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case.4 恐怖

毎日更新頑張ります〜!

ブランノワールと転生魔王の交互でできればと思ってます!

『力を示せ。もはやお前は人間では無い。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 “支配の宝玉”をサファイアに託し、俺が目覚めた洞窟を完全に支配下に置くことにした俺たち。


 ちゃんとした拠点が無く、尚かつ魔族が虐げられるこの世界では、俺たちの存在そのものが人間やその他種族の畏怖の象徴となる。


 だからあまり公に活動することが出来ない俺たちには、ああいう洞窟を活動の拠点にするのがピッタリだった。


 しかし、あの洞窟には無数の魔物が存在し、俺の性格上、その魔物達を蹂躙するのは嫌な為、そこで編み出したのが、俺の『支配』のスキルを使って、魔物達を束ね、洞窟を完全に魔物や魔族の帝国とすること。



 それが今の俺たちの目標だ。



 その、洞窟内の支配を、四神であり、俺の眷属となった、“蒼玉竜サファイア”にお願いし、俺とルインの2人は、一旦外の状況確認や、情報収集、戦闘訓練やスキルの習得等々、やるべき事を済ませ、さらに出来る事なら、仲間を増やしてあの洞窟に戻りたい。


 ルインの望みで、魔族は基本的に全員助けることにした。

 人殺しや、理性を失っている、もう助けようが無い魔族に関しては、殺して救うことにしている。




「それにしても、広大な森ですね」

「ああ、見渡す限り木しかないな」



 洞窟を抜けた先は、見渡す限り木、木、木の広大な森だった。



「さて、これからどうするか。まず俺がしたいのは周辺の情報収集と、戦闘訓練だが」

「あの、その前に一ついいですか?」

「何だ?」



 歩きながらルインが聞いてきた。



「主様は魔王様なんですよね?」

「ああ、一応な?」

「でしたら、その、不躾なお願いなのですが、もう少し魔王様っぽく振舞えないですかね?」

「どうしてだ?」



 ルインの唐突なお願いに、疑問を浮かべた。



「その、あまり魔族の私が言うのは何なんですが、この世界では魔族が虐げられる宿命ですので、私みたいなのと一緒に行動していると、主様も魔族だと思われるのが当たり前だと思うのです」


「ああ」


「それで、私ならともかく、主様まで虐げられるのは、その、許せないのです」


「それは、まあ言いたい事は分かる。でもそれが、俺が魔王っぽく振る舞うのと、どう関係するんだ?」


「それは、その、これも不躾なお願いとなってしまうのですが、主様は前に、我ら魔族を救って下さるとおっしゃいました。でしたら、他の種族の事なんてどうでもいいんです。我ら魔族を……私達だけを見てください!」


「ルイン……。それが、お前の言う“魔王”なんだな?」


「はい。魔王様は、我ら魔族の絶対的な存在です。ですから、どうか、どうかお願いします!」


「それが魔族の、ルインの願いなら……。この世界に魔王として生まれた俺の宿命なら。分かった。魔族を救おう。俺は“魔”を統べる王になる。 その為に、魔王っぽく振る舞うってことだな? 威厳とかそういうやつが必要なんだな?」


「はい……! ありがとうございます……! その通りです! うっ、うぅ……! まおうさまぁぁぁぁぁ!」


「あはは、そんな泣くなって……」




 ルインは泣いて喜ぶ。

 でも俺の心境は複雑だった。


 何故なら。



 ―――ルインが、泣いたんだ。



 ルインを泣かせてしまった。

 例えそれが“嬉し涙”なのだとしても。

 それは俺がこの子を少しでも不安にさせてしまったということだからだ。


 俺は、この子を泣かせる奴は許さない。

 たった今、そう決めた。


 だから俺はルインの為に、生きる。


 ―――魔王として。



(ロールプレイ常時発動、か。もう三雲翔一として出てくる事も無いかな……。俺は心も、身体も、真の意味で『魔王』になる。魔王ルミナスに。フッ、面白いじゃないか。やってやろうじゃないか!)



