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因縁の昔話

 「いや~、美味しかった」


 「にゅふふ、そうじゃろうそうじゃろう、私の農園の食べ物達は優秀だからね!」


 「僕が寝てる間に、畑が進化しすぎてて、突っ込む気も失せちゃったよ」


 「これでも色々配慮はしてたんだよ? 品種改良なんかはちゃんと手作業でやったし」


 「さすがシュミカだねえ、えらいえらい」


 神としての力を使えば、またルール違反だとか言われかねないので、自力で出来る事はちゃんと自分の手でやり、どうしても必要な物があればコーマの力を借りていたのだ。えらい。


 「で、色々と話聞かせてくれるんでしょ?」


 アイリーンは生まれ変わって20年間の生活と、シエルが来てからの事、例のアレが記憶の封印を解いてくれたことなどを報告。


 「あっ・・・」


 「ん? どうしたのシエル」


 例のアレとのやり取りを説明している時に、ふいにシエルが声を上げた。


 「あっ、あの・・・申し訳ありません、今の今までご報告を忘れていました」


 「えっ、何の? 大体の事は聞いたよね?」


 「あ、ええ、事の顛末などはお伝えしたのですが、例のアレの人からの伝言を・・・」


 「えっ、伝言なんて貰ってたんだ・・・」


 「伝言と言うか、俺はアンタじゃなくてサージェスだと」


 「「「「・・・・・は?」」」」


 去り際に言われたのを、今の今まで言い忘れていたのだった。その意図は分からないのだが。


 「ギル、アンタは名前知ってたんでしょ? 例のア・・・サージェスの」


 「まあ・・・そりゃ知ってたけど・・・名前言うのも嫌だったし」


 「どんだけよ! てか、なんで名前なんか・・・まだ会う気なのかしら」


 「えー、まだ粘着してくるの~? もうやだよ~めんどくさい、農業だけしてたい」


 「今と何が違うんだよ!?」


 「意図は私にはわかりませんが、記憶のない状態の母様に罵倒されて、何か思うところでもあったのではないでしょうか? 何やら悔しそうな顔をしてらっしゃいましたし」


 「んー、悔しがるような事・・・あー・・・言った・・・かな?」


 「神をも恐れぬとはこの事か」


 「いや君たちも神じゃない?」


 「私は使徒ですが」


 「シエルがボケに回ってきた! ツッコミ要員が足りてないよ~常識枠急募!」


 「僕が常識枠じゃなかったの!?」


 「「「ないわ~」」」


 「・・・ノーコメントで」


 「なんか酷い扱いな気がするけど、いつもの感じが凄く心地いいね」


 「そうだね、こうやってわいわいやるの、ほんと楽しいっ!」


 「そういや気になってたんだけどさ、ギルとサージェスってどういう関係なの?」


 「えー・・・そこ聞いちゃう~?」


 「一応気にはなったんで。言えない事情があるなら別にいいけど・・・」


 あれだけ執着されていて、おまけに本人以外に迷惑が掛かっているのだ。特にアイリーンには聞く権利があると思う。


 「えっとねー・・・、なんで執着してるかは本人じゃないから知らないけど、元々は同じ星の出身者なんだよ僕ら」


 「地球じゃなく?」


 「うん、地球じゃないね。どこにでもあるような中世っぽい世界観の星だったよ」


 「星の説明がメタい」


 「そこは諦めて聞いて? まあそこで僕らは所謂幼馴染ってやつだったんだよ。仲良くはなかったけどね」


 「ああ、当時から仲良くはなかったんだ・・・」


 そこからギルは、当時幼馴染であり、ライバルのような関係だったサージェスとのアレコレをぽつりぽつりと話し出した。その星には階級制度もあり、ギルとサージェスは家格は同じ程度で、家同士も交流があったらしかった。何かにつけて成績を比べられる事が多く、ギルは気にしていなかったがサージェスはギルに劣る事の無いように必死に努力していたという。

 魔物の討伐に向かった先で、サージェスをかばってギルは命を落としてしまうが、結局サージェスもその時に命を落としてしまったらしい。


 その時に魂を拾い上げたのが、あのチャラい神様という事だった。


 もう何年経っているのか数えてもいないが、神になってからも、事あるごとにギルに突っかかってきていたんだとか。


 「三つ子の魂なんとやらだな・・・」


 物凄い執着心だと、三人ともドン引きである。その執着心が恐ろしく長い年数を経て、歪になっていったんだろうと推測する。


 「死んで神様になってまで、アイツに粘着されるとは思ってなかったよ僕も」


 「そりゃそうよね・・・」


 「一部の人にはウケそうな偏愛っぷりだねぇ。ヤンデレヤンデレ」


 「ヤンデレで片づけていいのかそれ、そもそもデレてなくね?」


 「そういえばそっか、ヤンだね!」


 「普通に病んでるって言え」


 「それもどうなのよ」


 サージェスについての事は理解できたが、数えきれないほどの年数を経ているのに未だに執着し続けるのかは本人以外は分からないということでこの場での結論は出た。


 「あー、ギル、魔物の星の狼達って移住とか・・・できないよね?」


 「うーん・・・アイリーン育ててくれた狼達だよね・・・出来る事ならなんとかしてあげたいけど」


 「はぁ・・・やっぱ無理かぁ」


 「担当が違う星は基本不干渉だからね、一応上と掛け合ってみるけど期待はしないで」


 「うん・・・できればいいなって事だから」


 ウィード達をトリルへ移住させるのは無理っぽかった。

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