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続・復活祭

 なんとか初日の分が終わった。休憩ごとに、捧げて貰った食べ物をシエルともぐもぐしながら。


 「これが1か月続くのねぇ・・・」


 気が遠くなるような気もするが、皆がこれだけ丹精込めて作ってくれたものを捧げてくれることに対する喜びも当然ある。神の体は疲れを知らないので、全然疲れてはいないのだが、一日複数回るとなるとなんだかノルマのような感じもするのも事実。


 「母様、お疲れですか?」


 「ううん、疲れてはないんだけど、タイムスケジュールが結構詰まってるからなんとなく気持ちだけね」


 「なるほど、これは次に生かす課題ということにしておきましょう」


 「そうだね、改善できるところは改善した方がいいもんね」


 他愛もない話をしながら、今日貰った品々を整理整頓していく。休憩の間だけでは整頓する時間が足りないので、一日分を纏めているのだ。


 捧げものルームを2つ作り、一つは食べ物系、もう一つはそれ以外という感じで分けた。大きな倉庫ばりに作ったので、まだまだ余裕はある。しかし、食べ物に結構偏ってる気がするので、それ以外の方は埋まらなそうな・・・ま、まあ次もあるし!


 棚にそれぞれの町の名前を書いて、そこに陳列していくと、お店屋さんのサンプル食品のようにずらーっと並んでいて、中々いい眺めである。食べ物は天界へ召し上げた際に時間が停止されるので、ずっとこのまま何年何百年何万年と置いておいても腐らない。いや、その前に食べるけど。


 特に気に入ったのとかあれば、ギルを美少年人形に憑依させて、お遣いさせようかしら?


 「さて、今日の分はこんなもんね」


 「お疲れさまでした母様、一応明日の分のタイムスケジュールの確認をしておきましょう」


 次の日と言っても、私達は眠らなくてもいいので、余った時間は明日の分のスケジュール確認だ。祭りだというのに物凄く働いてない? でも、本来神様の仕事はこれがメインなのかな・・・?


 私達の居た日本という国でも、お祭りは年に1回で、大体が1日で終わる。何日間かやるところもあるけど、大きなお祭りだとそうなのかな。それは夜店事情でそうなっているのか、本当に何日もかけて祭事を執り行っているのか、外部の人間からは想像も付かないのだ。


 「明日も例によって例の如く食べ物系ばっかりだねえ」


 「食を豊かにすれば、人々の心にも余裕ができるって母様が仰ってましたからね、ラプールの人々は母様の気持ちを良く汲んでおりますね」


 「うんうん、ほんと私には過ぎた人たちだと思うわ」


 「そんな事はありませんよ、皆様は母様の事が大好きなんです。だからこれだけの物を作り出す事ができるのですよ」


 シエルからべた褒めされて、照れながらもラプールの人々が自分の事を好いてくれていると思うと、嬉しくて、もっともっと私も頑張らねばという気持ちになるのだった。


 それから、滞りなく祭りは進んでいき、あっという間に2週間が経った。


 「お、明日はとうとうシュウの町だねー」


 訪問する順番は、全てくじ引きで決めたという。よくある代表者会議などではこういうわけにもいかないんだろうけど、ラプールは誰かが権力を持っているわけでもなく、どの町が上位というものもないので、くじ引きですんなり決まってしまうのだ。小さい事ならじゃんけんで済むことだってある、平和だ。


 思えばシュウもまだまだ若いのに、大したもんだね。ラプールに来て、考えがガラッと変わったって言ってたけど、今のシュウならどこかの星を任されても大丈夫だと思う。

 まだ先の事だけど、シュウがこのラプールでの人生を終えたら・・・どんな選択をするのだろう。


 ガルクさんのように、次もラプールで生きる選択をするのか、それとも私の使徒になってくれるのか。なんだったら、私があのチャラ神にかけあって、どこかの星を任せる神に出戻りできるようにかけあっても・・・いやそれは寂しいからちょっと嫌かも。


 私の使徒になったら、サージェスと同僚になっちゃうのか・・・それはそれで面白いかもしれない。かつての上司が同僚。面白いのは私だけで、本人達は微妙な感じに思うかもしれないわね。

 地球時代の上司と同僚になったと想像して、私の表情も微妙な感じになると、シエルが心配そうに顔を覗き込んでいた。あらやだ、百面相してたかしら?


 「大丈夫よシエル、ちょっと昔の事を考えてただけ。心配するような事じゃないわよ」


 「そうですか、先程から色んな顔をされるので、どうしたものかと・・・」


 ごめん、ほんとごめん。百面相をどう突っ込んでいいのか分からなかったんだよね? 使徒の身としては、対応に困るよね・・・私がシエルの立場だったとしてもめっちゃ困るわ。


 「色々考えてたら、面白い事も面白くない事も浮かんできてしまってたのよ」


 「なるほど、私にはあまり表情がないと言われるので、どういった感情でその表情になるのかわかりませんでした」


 「シエルは生まれてからまだまだ年数が経ってないから、これからよ。これから色々学んでいくの、それに表に出さない美学みたいなものだって存在するんだから、気にしなくても大丈夫よ」


 「そうですか・・・?」


 納得がいったのかいってないのか、シエルは眉間に少しだけ皺を寄せて首を傾げた。これでも十分シエルの表情は進化していると思う。かわいい。


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