする用や、メンテナンス用やらで用途をわけたらどうかという話もした。やっぱ一人で考えるより、二人、三人と多くで意見を出し合った方が色々と話は煮詰まるもんだね!


 「今日はありがとう! おかげでこの計画も前に進めれる!」


 「うん、頑張ってねぇ~」


 元神のバタバタがあったけど、シュウとの時間のおかげで色んなモヤモヤした気持ちもリセットできたみたい。


 完成が楽しみだなぁ~

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