case.22 神雷継承
神様って何でもできるイメージありますよね
つまり、そういうことです
『―――其の未来砕くは我が地獄の業火。果てに見ゆは我らが大罪。其は今【憤怒】の炎にその身を焼かれ尽くすだろう』
ボウッ……と目の前に黒き火種が生まれる。
『―――其の魂喰らうは我が深淵たる破壊の暴魔。一寸先には暗黒、振り返れば絶望。其は今【暴食】たる我が雷に其たる全てを喰らわれるだろう』
広間の天井を覆い尽くす黒雲が現れた。
『―――其の概念を奪うは我が絢爛たる閃光。天の裁きと魔の怒りを執行せよ。其は今【色欲】なる光にその身を包まれ、其の魂は天へと還るだろう』
俺の手に、光が集まっていく。
「―――これより焉魔を実行する」
その言葉で、全ての準備が終わった事を周囲に示していた。
(保ってくれよ……俺の身体……ッ!)
『―――怒れ』
『―――喰らえ』
『―――溺れろ』
詠唱をする事で、魔法の威力は上がる。
今回はしっかりとした詠唱をお願いしたところ、三体とも惚れ惚れするくらいカッコいい詠唱をしてくれた。
それに応える形で、俺も全力でカッコつけている。
『『『我らが大罪の力と―――』』』
「魔王たる我の支配で―――」
『『『「汝を暗黒渦巻く理想の郷へと導こう」』』』
刹那、俺の身体に変化が訪れる。
長く伸びきった髪の毛は、俺の思いに答えるようにちょうどいい長さへと変わっていく。
さらに、今まで抑えきれていなかった膨大な量の魔力を制御出来るようになったのを感じる。
▶―――種族名に異常が発生。
しかも、こんな文章まで現れる始末。
一体……何が起こっているのだろうか。
▶―――スキルに不正アクセスを確認。
さらには、俺の身体にアスモデウスが準備した“焉光”が纏わり、右手に持つ光の鎌に“焉雷”が、左手に持つ闇の鎌に“焉炎”がそれぞれ纏わった。
▶―――制御不能。システムシャットダウンします―――
……おいおい、遂にはシステムがイカれちまったよ。大丈夫か……?
▶―――ククク……魔王。
……ッ?
▶―――詳しい事は後で話そう。今はただ、目の前に倒れている神の肉体を滅ぼせッ!
……まさか、お前……ハヌマーンなのかッ!?
▶―――さっきぶりだな、魔王。話は後だ、今は言う通りに動けッ!
ッ……!分かった!
俺は疑問と高揚感を抑えながら、焉魔の宿った神器を構えて技を放つ準備をする。
スキル『死神』の本領が、少し発揮出来るかもしれない。
このスキルが今まで通り文字通りの意味を取るなら、上手くやれるかもしれない。
伝説で出てくる死神ってのは、大抵命だとか魂ってのを刈り取るヤツだから……そのイメージで殺れば、もしかしたら魂すら残さず狩れるかもな。
俺は、少しずつハヌマーン(肉体)に近寄る。
生き物には魂がある。
その魂は、一つだけでは無い。
生物を大きく二つに分けると、肉体と精神の二つに分けられる。そしてそのそれぞれに、魂が存在するのだ。
今、この状況は恐らく、ハヌマーン(精神)が俺の中にいる。そして目の前にあるのはハヌマーン(肉体)だ。
実際、俺の中からハヌマーンの声がする以上、この仮設が正しいのだろう。
そして、生物は魂があれば、死んでも輪廻転生を繰り返す。たとえ肉体が滅んでも。
それは神も同じなのだ。
魂が一つでもあれば、輪廻転生し再び蘇る。それは生前と同じ姿かもしれないし、全く違う姿かもしれないが。
だから、魂一つ残さず刈り取る必要がある。
でなければ、復活してしまうから。
悲しき輪廻を断ち去るのは、『死神』である俺にしか出来ない事だから。
なぜだか、そう思った。
動かなきゃダメな気がした。
「なァ、アダムとやら。見てるんだろ? 今から貴様の仲間の一人目を殺す。テメェでも復活出来ないように、魂まで殺す」
―――あの時と同じだ。死だって支配してやるよ……ッ!
俺のその思いに答えるように、魔力やオーラは高まっていく。
天に向かって放った言葉を、さらに俺は続けた。
「―――だから、テメェも首を長くして待ってな。俺に生を刈り取られるまでな」
俺は、この戦いを見ているであろう神にそう宣言した。
すると、
▶―――スキルに『死配』ってのが追加されたぜ?
