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母様に会うために

※シエル視点です


 見つけたのはいいのですが、すぐさま突っ込んでいくような真似は致しません。ここは慎重に行くべきでしょう。

 母様は、恐らく強制的に転生させられた時に、記憶を消されている可能性がある事。転生させられてからこの星の時間でどのくらいの年月が流れているか不明な事。

 これを踏まえると、いきなり会いに行って一緒に帰りましょうと伝えたところで拒否される・・・と思います。

 母様がこの星で過ごすにあたって、どの種族かはまだ分かっていませんが、その魔物のコミュニティに溶け込んでいる場合・・・無理に引き離すのは私にはできません。記憶を取り戻す事が出来たとしても、母様は苦しんでしまうでしょう。


 どうにか円満に解決する方法はないのでしょうか・・・。


 こちらの事情をお話するとしても、信じて貰えない可能性もありますね。ラプールにある母様の像を作っておきましょう、各地にこのような像があって、信仰されていますと説明する時に使いましょう。


 魔法はイメージが大事だとコーマ様も仰ってました。やってできないことはないと。


 拠点の近くにある大木を切り倒し、ゴブリンの集落で見た母様の木像をイメージします。その姿の通りになるよう加工するイメージ・・・中々調整が難しいですね、母様のお傍にずっといた私の意地でもあります、これはなんとしても納得のいくものを作らねば・・・!


 「ふう・・・少々張り切り過ぎてしまいましたね」


 2時間ほど掛かってしまいました・・・。早く連れ戻したい気持ちも当然ありますが、会った時の母様の反応がどうなるか考えると怖いのです。何か集中する事でもないと、怖気づいてしまいそうな。


 納得のいくものが出来るまで、少々造り過ぎてしまったのですが、母様の像を壊すなんてとてもじゃないですが、不可能です。この作品達はこの拠点に飾っておきましょう。


 20体ほど。


 さて、まずは母様の反応があった場所の付近で、一緒にいるであろう魔物の種類を探る事にしましょう。一気に移動せずに地図を確認しながらいく事にします。


 反応は遠い、遠いですが空を行けばそこまで時間はかからないでしょう。反応のあるのは、セントールより更に西、どのくらいの所要時間になるのかは、まだわかりません。


 飛んでいくときに、各地にある結界には注意を払っておかないといけませんね。油断は禁物です。


 飛ぶ前に、シュウの地図を確認しておきましょう。ここセントールはこの大陸の中央部分でしょうか。その更に西となると・・・、3つほど砦やら町やらがあるようですね。見つけたらマーキング用に母様の像を置いておくのもいいかもしれません。何せ20体もありますから。


 マーキングがあれば、移動する時に消費する魔力も節約できて一石二鳥というやつです。コーマ様がよく仰っていた言葉です。いい言葉だと思います。


 上空に上がり、再度母様の場所を確認、移動はしていないようです。さて、向かいましょう・・・!



 まず、30分ほど進んだところに、ボロボロの遺跡のようなものが見えました。ここは然程森が広がっている事もなく、ただ朽ち果てた遺跡があるような感じですね。石造りなのを見ると、砦でしょうね、おそらく。今回は地下まで捜索はしません、無駄な時間は省いておくのも大事な事です。

 母様の像を、その朽ちた砦の中心部分と思われる場所に設置。マーキングポイントを作成しておきます。ここまでの移動ならば、それほど大量の魔力を消費することもないでしょう。


 再び上空へと上がり、更に西へ向かいます。シュウの地図への記入も忘れません。第1マーキングポイントと記しておきます。


 更に進むこと1時間ほどでしょうか、小高い丘の上に複数の瓦礫と、あとは壁だったもの・・・でしょうか? ここは砦とは少し毛色が違うように感じます。中央部分にある瓦礫の傍へ降りてみると、砦だった場所とは素材が違うように見えますね。上質な素材のためか、痛みが砦よりマシな感じに見受けられます。

 シュウの地図を見てみると、この大陸にはいくつかの国が存在しており、その中の国の一つ、さらにその国の中心の都が該当するようです。王都と書かれています。トリルには国もなければ王も居ませんでしたから、どのようなものかは不明ですが、きっとこの上質な素材を見るに、栄えていたのでしょう。


 ここにはきっとその国の王なる者が住んでいたのでしょうね。主の居なくなったこの場所は酷く寂しい気配がします。なぜだかわかりませんが。


 瓦礫を少し片づけて、母様の像を設置しておきましょう。これでここも少しは華やかになるでしょう。


 少しだけ、何か胸を締め付けられるような感覚がしますが、これは・・・お腹が空いたのとはまた違った感覚です。私の体にも何か変化が訪れているのでしょうか?


 飛び立ち、母様の位置を再度確認すると、かなり近づいてきたのが分かります。地図を確認してみると、目測の位置が次に西にある砦のある場所と重なるように思えます。



 もうすぐ・・・もうすぐ母様の居る場所に・・・!

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