乗り物を引っ張る動物と、ゴム素材の木
「というわけで、新しい乗り物系の動物を考えましょう。」
「そうだな、俺んとこもそろそろそういうのが欲しい気がする。」
コーマのところにも、そういった乗り物系はまだないので、結構乗り気だ。ここにシュミカがいないのが残念だけど、出来上がったらプレゼントしようかな?
「条件としては、餌が安価で力を持久力があって、あとはそうね・・・丈夫なのがいいわね。」
「餌はまあ、出来上がってから考えたらいいとしてだな。パワー系と持久力系を掛けもちかぁ。」
バランスさえ取れていれば、そこまで特化したものでなくてもいいんだけど、欲張れるところは欲張っておきたいよね。
「まあ、見た目も可愛いのがいいけど。最低限のラインとしては、怖くない見た目・・・かな?」
「可愛いのは、俺が創るんだからちょっと無理が・・・。」
「言ってる途中でそう思ったから最低限のラインを設けたのよ?」
「ですよねー。」
馬はいる、ペガサスだとお空は危ないので却下。ユニコーンはなんだかクセがありそうでちょっとねえ。こう考えると、お馬さん系はちょっとパスかな?
そうなると、ドラゴン系(空を飛ばない)か、鳥系になるかな。流石にラピンみたいなのを巨大化させてっていうと、あまりにもシュールだ。
「移動時間短縮を考えると、それなりにスピード出た方がいいよな?」
「そりゃもちろんそうよ。遅かったら意味ないじゃない。」
「鳥とドラゴン掛け合わせたような感じのはどうだ?」
「ダチョウにウロコあるような感じ・・・?」
「まあ、概ねそんな感じ。」
それだとあまり可愛さは・・・いや、コーマが創る動物に可愛さを求めてはいけない・・・!
「なるべく可愛くする努力はする・・・、努力は。」
乗り物作る前段階だから、それ自体に乗れる方が、利便性としてはアリなのかしら。でもなー、そうなると数が必要になってくるし、生態系のバランスと維持費が問題になってくるよね。
「んでさ、折角乗り物作るんだったら、ゴムいるよな? タイヤが木だとガッタガタで乗り心地悪いってよく小説とかで見るじゃん?」
「あー、それもそうね。でもいきなりゴムって加工が難しそうだからさ、魔力を一度通すと変形自在なゴムっぽい木とかどう?」
「そうだな、いきなりゴムはちょっと厳しいな。熱を加えるでもいいし、普通だったら木材は乾燥させるところを水掛けると柔らかくなるとか?」
「水だったら誰でも水魔法使えるうちの大陸的には助かるけどね。」
「俺んとこも魔力は兎も角水魔法は風呂の為に大抵の奴が使えたはずだ。」
「じゃあその方向で。木は私が創るわね。」
「おう、任せた。んじゃ俺はドラゴンと鳥を足して2で割った感じの動物作るわ。カテゴリ的にはどうなるんだろうな?」
言われてみれば、ドラゴンは魔物分類? 鳥は動物・・・どうなるんだろ?
「新種の動物でいいんじゃないの~?」
ギルが適当に返事してくる。まあ、別にそこは拘るところでもないんだけど、ちょっと気になっただけよ。多分。
そして、各々が集中してそれぞれの担当ブツを創っていく。私はゴムっぽい木。見た目普通にしすぎると、判別が付きづらそうだから、その辺を考慮して、多少見た目が変わった物にしてみよう。
種は実の中に一つ、スーパーボールみたいな弾力のある感じの実にしておこう。実がなったら伐採可能の目印ということで・・・。うん、子供たちのおもちゃにもなりそうでいいんじゃない?
結局木自体は割と普通で、実がなるとカラフルな実が目印になるからそれで見つけるのは頑張ってもらおう。
「私の方は完成っと。そっちはどう?」
「可愛い顔が・・・思い浮かばん・・・!」
意外とコーマが苦戦していた。そんなにネタに走りたいのかしら? そんな事をすれば、ネルちゃんにまたしこたま怒られるんじゃ・・・、そうか、それが狙い!?
「言っとくけど、本気で悩んでるからな?」
また心を読まれてしまった。
「顔は鳥っぽいのでいいんじゃない?嘴の大きな南国に居る感じの。」
「オウムのでけーやつみたいなやつか?」
「もしくはチョコb」
「それはだめ。」
あーもうギルがいらん事言うからぁ! コーマがそっちに引っ張られて、それ系の見た目に変化しだした。いけない、このままではいけない・・・!
「コーマ、かっこいい系でもいいから! そこから想像力を離して!」
すると、まるっとしたフォルムからシュッとしたスタイルのいいフォルムに変化した。なんとかなった・・・!
「危なかったぜ・・・、こんなもんでいいか?」
そこには、大きな嘴の鳥。首は太くてちょっと長め、そして手は前にちっさいのが付いてて、足はすらっと長い。足の長いティラノみたいな体といえばわかりやすいだろうか? あと尻尾がある、ドラゴンの。
体は羽毛に覆われていて、手足だけウロコがついたドラゴンスタイル。見事に足して2で割ったなあといった感じ。よかった、例の可愛いアイツにならなくて。
「んで、名前はどうするよ? 木もだけど。」
「・・・その問題があったわ・・・。」
何よりの大問題がそこにあった。




