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シンゲン

 お風呂に入ってさっぱりした後、ギルに連絡を入れると、即返事が・・・返ってこなかった。まあ届いてはいるだろうからそのうち返事が来るでしょと、軽く考えてから通信を切った。


 そういえば、ここに置いていったちょっとクセの強いカピヴァラさんも元気にしてたよ。久しぶりの再会を彼も多いに喜んで(某、こうして再び女神殿に相まみえる事が出来て、感無量であります!)って。


 見た目がまんまカピバラなのに、言ってることが武士すぎるわ・・・。


 「そういやあのカピヴァラさんは、なんて呼ばれてるの?」


 コーマはなんか武士ヴァラさんとか言ってた気がする。ネルちゃんはぼっちヴァラさんとか・・・あの二人のネーミングセンスって結構似たり寄ったりだよね。


 「んー? そういや特にこれといった呼び方はしてねーな」


 名前がついているわけではないらしい。風呂の子とか風呂の奴とか、とりあえずお風呂にまつわる何かみたいな感じだそうだ。間違いではないけど、相変わらず狼達はいい加減でゆるゆるだ。そこが居心地の良さにも繋がるんだけどね。


 「折角だから、希望があれば名前つけてあげよっか?」


 この星で唯一のカピヴァラさんなのだ、いつまでも名無しのままではなんだか気の毒だし。


 (なんと! 女神自ら某に名前を付けて下さると!!!)


 可愛い見た目だけど、背後に涙を流しながら喜んでいる武士のおじさんが見えた気がした・・・。


 「どんなのがいいとか、希望はあるかな?」


 (付けて下さるだけで十分にござる! どのような名前でも受け入れる所存!)


 どんなのでもって言われると逆に困るなぁ・・・既にイメージがめっちゃ武士なんだけど。でも苗字とかないしな・・・変な名前は私が付けたくないし、結構これ悩ましいな!


 色々名前の候補を頭の中で上げていくけど、見事に漢字の名前しか浮かんでこない。某とか言ってるし、一応オスだよね? チラッとステータスをチェックすると、オスと表記されていたので一安心。

 この言動でメスだったら・・・やめよう、今は名前を付ける事に専念するのよ。


 どうせここには日本人なんていないし、有名な武将とかから頂いちゃおうかしら? 武将で温泉とかお風呂とかって言うと、なんか武田信玄しか浮かんでこない・・・しんげん・・・シンゲン・・・あ、結構いいかも? 信長って感じではないし、秀吉って感じでもない。

 風呂から離れて、他に何か・・・忠義の武将っていうと、あれか、平八郎さんとか。長いか。


 「うーん、やっぱシンゲンがいいかな! 温泉と言えばシンゲン!」


 (シンゲンでござるか! 素晴らしい名前を授けて下さり感謝しますぞ女神殿!)


 へへーっと平伏しているようなモーションを繰り返しているシンゲン。手足短いから平伏かどうかも分かりづらいけど、多分平伏している・・・多分。可愛いのに名前と言動が渋いせいで、ギャップが凄い。


 すると、シンゲンの上に表示されているステータスがピカッと光った。一瞬だったから何事かと思ってよく見てみると・・・


 <シンゲン>

 カピヴァラ(シャリオン種の始祖)

 女神の加護を受け、シャリオンの独自種として進化した。

 自らの意思で子を作る事が出来る。(必要アイテム:温泉に1年浸けた魔石)


 温泉で子供作れちゃう種族になった・・・私の名付けってそんな無茶苦茶な効果あったんだ。ちょっとびっくりした。

 それにしても、シャリオン種の始祖て。まさかシャリオンでこれから生まれてくるカピヴァラさん達は、皆あんな喋りになってしまうんだろうか・・・?


 「母様・・・」


 ステータスを見たと思われるシエルが、私の方を見ていた。名付けがこんな効果出るなんて知らなかったわよ!?


 「ま、まさかここまでの効果が出るとは思ってなかったわ・・・」


 「どーしたの? カピヴァラさんに何かあった~?」


 ただならぬ様子の私達を見て、シュミカがこちらへとやってきた。狼達と遊んでいたけど、一応こっちも気にしてくれてたのね。


 「いやさ、ここに連れてきた子に名前つけたら・・・御覧の通りよ」


 「はえ? どれどれ・・・?」


 シュミカはシンゲンのステータスを見て、盛大に吹いた。私の背中をバンバン叩きながら必死に笑いを堪えている・・・一応笑いを我慢してあげてるところは評価してあげよう。


 「温泉に一年浸けた魔石て・・・!」


 あ、シュミカの笑いのツボそこだったの。名前に関しては特にノーコメントなわけね?


 「じゃあ、早く仲間が出来るようにいくつか浸けておく? というか、魔石ってここにある?」


 トリルに魔石文化は一応あるが、空の魔石に皆で魔力を込めるパターンしか存在してないので、手持ちの魔力入り魔石はない。持ってそうなウィードに尋ねると


 「あー、ずっと他の種族とは戦いも交流もしてねーからな、どっかにあるとは思うが・・・」


 「そっか、じゃあ普通に探すしかないかぁ」


 「母様、この森の中に魔石の反応がありますね、ちょっと行ってきます」


 流石シエルだわ、私の意を汲んでくれることに関してシエルの右に出るものはいないわね!


 数十分後、色とりどりの魔石を抱えたシエルが帰ってきたのだった。

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