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一章 6話 竜姫の真実

 連続投稿です。自分で書いているがヒロインが可愛いと思う。

 しばらくして竜人が目を覚ました。さっきの炎の鞭が余程効いたのか竜人はヒメを見た途端、恐怖で縮こまってしまった。


「おい、しっかりしろ」


「あなた、何で私たちを殺しに来たのか話しなさい」


 ヒメが問いかけると竜人は細々した声で答える。


「………姫様は何故…………、里を出られたのですか」


「なんでって……窮屈だったからよ。あんな所にいたら何もできない……」


「さようですか………しかし姫様はご自分のために我らを殺すというのですか」


「……………」


 顔を青ざめさせるヒメは何故かその問いに答えない。


「そのようですな………」


「待て、どういうことだ?」


「人間、貴様にはわからんだろうな。姫様……いやこの竜のせいで巣がどうなっているのか。こやつはわかって出ていったのだ。こやつのせいで………」


 竜人が喋るたびにヒメは顔いろを悪くする。


「うるさい!!」


「がはあッ!?」


 我慢できなくなったヒメが竜人を黙らせるように蹴り飛ばす。竜人は草原をゴロゴロと転げ回る。

 俺はヒメの激情する姿にただただ呆気に取られていた。「はぁはぁ」息を切らすヒメの顔は青ざめ何かに酷く怯えるような様子だった。

 

「ぐふッ……八陰陽竜、隠風竜いんふうりゅうの我がこんな屈辱を味わうことになるとはな。これも全て貴様のせいだ!!竜の姫!!」


「黙れッ!!」


 再びヒメが隠風竜を蹴りつけようとするが俺が寸前のところで足で受け止める。力では俺の方が劣るため足に大きな怪我ができる。


「な、なにやってるの!?ラーシュ、怪我……」


「そんなことはわかっている。だが今、心配すべきなのは俺の傷じゃない。……お前のことだろ」


「なに変なこと言ってるの?私のことなんて……」


「『風の《ウィン》治癒ヒール。こうすれば俺の傷は治る。だがお前はどうだ?」


 俺の足を暖かい風が取り巻く。すると風で飛ばされるように傷が一瞬で消える。


「何故お前がそこまで焦る?お前がどういう状況で巣から出てきたのかは知らん。……だが俺がその程度のことでお前を避けるようになるぐらい弱い人間だと思うなよ。俺は誰よりも強いぞ」


 俺はヒメが反応できない速度で刀を抜き放ち、切先をヒメの鼻の先の寸前で止める。俺たちは互いを見つめあう。

 やがてヒメが恥ずかしさに耐えきれなくなり目を逸らし顔を真っ赤にしながら小さな声で……。


「……うん」


「ほら、お前も蹴られたくないならさっさと話せ」


「くっくっく、強がりな人間だ。………我が人間如きに従うのは癪だが、いいだろう」


「…………」


「こやつの親、つまり我々の族長は自分の娘、つまりこやつを溺愛していてな……、そんな娘が巣を出て行ったらどうなるかなど誰でもわかることだろう。………族長は荒れ、巣だけではなく我らもボロボロだ!全く馬鹿な理由だと思うがこれが我らの巣で起きたことだ。こやつ一人のお陰で我らは滅びる寸前だ!!」


「なるほどな。それでお前はヒメを連れ戻すためにわざわざ来たというわけだな」


「そうだ。八陰陽竜の一柱であるこの我がなぁ!」


「そうか、しかしヒメは俺が最初に捕まえた竜だ。欲しいなら力で奪い取るんだな。そのつもりがないなら族長に報告でもしてこい」


「今代の族長は歴代屈指の強さを誇る最強に竜だ。我ぐらい片手間で屠るようなお方だ。貴様如きでは勝つことなど不可能だ」


 隠風竜は嘲笑うような笑みを浮かべる。


「さっさと帰れ」


「がっ!?」


 奴の顔面に横蹴りを放ってやる。

 最後に一応殺しに来た憂さ晴らしに蹴り飛ばしておいたが……、あいつの来世はボールか何かかもしれんな。

 死んでるなんてことはないだろうから、ほっておいて帰ろう。


「今度こそ帰るぞ、ヒメ」


「うん!やっぱりラーシュは竜騎士を目指すべきだと思うなぁ」


「ないな」


「えぇー」


 いつもと同じ対応をするがヒメは今まで見たこともないような嬉しそうな笑顔で返事をする。



 


 門はすでにしまっていて入れなかったため再び転移で人気のない路地に移動した。

 街の明かりはほとんど消えるぐらい遅くに宿に戻ったが店員は変わらず対応をしてくれた。


 部屋に戻ってお互いに寝る準備をする。自分で言ったのに恥ずかしがるヒメは自然と口数が減っていた。そのおかげで部屋の前で聞き耳をたてていた店員に気づくことができたが………。ただの店員にあれだけの隠密技術があるとは………この世界も侮れないな。



 お互いに寝についたと思ったとき……。

 ゴソゴソと音が背後から聞こえてきたと思ったら、背中に何か暖かいもが当たるのを感じる。


「……おい、何やってる」


 正直、少し引いているが、思った疑問をそのまま口にした。


「私たち竜族は寝る時こうやって互いに身を寄せ合うの。一人で外にいる時はいつも一人で寂しかったから……」


 俺の背にヒメの背が寄りそう形で俺たちはベットの上で横になった。一人用のベットなのでほとんど密着しないと落ちてしまうため、なかなか離れることができない。


「はぁ、まぁいいんだが変なことをするなよ」


「う、うん」


 一応釘を刺したがどうにも不安だ。仕方ないのでそのまま寝に入ろうとするがヒメの声がそれを止めた。


「……ラーシュ、私実はお父様が巣をぼろぼろにするのはわかってたの。ただどうしても外の世界を見てみたくて、それで少ししたら帰るつもりだった……」


「…………」


 俺は黙って受け身で聞いた。


「帰ろうと思って、そこであのエルフの里を見つけて、なんか襲われてたから助けてあげようと思ったんだけど、巻き込んじゃってラーシュが現れたの。そしたら予想以上に冷たい反応するからどうにかしてやろうと思って、威厳のある風を出そうと思ったりしたんだけど………。そんなことしてるうちになんか離れるのが惜しくなっちゃて………」


「………いいじゃないか。人間ならだれだってそうだ。お前には竜には似つかない人間臭さがある。そこがお前と一緒にいてもいいと思える理由かもな」


「へぇ!?」


 安心させようとしたが、初めての状況にそれ以上何を言えばいいかわからなくなってしまい、俺はアワアワするヒメをほったからしにして無理やり寝入ろうとしまった。

 無理に寝入ろうとしていたが前の世界ではなかったことばかりが連続で続いたせいで精神面で疲れていたのか本当にすぐに寝入ってしまった。


 こうして気まずそうに寝る男と、アワアワ落ち着かない女が一緒に寝る不思議な構図が出来上がっていた。


 面白かったら星やブックマーク、感想よろしくお願いしますm(_ _)m

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