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わくわく交換ボックス

 「で、できた・・・!」


 ついに、ポイント台というかなんというか、わくわく交換ボックスが出来上がった!見た目はというと、物凄く悩んだ結果、ポストの赤くない奴って感じになったんだけど・・・ポストと違うのは、下の方に取り出し口が付いてることかなぁ?

 上の方に投函用の小窓が付いてるのはポストっぽいんだけど、下の方に魔石やら色々ポイントでゲットできるものを取り出す受け口を作ったのだ。安全に受け取れないといけないからね。


 取説も真ん中の空いたスペースに書いてあるし、その下には登録する時に使うスペースもある。まあ、指紋認証みたいな感じと思ってくれればいい。

 あと、魔力を注入するのは普通に触れるだけでも出来るんだけど、ほら、なんか形から入りたいじゃない? ということで、上部に水晶玉みたいなのを付けてある。そこに向けて魔力を注入するという感じ。


 このわくわく交換ボックスは、お祭りのお供えを頂きに行く際に、お祭りをしてくれてありがとうの気持ちを伝えつつ設置しようという事になってる。


 そして、ついに明日からなのである。


 トップバッターは、くじ引きで勝ち取った町なんだけど、その名も「パティシエール」・・・うん、多分特産品はデザート系なんだろうね?

 砂糖の実を作っている農家さんが多くて、デザートづくりに目覚めた人が多いから、お菓子の町という風な流れになったそうだ。


 お菓子の町とか夢のような話だよね。流石に住宅はお菓子で出来ているわけではない、当たり前か。


 私が居ない間に、ほとんど全ての町に名前が付いていたのにはびっくりしたけど、どの町の名前も結構分かりやすいというか・・・。私が居ても居なくても、そういう傾向は無くならないらしい。


 「みんな、喜んでくれるといいなぁ・・・」


 明日からのお祭りに想いを馳せながら、目の前にある完成したわくわく交換ボックスを眺める。リクエストでどのような物を所望されるかとか、色んな考えが浮かんでは消える。


 「きっと、喜んでくれますよ、母様」


 背後からシエルの優しい声が聞こえる。振り返るとシエルは丁度お茶を準備してくれていたらしく、紅茶のいい香りが漂ってきた。


 「あ~、いい香り~、そういえば一覧にはお茶の町もあったわねー」


 紅茶の匂いを嗅いで思い出した、町の中にはお茶の町があるのだ。紅茶の町と緑茶の町とコーヒーの町。ラプールは以前から3つの集落が固まっているので、自然と似たような町が出来てしまう傾向にある。紅茶と緑茶はわかるけど、3つ目のコーヒーは・・・豆とか作ったっけ? と思っていると


 「あのコーヒーの町は、正確にはちょっと変わったお茶の町というべきでしょうね」


 シエルはちゃんと町の情報を読み込んでいたらしく、私の疑問に答えてくれる。ほんとシエルが居ないと私はやっていけないと思うわ。


 ちょっと変わったお茶というのは、タンポポコーヒーとか、ごぼう茶とか・・・色んな食べ物とかを焙煎してお茶にしているらしい。その中でも一番人気が高いのがタンポポコーヒーらしい・・・。

 今度コーヒー豆が作れるように苗をどこかに配置せねば・・・と思うのだった。


 ちなみに、お祭りで最初に行く町の隣は和菓子の町とチョコレートの町らしい。カカオ豆なんて配置したかしら? と見つけた時思ったんだけど、私が居ない間にコーマが配置してくれたんだとか。

 たまにはいい事してくれるじゃないの、本人には普通にお礼だけ言ったけどね。たまにはとか言うと拗ねちゃうから。


 食べ物系の町が多いのよねー、麺類の町とか。牧畜が盛んな町も出来てた。うん、食が豊かになるのは全然オッケーだね! 


 大陸間の交流が始まったら、まず第一に服飾関係をどうにかしたいわね・・・。食事事情はめちゃくちゃ良くなってるけど、働き者ばかりだからか、おしゃれにはあまり興味がないみたい。

 階級もないし、パーティーなんかもない。誕生日のお祝いなんかは各ご家庭でやってるみたいだけど、そういうのじゃなくて、華やかな方ね。


 そうそう、結婚式も凄い地味なんだって! 今まであまりそういうのに着目してなかった私が悪いんだけど、神殿の私の像の前で二人が誓い合って終わりみたいな、簡素極まりないものらしいのよ。

 婚姻届けもないし、そもそも住民票とかもないわそういえば。まだまだラプールは発展途上なので、これからだね。シュウ君がそういうお年頃になる頃にはちゃんとそういうのもやりたいなぁとか思ってみたり。


 好きな子とかいないのかしら?


 ふとシュウ君のお相手とかが気になってきた。あの子は小さい頃から良く働いて、親孝行して、今では妹の面倒も良く見てくれている。恋愛なんてする暇なくない??


 このままシュウ君に頼りすぎると、あの子の婚期が逃げてしまうんじゃないかと急に不安になってきた。


 「母様、どうされましたか?」


 不安が顔に出ていたらしい。カップをソーサーの上にカチャリと置きながら、シエルはこちらを心配そうに眺めている。


 「ううん、ラプールにも恋の季節が来るといいわね・・・」


 我ながら良く分からない返しをしてしまった。

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