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復活祭・献上品のあれこれ

 「おぉぉ、すっごい・・・」


 シュウの町では、様々な魔道具が開発されていた。あと、隣の町とも協力し合って、生活に役に立ちそうな魔法も開発されていた。

 魔物の星、今はシャリオンでのお土産として渡したマジックバッグも、ラプール風にしたものは勿論の事、それを応用したものも既に開発済みという。


 魔法の町では付与魔法の開発に力を入れていて、シュウの町で作られた物や、他の町で作られた道具に色々と魔法を付与しているとのこと。よくあるチート系云々みたいな規模のではなく、ささやかな物なのだけどね。

 あと、スクロールなんかも出来てた。いつの間にか魔法陣開発までしてたとは・・・。私が居ない間に随分と魔法関係の技術が進化している気がする。


 よく魔法が進み過ぎるとそれに関する技術が遅れるというから、そこはかなり心配だったんだけど、そこはシュウがその辺の杞憂もちゃんと皆と相談してくれていたようで、これで満足してはいけない。技術を持つ者はこの魔法より更に便利な物を追求するのだ、と。


 職人魂をくすぐるワードをよくご存じでいらっしゃるわぁ。


 「おぉ、ポーション類もいっぱいできたわねー」


 ポーションのラインナップもかなり充実している・・・私が居なくなる前なんて、まだ5種類くらいしかなかったような気がするんだけど。あと瓶の形状も用途によって違ってきてたり、ラベルが張って有ったりする。

 錬金術で瓶は作れるものの、色んな形状にするには他の加工もいるって事で、他所の町にガラス加工について色々と伝授したり共同開発したりしてたそうだ。


 「味も色々と拘ったそうですよ」


 「あー、元々ポーションはお薬だからね・・・苦かったら飲むの嫌よね」


 「ええ、その苦みを取り除く事にかなり力を入れたそうです。今では色んなフルーツの味になっているそうですよ」


 「おぉ・・・子供用のお薬みたいなことになってるのね」


 粉薬や水薬なんかは子供が飲みやすいように、甘くされている事が結構ある。大人が苦い薬を飲めるのは、我慢するからだ。できれば美味しい方がいいに決まってる!


 良薬口に苦しだけど、口に美味しい方がそりゃいいわよねーなんて話をしながらシュウの町で捧げて貰った品々を見ていく。


 ポーションは万能薬みたいなイメージがあるけど、ラプールでのポーションは普通に飲み薬として使用されている。風邪を引いたときは、風邪用のポーション、お腹痛いときは腹痛用のポーションと、症状で使い分けている。総合感冒薬より、症状別のお薬の方が良く効くアレだ。


 「そういえば、ラプールにお医者さんていたっけ・・・?」


 「職業としては・・・いませんね」


 私の呟きにすかさずシエルが検索をかけてくれるが、ヒットはしない。ラプールには医者がいないのだ。各ご家庭の常備薬で済ませているらしい。


 「今はまだそんな妙な病気が発生してないからいいかもしれないけど、これからはもっと医療に力をいれてもいいかもしれないわね・・・」


 「そうですね、死にかけるほどの大けがを負う者はおりませんが、内臓関係は外から見えませんからね」


 「お祭りが終わったら、医療系の適性ある人を探して、ラプール初のお医者さんを誕生させないとね」


 「わかりました、ではそのように準備だけはしておきますね」


 まだ名前の付いてない町もあるにはあるので、そこに適性のある人が居れば万々歳なのだけど、そう上手く行かないわよねえ・・・?


 祭りの日程はどんどんこなされていく、倉庫のラインナップもかなり充実してきている。食べ過ぎで太る事もないので、そこは安心して食べれるのだけど、いかんせん品々の数が多すぎて食べるのが追い付かない・・・!

 これは・・・4年周期にしておいて正解だったかも。4年くらい掛けて食べるとかじゃないと、正直キツイ! 私の使徒になったんだからサージェスにも食べて貰おうかな? 流石にシエルと二人では消費しきれないほどの倉庫の食糧を眺めながら、サージェスを巻き込もうと画策するのであった。


 「いや待てよ・・・」


 私がトリルの総合管理人になるというのなら、コーマやシュミカも私の部下になるということ、表向きは。ということは、ここの食べ物を食べても問題ないと。そういえば手続きとかって私が関わらなくても大丈夫なのかしら?


 「あー、それは今申請中だけど、急ぎかい?」


 「ううん、そうじゃないけど、お祭りの食べ物多すぎでね・・・皆で食べれないかなって」


 先程思い付いたことをギルに相談していくと、ギルは普通に軽く答えた。


 「別にいいんじゃない? ラプールの人達は誰が食べたなんて見えないんだから」


 「そ、そういうもん・・・?」


 「そういうもんだよ、普通にお歳暮とか貰いすぎて困ってるからお裾分けとかあったろ?」


 「そんな生々しい事情良く知ってたわね・・・」


 難しく考えすぎてたかもしれない。だからと言って、ほいほい安易にそういう事はしたくないんだよねえ。気持ちをちゃんと受け取って、それからって感じだね。やるやらないは各ご家庭の事情にもよるけど、一旦仏壇にお供えする感覚。


 一旦倉庫に保管しておいてから、私が振る舞う形にすればいいのだ。

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