捜索4日目
※シエル視点です
この星へ来てから、既に三日が経過しました。初日はセントールの砦を見つけ、そこで倉庫の備蓄品を手に入れ拠点としました。
二日目はシュウの地図を手に、ここセントールから東西南北に存在していたであろう町のあった場所へと行きましたが、特に手がかりはありませんでした。この周辺には、特に強い魔物もいないようで、戦闘になることはありませんでした。
三日目、セントールを中心として更に外側へと捜索を進めましたが、未だ手がかりはありません。町のあった場所は、既に森に覆われていて、町があったという事がまるで感じられません。ですが、所々結界が張ってあるのが見受けられました。
シュウの推測が正しければ、夜叉鵺のような恐ろしい魔物を魔物同士の交配によって生み出してしまった、そしてそれによる被害が少なからず出たはずだという事。
魔物達は、本能的にそれを回避するようになったと考える事ができます。結界はその結果ではないのでしょうか。
今日は、昨日幾つか見た結界の中へ行ってみる事にしましょう。おそらく単一種族ずつしか存在していないでしょう。地図と照らし合わせてどの種族が生き残っているか考えて、対策を講じてから向かった方が良さそうですね。
結界を張れるということは、少なくともそれだけの知能がある魔物がいるということです。もしかしたら対話も可能なのかもしれませんが、警戒は怠らずにいきましょう。
まず、一番近くの結界の場所ですが、ここは恐らく・・・蜘蛛の魔物・・・でしょうか? その周辺の魔物の分布図を見るに、蜘蛛の魔物が一番生き残っていそうな感じがします。
糸を巧みに使う事を考慮して、それの対処を考えておかないといけません。糸は恐らく火に弱い、火の魔法をいつでも使えるようにしておきましょう。
一応マーキングをしておいたので、拠点から直接結界のある場所へと向かいます。結界がどのような物なのかは現地で分析してみる事にしましょう。
結界の外側から、気配を出来るだけ消して、移動先から結界の境界がある場所へは徒歩で向かうことにします。上空から見た感じでは、深い森で中の様子までは見れませんでした。
結界には触れずに分析することは可能なのでしょうか・・・? あ、出来るようです。注視しつつ、分析の事を考えていたら、普通に結界の仕様が見えました。
やはり侵入者を察知する結界のようですね。動物などにも反応するのでしょうか? ちょっと試しに兎などを捕獲してきて結界の中にいれてみましょうか。
周囲を探ると、大きめのネズミがいらしたので、捕獲してみました。私の事を怖がっているようなので、放してから脅かせば、森の中へと逃げるはず。
それでは、ちょっとした実験と行きましょうか。
ネズミは放すと一目散に森へと逃げて行きました。結界を通過する時、結界には特に何の変化も見られません。小動物程度では結界には特に反応しないようです。
もしかすると、魔力を持たない動物には反応しないのかもしれません。ということは、もし私が小動物に化けて入ったとしても、魔力を感知され、結界に弾かれるなり、結界内部にいる魔物に察知されるなりするかもしれませんね・・・。
先程のネズミの視界を奪う事ができれば、森の中が見れるんですけど・・・。ここでの魔法の行使は容易なようですから、案外上手くいくかもしれません。念のためマーキングをしておいたので、ちょっと視界と思考を奪ってみましょう。
森の中には走って入ったみたいですが、現在はどこかに潜んでいるようですね。ネズミの体で辺りを見回すと、暗い森のようです。上空からほとんど森の中が見えませんでしたから、暗いのも理解できます。
魔法を使ってネズミの支配権を奪いましたが、結界の中に入っているからか、反応はしていないようです。森の奥の方に、複数の魔物の気配が感じられます。もう少し近づいてみましょう。
遠目から、かなり大きな蜘蛛の姿が確認できます。ラプールには、このような大きな魔物が居ない為、かなり大きく感じられますね。
もう少し近づいても、会話をしているようには見えません。言語能力などはないようですが、他の種族には聞き取る事のできない会話方法があるのかもしれません。
ざっと見たところ、人間の姿は見受けられませんでした。ここには母様はいない・・・。
ネズミの支配権をネズミに返し、地図に×印をつけておきます。追加で蜘蛛の森と書いておきましょう。次にここから近い場所の結界の場所へと向かいましょう。初日でやったガラスの反応を探るサーチの応用で、結界を条件に探ってみます。結界から結界はかなり距離があって、空白地帯がかなりあるのは助かりますね。密接していては、気が休まりませんし。
一番近い場所へ向かうと、そこには大きな湖がありました。どうやら、水棲の魔物がいるようですね・・・、これはハズレでしょう。シュウの地図にも湖というか、池が書き込まれていますが、それが大きくなったんでしょうね。
ここには▲を記しておきましょう、人間は水の中では生活できないですから。
そういえば、人間を条件に設定したら、簡単に見つかったりはしないでしょうか・・・。
結論から申し上げますと
見つけました。




