case.12 【暴食】の騎士ベルゼリオ(2)
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「ンだこれ……動けねぇ……!」
「だからそこで大人しく見ていろ」
「チッ……ったく。わーったわーった。さっさと俺みたいにそのクソ騎士野郎を『支配』してやんな。したら俺も存分にソイツをボコせるからよ」
……おや、随分と物分りがいいのな。
さっきまでの反抗具合だと、絶対噛みつかれるくらいにはなると思ったんだが。
「……ここまでサタールが素直になるとは。貴様、中々実力があるようだな」
「……いやいや、スキルの力だよ。実際、この『支配』のスキルが無かったら、今頃こんなことにはなってなかっただろうさ」
「だが、現実にはそうなっている。貴様は現在3人の魔帝八皇を従えているのだろう? そして次は俺というわけだ。相当な物じゃないか。そう謙遜するな」
……ここまで評価してもらえてたのか。少し嬉しいが、ここで素直に喜んではいけない。
「ありがたい限りだが。俺は今からお前と戦わなくちゃいけない。サタールの分もな」
「そうだな……。なら俺は本気でいくとする」
「ああ。俺も本気で相手しよう」
俺とベルゼリオは、その距離をジリジリと詰めていく。
そして俺は、両手に“魔剣”を生み出す。前回成功した、あの鎌形態は、“魔鎌”と名付けることにしたが、あの鎌だと慣れないのもあって、今回は不利に働きそうなので、やめておくことにした。
「行くぞ……魔王ッ!」
その声を合図に、戦いが幕を開ける。
先制は、ベルゼリオ。武器は右手に持つ割と大きな片手剣と、左手に持つ大きな盾。
リガルテは、あの盾が危ないって言ってたよな。警戒はしっかりしておこう。
「“盾投”ッ!」
ッ!いきなり盾を投げてきやがった!
どうする……?受け止めるか、避けるか……!
いや、もし本当に何かあったら危ない。そう思った俺は、避ける方を選択した。
「あまり盾ばかりに気を取られるなよッ! “剛斬”ッ!」
盾に気を取られている隙に、背後に回られてしまったようだ。ベルゼリオは、俺の背後から、剣を振り下ろしてきた。
完全に不意を突かれてしまった俺は、その剣を躱すことが出来ずに、背中を斬られてしまう。
「グァアアッ!」
「まだだ、“連斬”ッ!」
俺には痛みに打ち震えている余裕も無いみたいだ。ベルゼリオの攻撃は止まらない。
だが、今度は躱せる!そう思い、俺は痛みをこらえながら、横に飛んで躱す。
「―――盾も忘れるなよ?」
「は……?」
ベルゼリオの攻撃を躱しきって、安心していた俺は、背後からブーメランのようにして迫っていた盾に気づかなかった。
もちろん、背中……傷口のところに飛んできた盾は当たり、俺は大ダメージを負う。
「グァァァァッ!」
「フッ、魔王などと豪語してる割には、大した事はないな」
くっ……コイツ。今まで戦ってきたどんな相手よりも強い……!それに、これでまだ自分の能力を使っていないだと……?
俺は、背中を襲う激しい痛みに耐えながら、なんとか立ち上がる。
このまま負けてたまるかよ……!
「“獄……炎”!」
震える手で何とか魔法を放つ。
だが、
「“魔防”ッ!」
俺の放った魔法は、吸い込まれるように盾へと消えていった。
なんだ……あれ。まるでサタールの“魔断”と一緒じゃないか。
「クソ……! “疾風”……!」
止まってはイケないと思い、俺は剣を構え、“疾風”でベルゼリオとの距離を詰めていく。そしてそのまま、技を放つ。
「“飛剣”ッ!」
ベルゼリオの着ている鎧を壊せるくらい、“魔剣”の含む魔力量を濃密にし、力強く叩き込む。
これで、ダメージが―――
「無駄だよ。俺にその刃は届かない」
「グハッ……!」
通らない……!?それどころか、ベルゼリオはその長い尻尾で俺を薙ぎ払ってきた。
何だコイツ……尋常じゃなく強いぞ。
だがまだだ……まだ諦める時じゃない。
「クソ……“炎天”ッ!」
効かないとは分かっていても、魔法を放つしかなかった。
もちろん、その結果は、
「無駄だと言っているだろう。“魔防”」
盾へと吸収されていくだけ。クソ……どうする?どうすれば勝てる?
「ハァ。思った以上に弱いんだな。申し訳無いがそろそろ決着を着けさせてもらおう」
コツ、コツ、と一歩ずつ近づいてくるベルゼリオ。
……マズい……。負ける!
そう思った俺は、咄嗟に潜影で隠れようとした。
のだが、
「魔王ともあろう者が逃げを選択するなんてな。期待ハズレもいいとこだ。『時間停止』」
身体が……動かない!
やっぱり、時間停止か……!
意識だけ残っているみたいだが、意識があっても身体が動かないんじゃ……。
「フッ……」
―――グサリ。止まっている俺の腹部へ、剣が突き刺さる。
ポタ……ポタ……と血が流れ落ちていく。
「解除」
そう、ベルゼリオが言った瞬間、俺の身体の自由は戻ってくる。だが、腹に刺さった剣の痛みが、背中につけられた傷の痛みが……2つの痛みが合わさって、もう立っているのも限界だった。
俺はその場に倒れ込む。
「雑魚が。その程度の力で、我らの邪魔だてをするとはな。恥を知れ。そしてその恥を抱えたまま死ぬといい」
ベルゼリオは、シャキン……と新たに剣を引き抜いた、音がした。
意識が遠のきつつある俺には、もうどうでもいいことだった。
だが、俺は死なない。いや、死ねない。だから、不思議と悔しくはなかった。まあ出来れば、このまま勝ちたかったけどな。
俺が死ぬということは、アレを使うことになるということだ。
「俺は、お前を倒す……! そして俺の傀儡にしてやるよ……。絶対にな!」
「生意気な……! 永遠の闇に消え去れ……!」
そしてベルゼリオは、手に持つ一振りの剣を掲げ―――
―――グサリ。
そのまま俺の心臓部へと突き刺した。
▶スキル『転生』を使用します。
次回はあの大悪魔が降臨……?




