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国の成り立ちって・・・?

「あれ?ギルなんか元気ないね?」


いつもの6時間の降臨を終えたシュミカが白い部屋にいるギルに声を掛ける。


「ん?そうかな?」


なんでもないように笑顔でギルは返すが、その笑顔もどこか引き攣ったようなぎこちない笑顔だ。

疲れているようでもあり、思い詰めているようでもあり・・・。


「一緒に大自然に包まれてみる?リフレッシュ大事よ神様だって!」


100%親切心のみでシュミカは提案しているのだが、シュミカはギルの元気のなさの原因の一つでもあるのだ。当然それをシュミカが知る訳もないのだが。


「そうだね、今度一度降りてみるのもいいかもね」


少し考えて返答する間にもシュミカはこんな植物があっただのこんな動物がいただの、あの花は

食べると美味しいだのと自分の作った大陸をギルに推してくる。

その様子に自然と柔らかな笑みが漏れる、やはり私の愛しい子らには敵わないなと改めてギルは思った。


そういうやり取りをしていると、アイリーンとコーマがほぼ同時に現れる。


アイリーンは大陸で国ができない~とか言ってたけど、大陸の人々の食生活が徐々に良くなってきているので

割とホクホク顔だ。

高校時代からの親友がニコニコしているのはシュミカにとっても嬉しい事だ。


相変わらず使徒の適性を持った魂を持つ子が生まれないので、コーマはここのところ顔がずっとおかしい。

おかしいというのは、造りはイケメンなのに残念な感じにおかしいのだ。

時折発作的に「うがー!」とか言ってるし。ゲーム以外にもアイリーン経由で知り合って遊んだこともあるが、リアルも大体残念だった。イケメンとまではいかなくても割と顔は良かったのに・・・。


「今日は早かったのね、シュミカ。待たせちゃった?」


発展のペースは遅めでも充実した日々を過ごしているアイリーンはここのところずっと穏やかだ。

シュミカが下界に降りている事に対してはもう気にしていない。

寧ろシュミカが先程ギルに言っていたようにあーしたこーしたと報告するのを楽し気に聞いている。

気にしても仕方のない事だし、何よりシュミカが楽しそうなので「ま、いいか」となってしまっているのだ。


「ううん、ほとんど待ってないよ~、ギルに今度一緒に降りようかって誘ってたとこ!」


そう言われギルの方を見ると、眉を下げて苦笑しているのが目に入る。

どこか疲れているようにも見えるのが少し気になる。


「ギル、疲れてるの?」


ギルを見た反応はシュミカとアイリーンは流石親友といった感じである。


「はは、さっきもシュミカに元気ないって言われたけどそんな元気なさそう?」


困ったようにも照れたようにも見えるギルの様子は、言われてみないと普通そうにも見える。

いつもはもっと飄々としているというか、チャラいというか、軽いというか。

割と酷い評価をしているアイリーンであるが、悪い人(神)ではないと、一応は思っている。


「んー、普段に比べればって感じだけど・・・」


微々たる差だが、ちょっと気になるかな程度だと伝えると「こういう日もあるよ、神だって」と

軽く笑ったのであまり気にしなくてもいいのかも?と思えてきた。


「ところでアイリーン、国はできそうかい?」


あからさまに話題を変えてきたな、と思うが大体ここではそういう話が中心なので元気がない云々はもう

頭の隅に追いやって、その話題に乗っかる事にした。

考えてもわからないし言ってくれないのなら無理に聞くこともないだろう。


「うーん、町レベルはいくつか出来てきたんだけどねえ・・・」


この様子だとまだまだのようだ。


「俺のとこもまだ全然国とかいうレベルまでいってねえわ」


コーマのとこは町レベルもほとんどないが。大陸のでかさに対しての人口はかなり少なめなせいもある。


「そもそも、国ってどうやってできるもんなんだ?俺たちが生きてた時代だと全然参考になんねえよな?」


そう、現代日本で考えると国はほとんど固定されている。

稀に外国で国ができたりするが、他の国に認められて初めて国として立つというイメージだ。


「国の成り立ちって一番最初だと・・・神話の世界じゃない?」


「日本でいくとあれか、神様の子供の神に治めてこいとか言うんだっけ?」


うろ覚えの古事記などそんなものだろうと言わんばかりのイメージだがそこまで解離しているわけではない。


「抽象的というか漠然としすぎて参考になんない気が・・・」


神様が降り立ってそこに元から住む神様の娘を嫁に貰って、色々あって寿命がなくなって人間になりました、みたいな事から考えると良く分からなくなってくる。

神話の世界は神と人間が同時に存在するし、神同士も色々あるから確かに参考にはならない。


頭を悩ませつつ、少しだけコーマが言い淀む。


「愛着湧いてきたからあんまこういうのはさせたく無いけど・・・」


アイリーンはコーマが言おうとしている事に察しがついた。自分もその考えに至ったことがあるからだ。


「国の歴史は争いの歴史とも言う、争いが生まれれば国も生まれるんじゃないかって・・・」


理解はできる、現に国が現れては消えていって歴史を積み重ねてきた地球に住んでいたのだ。

学校で習う勉強で知りうる知識だけでも、そのくらいの想像はつく。

人類は宗教で、人種で、様々な要因で争ってきた。それも発展に寄与しているといえばそうなのだろうけども

自分の作った大陸に住む人たちが争って血を流しているのを見たくないのだ。


「ダメだ!」


突然の大きな声に思考が中断される、その声の主は



ギルだ。

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