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シュウに相談

 「というわけで、話を色々聞きたい」


 「いや、何がというわけなのかが分からん。あとギル様帰ってきたんだな」


 唐突にアポなし訪問で、更にこの発言である、流石コーマ。それは置いといて、と現状をシュウに説明すると、シュウは難しい顔をしながらも、シエルに描いた地図をもう一枚仕上げた。


 「どこに飛んだかが分かればまだなあ・・・俺が最期に見てからどのくらいの時間が経過してるかも分らんしな。町レベルなら朽ちてる可能性は高いが、砦や城なら辛うじてってとこかな」


 転生前の事なのに良く覚えてるもんだな、と感心しながらコーマは地図を見る。町は候補から外しておいて、砦のある場所を見てみる。


 「飛んだとこは別として、シエルならどこを拠点に動くかって考えたらどうだ?」


 「俺あの子の性格そこまで分かんねえんだけど・・・」


 「ええと、アイリーンに似てかなり几帳面だと思う」


 「そ、それだけだとちょっと・・・うーん」


 地図と睨めっこして、腕を組みながら唸る。几帳面という事と、慎重に動けと口酸っぱく伝えた事も加味して、まずは拠点を探すことから始めているはず。

 砦は倉庫などに状態保存の魔法が掛かっているのはシュウの良く知るところだ。ガワが朽ちても、地下の倉庫などは無事な可能性は高い。幾つか見つけたと仮定して、捜索するのに適切な拠点と考えると・・・。



 「セントール・・・が一番有力かな」


 「その心は?」


 「聞き方! いや、まあいいや。シエルは几帳面だから四方八方を外に向かって円形に捜索しそうな気がするんだよ。一応地図も渡してあるしな。となると、大陸の中央部分に当たる場所を拠点にすれば、効率的だろ?」


 「なるほど、一理ある」


 「まあ、確実とは言えないけど、多分・・・幾つかある候補の中だとセントールが一番有力だとは思う」


 「じゃあ、そこの砦を拠点にしていると仮定しよう。ギルさんや、座標はわかるか?」


 「ああ、その地図はかなり正確なように思えるし、大丈夫だと思う」


 「んじゃ適当に念話できるカピヴァラさんを連れてきて、伝言を頼むか」


 「手紙持たせるのはダメなのか?」


 「お前天才だな」


 「いやむしろなんで思いつかなかったんだよ」


 「念話念話と思ってたら手紙の存在を忘れていたんだ、許せ」


 「身に着けてる状態なら大丈夫だと思う。首輪とかに仕込んでおくとか」


 手紙を持ってるからこれ読んで、というのをシエルに伝えればいいだけなので、カピヴァラさんでもお遣い可能な範囲だ。あまり難しい内容だと覚えきれない可能性が出てくるので。


 「あと、なんかその状態保存の魔法とやらが掛かっている施設に、魔法図書館みたいなのってないのか? 記憶を取り戻す方法とかが書いてある本とかあれば尚良し」


 「まあ、そういう系の図書館はあるにはあるが・・・」


 「何か問題でもあるのか?」


 「流石に蔵書一つ一つまでは覚えてないからお望みのものがあるかどうかまでは・・・」


 「まあそこはシエルに頑張って貰うしか」


 「結局そうなるよな・・・。でも方法を手紙で伝えるんじゃないのか?」


 「方法はギルにしか使えないから、人間ヴァージョンのがあればなって思って」


 「一応神式のやつも持たせる手紙に書いておいたらどうだ? 一応図書館のある場所は地図に追加しとくけどさ」


 「そうだな、やれる事はなんだってやればいいんだ」


 「じゃあ早速神式の記憶を取り戻す方法を書いておくよ、あ、紙貰うね」


 最近は紙の供給も安定しているし、質もだんだんと良くなってきている。与えられた使命をより良いものにしようという紙すき職人達の努力の賜物である。きっとこの紙を見れば、アイリーンも質が上がっていることに気付くだろう。そしてその発展を喜ぶに違いないと、シュウは思った。職人たちのためにも、是が非でも記憶を取り戻してほしいものだ、とも。


 「俺も神なのに、ギルが何かいてるかさっぱり理解できんわ・・・」


 ギルがシャカシャカ書いているのを横目で見ながら、コーマは溜息をつく。シエルはこれを見て理解できるんだろうか?


 「まあ、これやっとくからさ、カピヴァラさんの選定してきてよ」


 「おう、りょーかいっと」


 ギルとシュウを置いて、一旦白い部屋へとコーマは戻る。そこで、ふと思った。


 「そういえば俺・・・ロクストに降臨すんの初めてかもしんねえ・・・」


 今の今まで足を運んだことはなかったのだった。今更である。だが、アイリーンもラプールに降臨したことはないはずだ、何せ降臨したら滅茶苦茶な騒ぎになってしまうのだから。


 「顔バレしてないし、大丈夫だよな」


 コーマがロクストを担当している神だという事は、ネルと覚えていればドラゴン一家くらいしかいない。そして顔を見た事があるのはネルだけだ。


 「ま、とりあえず先にネルに行く事連絡だけしておいてから行こう。余計な事で怒られたくないしな!」


 シュウのようにアポなしで突然訪問などしようものなら、ネルの雷が落ちかねない。神としての威厳ェ。

でも、きっと結局許してはくれるんだろう。でも連絡はする。

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