『死配』……懐かしいな。
でも確か、あれって『支配』の進化系だった気がするんだが。
▶―――知らねぇよ。いいから早くアレを殺しな。
あいあい……。了解しましたよ。
「そんじゃあ……一撃で決めよう」
俺は、焉魔の宿った双鎌を交差させて構える。
「―――“大罪魂喰”」
言葉通り、俺は一撃で終わらせた。
交差させた鎌を元に戻すように放つ。
神特効の力を持つ鎌による斬撃で肉体は消滅。その時に、『死神』の力で魂を回収・破壊した。
これで、ようやく全てが終わったんだ―――
『―――貴方を、この世界に呼ばなければよかった。心からそう思いましたよ、新たなる神よ』
そう、空から声が響いたが、その言葉を最後にその声は聞こえなくなった。
「何はともあれ、これで本当に全部終了だ。全員お疲れさん」
俺は倒れているサタール・アスモフィ・ルシファルナ・マノンや、呆然としているルイン、俺の中に居る大罪たち、そして何故か俺の中にやってきたハヌマーン(?)……全員に向けて軽く労いの言葉を言った。
「お疲れ様です……主様」
すると、この中で唯一元気な様子のルインが一礼してこちらへ来た。
「ああ、お疲れルイン」
「はい。何だか、凄まじかったですね……」
「ああ、そうだな」
するとルインは、周りを一目したあと、
「あの、私は皆様を治療室へ運んで、この惨状をお片付け致しますので……」
「ああ、助かる」
「それでは、また後で!」
そう言ってルインは立ち去っていった。
さて……俺はどうしようか。
『まあ、やる事は一つだろう』
『うむ、そうだな』
『邪魔なお猿さんだなー……』
……そうだったな。そうだ……そうだよ。
なぁ、ハヌマーンなんだろ?お前。
▶そうだ。我はハヌマーンだ。
全部、事情を話してくれ。
何で、お前は俺の中に居るんだ……?
▶汝も疲れているだろうから、早めに終わらせるとしよう。
そう言うと、ハヌマーンは語りだした。
▶簡単に言うと、これは全て我の我儘だ。我がまだ生きたかった、というかお前と戦っている内に楽しくなってきてしまってな。
それは、俺もだが……
▶神の力を全て使って、願ったんだ。【破滅の願い】、汝も聞いたことあるだろう?
……懐かしいな。
▶我は神としての生を終わらせた。その代わりに、このシステムスキル『Scarlet』に組み込まれたってワケさ。少々厄介だが、汝が死なない限り我も生き続ける事が出来るワケだ。
……待て待て、今なんて言った?
システムスキル『Scarlet』……?
▶そう、これだ。これがシステムスキルらしい。我はそれを乗っ取った形になるワケだ。これからは我がスキル管理をさせてもらうぞ。
ああダメだ。頭が痛くなってきた。
色々と起こり過ぎだ……。
▶では、最後に一つだけ。
……何だ?
▶我の力を全てを託そう。【雷】の十二神将ハヌマーンの力を……全て。
そう言うと、俺の身体に雷が宿り始めた。
手から、足から、電気がバチバチと起こり始めた。
▶これで、貴様はれっきとした神と成った。フフ……少しずつ眠くなってくるだろう。種族進化……本来なら絶対に起こらない事だが―――さすがは異世界人といった所か……
そのハヌマーンの言葉を聞きながら、コイツの言う通り、だんだんと瞼が重くなってきた。
……眠い……。
『……休んでな、魔王』
『ああ、貴様は働きすぎだ』
『へぇ、そんなに働いてるんだ!』
……じゃあ……お言葉に甘えて―――
そう言い残して、俺はその場に倒れ込んだ。
だが、ただ寝ているだけだから、大丈夫だ。
今は、少し頭を回復させてくれ……。
さすがに……疲れた。
▶種族進化―――『半神』から『神』へ変化。
▶再度種族進化―――種族『神』とスキル『悪魔』とスキル『天使』を確認した……これを融合して種族『天魔神』へと進化完了だ。
▶スキル解放―――『天使』『悪魔』の融合進化で、スキル『天魔』を解放。
▶スキル解放―――システムスキル『Scarlet』。
▶スキル解放―――神将スキル『猿神』。
▶―――これで全進化を終了する。
ブクマや評価いつもありがとうございます!
そして毎度毎度ブッ飛んだ読みづらい文書ですいません……今度全話改稿して、ちゃんといろいろ繋げたいと思うので、今は脳死で読んでくだされば幸いでございます!