「クッ……クハハ……クハハハハハ! よいかルインよ! 俺は魔王! 魔王なり! これからは魔王ルミナスと呼ぶがいい!」



 俺は高らかに宣言した。



「はい! ルミナス様! 僭越ながら私お供させて頂きます!」

「ああ、付いてこい! 俺にはお前が必要だ!」

「ルミナス……様……! はい……はい! 一生付いていきます!」



 俺と、ルインの絆は確実に深まった。

 そう確信した。


 そして俺は一つ引っかかっていた事をルインに言った。



「ああ、それと。ルイン、お前はさっき“私みたいなの”とか言ったよな」


「え、あ、はい」


「あのな、俺にとってはお前は大切な存在なんだ。だから自分で自分を貶めるような事はもう二度と言わないでくれ」


「えっ……。ルミナス様……それって……?」


「だっ、だから、俺にとってお前は大切なんだ。だから自分の事を過小評価するな、と言っている!」


「は、はい! え、えへへ……ルミナスさまぁ……」




 俺の言葉で一気に態度を急変させ、蕩けたような顔をするルイン。



 やっぱり俺は、この子の笑顔を見るのが、大好きだ。



 この子は笑ってなくちゃいけない。



 俺が、守るんだ。



 例えこの命を賭けようとも。




 何だかしんみりした雰囲気になってきたところで、そろそろ再出発しようと思い、歩き始めた。


 しかしその直後、事件が起こった。



「ま、魔族だ! 魔族が出たぞぉぉ! クソ、クソが! 死ね! 死ね! 魔族なんて死んじまえ!」

「キャァァァッ!」

「ッ!?」



 突然、誰かの声が森に響いたと思った矢先、ルインの叫び声がすぐさま響いた。



「どうし…………ルイン……? おい、ルイン?」

「ガハッ……、ル、ルミナス様……! お逃げ下さい……!」

「駄目だ、お前を置いてなんか行けない!」



 ルインを見ると、その小さな身体には無数の矢が刺さっていた。



「待ってろ、すぐ、片付ける」

「ルミナス、様……?」



 今にも消えそうな声でルインは話す。

 


