第24話:「真実」
薄暗い室内。
2人の男が相対してソファに腰掛けている。
時折、薄暗い室内に白い歯がこぼれる。ケタケタと陰湿な笑い声。
「あの桑田って奴もバカだったなあ」
男は黄金色に仕立てた短髪に手をやりながらほくそ笑む。
「なーにが、今まで通りの子供と大人が共存する世界だよ!そんな甘ったれたことばっか言ってるからろくな仲間ができねえ。あんな奴は生きてる価値もねえ。俺ら大人からすれば異常者だ。異常者の考えだ。ま、俺ら大人の遊び道具にちょうどいいな。まさかあんなあっけなく殺されるとは思わなかったけどよ」
金髪はぐびっとグラスの液体を飲み干した。カランっと乾いた氷の音が鳴る。
「もう世界がこうなっちまった以上、俺らは戦うしかねえんだ。今はそのための準備期間、かすみは俺たちをこの空間に閉じ込め、十分な食糧だけは供給し、軽度の鬱状態にする。軽度の鬱状態でうまく洗脳し、指令を出せば、人間は操り人形のごとく動くらしいぜ?
第二次世界大戦時のナチスもそうだった。ナチスの支持者は程良く裕福で退屈な市民だったそうだぜ」
金髪は得意げに白い歯をこぼす。
傍の黒い長髪は先程からピクリとも動かない。息をしているのかさえ怪しいくらいだ。
金髪はお構いなしに続ける。
「しかし、あのクソガキども早く殺してえなあ。あいつら毎度群がってやがるから、ちっとも手出しできねえ。あのチェックの女の子は仲間?あの子を拉致って尋問しても仲間じゃないってずっとほざいてたな。いい加減ムカついたからついつい殺しちまったがな。とりあえず、明日あの眼鏡女を呼び出すしかねえな。久々に下半身も疼くんだよな。最近してねえからな。あの眼鏡女、俺らのことをいろいろ嗅ぎ回ってるから、俺らのことについてもっと話すって言えば、ホイホイついてくると思うんだよな。ま、明日は久しぶりにお楽しみだぜ。ケケケッ……‼」
金髪は不気味なカラカラと乾いた笑い声を立てる。
しかし、黒い長髪は相変わらず動じない。
「よっしゃ!明日は一仕事だ!もう寝ようぜ、相棒!」
金髪はそそくさと自分のベッドの中に転がり込んだ。
黒髪に対して背を向け、フーッと溜息をついた。ややあって重厚ないびきが室内に響き始めた。
黒髪はしかし、未だに微動だにしない。
不快ないびきだけがひたすらに響く空間。
そしてまた、明日に惨劇は三度起こるのであった。