「おい、そこに居るんだろ。出てこいよ」



 近くの木に向かって俺は話しかけた。

 今の俺は全ての神経が研ぎ澄まされている。

 何処に、何があるか、全神経が俺に教えてくれている。



 ―――俺の怒りは、もう限界を超えていた。




▶スキル『憤怒レイジ』を手に入れました。

▶SPを1000入手しました。



「な、何だよ! 魔族なんだろ! そうなんだろ!? ならいいじゃねえか! 死んじまえ!」



 木から、一人の人間……いや、獣人か?が現れた。

 そいつは言った、「魔族は死ね」と。


 やはりこの世界では、魔族は虐げられているのだ。

 俺はその言葉を聞いて、一層魔族を守ることを決意した。



 ―――魔族も、ルインも、絶対に守るんだ。




「それを傷つける奴は、誰であろうと許さない……!」



▶スキル『守護ガーディアン』を手に入れました。

▶SPを2000入手しました。

▶『憤怒』を自動発動しました。



「なあ、お前、死ぬ覚悟は出来てるか? 出来てるよなぁ? だって俺のかわいい眷属を攻撃したんだ」


「は、はぁ!? お前何言ってんだよ! 魔族は俺たち獣人を何人も殺して来たんだ! だから魔族なら殺す! 何かおかしいかよ!」


「おかしい。何故ルインを攻撃する必要がある。ルインは関係無いだろう」


「いいやその女は魔族だ! だったら死んで償うべきだ!」


「煩い」



 俺は無意識の内に、獣人に向かって手をかざしていた。



▶“魔刃”を発動しました。



「ヒイッ! 俺の、俺の腕がアァァ!」



 無意識に発動した俺の技が、獣人の右腕を切り飛ばした。



「もう一回いけるか?」



 再び手をかざす。



▶“魔刃”を発動しました。



「グァァァッ! 俺の、俺の左腕がァァァァ!」



 原理は分からないが、また技が発動したみたいだ。

 その技が、獣人のもう片方の腕も切り飛ばす。



「俺は蹂躙が嫌いなんだ」


「ハァッ!? ハアッ!? おい、何を言っているんだお前は! 今やっていることは蹂躙そのものじゃないか!」


「ハァ? まあ、確かに蹂躙と言えば蹂躙かもしれないが、まあこれは魔族に仇なす敵を……いや、ゴミを排除しているだけだからな? 勘違いするなよ、お前は、ゴミだ。お前の失敗はルインを無差別に攻撃したことだ」


「なっ、何で、何でだよ!」


「わかった。お前には利用価値がある。そうだな、腕が治ればいいんだが」



▶『守護』を発動しました。



 すると何故か切り落とされた両腕が、浮き上がり、そのまま獣人の切断された部分へくっついた。



「へっ、はっ、へっ?」

「治ったか、良かったな“ゴミ”」



 腹の底から響くような重低音の声で圧をかける。



「ヒイッ……!」



 俺は一歩ずつ獣人に歩み寄る。



「『支配ルール』だ」



▶『支配』を発動しました。



「グァァァァァッ!」

「お前はこれより、俺の傀儡くぐつとなるのだ。クハハ! いいか、お前はこれからお前の住むところに帰り、俺の存在を色んな人に伝えろ。俺は、魔王だ。魔王ルミナス。分かったか? いいな?」

「は、はい……」



 そう応える獣人の瞳にはもう光は無かった。



 獣人はトボトボと歩いて帰っていく。



▶『憤怒』を自動解除しました。



「ルイン……。大丈夫か……?」

「は、はい。何とか……。ですがルミナス様……。その……」



 プルプルと震えながらこちらを見ているルイン。


 やっぱり、怖かったか……。


 自分でも分からないくらい、言葉がスラスラ出てきて、怒りも最高潮で、まるで自分で自分を制御出来ないような……。


 そんな感覚だった。



「やっぱり……怖かったよな……?」

「いえ、その……」



 ルインは大きく目を見開いて、言った。



「カッコよかった……です!」

「えっ?」

「ですから、カッコよかったです! まるで魔王様みたいでした!」

「そ、そうか? なら良かった。フハハ! 良かった! 良かった……」



 ホッと溜め息をつき、早速傷の手当を始める。



「さっきみたいに治らないか……?」



▶『守護』を発動しました。



 すると突然、ルインの背中に受けた矢の傷がみるみるうちに治っていく。



「わぁ……すごい! 治ってます! 傷が治っていきます!」

「えっ……? 俺何かしたか?」

「スキル……じゃないですか?」

「スキル……? あっ、何だこれ」



 俺はステータスを見てみると、全く気づかない内にステータスメッセージが溜まっていた。


 サクッと読むと、スキル『憤怒』『守護』を獲得していて、何か『魔刃』とかいう技を使っていた。


 何で獲得出来たんだろうか。



 まあ、細かいことは気にしても仕方ない、か。



「ルイン、よくわからないが、スキルだったようだ」

「やっぱり! 良かったですね!」

「ああ、じゃあ少し休んでから、もう一度情報収集に向かうとしようか」

「はい!」



 俺たちは近くに“たまたま”あった切り株に腰掛け、休むことにした。




▶【称号】魔を突き進む者 を獲得しました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ルミナス】


性別:男


種族:半神ミディム


職業ジョブ:魔王


スキル:『支配ルール』『召喚・使役』

   :『憤怒レイジ』『守護ガーディアン


技能:魔刃


持ち物:無し


称号:『魔を突き進む者』


支配……・ルイン:夢婬魔サキュバス

  ……・蒼玉竜サファイア

  ……・獣人



全ステータス:―――測定不能



所持SP:3000

次は水曜日に!

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