case.6 上位互換
「サタン……?」
『おうともさ! 俺だ!』
何か……テンション高いな……?
『そりゃあだってお前……お久しぶりの登場だからな!』
そ、そうか……。
一応、簡単に説明しよう。
コイツはサタン。
偉大なる七つの大罪の内、【憤怒】を司る大悪魔で、サタールの御先祖様にあたる人……いや、悪魔だ。
訳あって俺の中に居る。
「それで……何の用だよ」
『アァ、そういうのは後にしろ! いいからとっとと俺を喚べ!』
よべ……?って言ったって、どうすれば……
『アァン!? んなの適当にやれ! 何か出てこい〜とか言えば出てこれるだろ!』
そんな適当な。
まあ、いいか。
「……サタン……出てこい〜出てこい〜!」
ちょっと恥ずかしいが、まあしょうがない。大悪魔パイセンに言われてしまったのだから。
さて、こんなんで本当にいいのか?
それに、一体何が起きるというのだ?
『おっ、キタキタ! んじゃあちょっくら待ってな!』
その直後だ。
不思議な音と共に、目の前に魔法陣が展開される。
これは、まさか……?
『ハハ……フハハ……! 久しぶりの現界だぞ……! 祝え!』
魔法陣から、少しずつその全体像が明らかになる。
そして、やがて全身が明らかになる。
そこから出てきたのはもちろん……
「サタン……!?」
案の定、サタン本人が出てきたのだ。
「よう、久しぶりだな人間たちよ」
「……多分ここにまともな人間は居ないと思うぞ」
神に鬼に悪魔……その他諸々てんこ盛りだ。
しかしこの中に人族は居ないが。
「で、何の用なんだ」
「助けが必要なんだろ? だから助けに来た。と、いうか久々に戦いに来た」
マジかこの悪魔。
単純に戦いに来ただけなんて。
「さて、アイツらをどうにかすりゃいいんだな?」
「あ、ああ。殺さずに、だがな」
「心得た。任せておけ!」
まさか、こんな事になるなんてな。
大悪魔と共に戦うなんて。
だがまあ、貴重な戦力だ。
これで、希望が見えてきた……!
「さァて、やりますかね……。お前さんはやる事やっちまいな」
「やる事……?」
「ああ、魔王にしか出来ないこと、あるだろ?」
魔王……俺にしか出来ないこと……。
ああ。アレか。
「了解だ。だが、アレはコイツらが無力化出来ないと意味ないぞ? 抵抗されちまうからな」
「ほう。なら、2人でやるか。その方が早いだろう?」
「勿論。では……行くぞ!」
同時に、駆け出す。
2対3だが、レベル差で言えば、圧倒的にこちらの方が有利だろう。
と、いうかサタンってどのぐらい強いのか……。勝手に最強だと思っているが。
「フハハハハ! 燃えろ燃えろ燃えろォォ!」
サタンは手に次々と青い炎を生み出し、それをアスモフィたちに向けて撃っていく。
しかし、どうしたことかアスモフィたちは反撃するどころか、避ける動きも見せない。
一体どうしたと言うのか。
「おい魔王! 早くオメェも来いよ!」
俺はサタンに言われ、焦るように動き出す。
両手に“魔剣”を生み出し、3人に近づく。
「おい、サタン! 何でコイツらは動かないんだ!?」
「知らねぇよ! 俺にビビってるんじゃないのか!?」
なんて言っているが、本当にそうなのか?
いくら何でも、怪しすぎるだろう。
「オラオラァ! 燃えちまえェェ!」
まるで馬鹿みたいに突っ込んで行くサタン。
俺は何かがおかしいと思い、走る脚を止めた。
すると、その直後だった。
「「「合技……“暴風天雷剣”」」」
ッ!?おいおいマジかよ!
コイツらが合技だと?!
俺は咄嗟の判断で、“壁雷”を纏い、後退した。
が、サタンは別だった。
「クハハハハ! 面白えじゃねぇかァ!! “炎鎧”ッ!」
技を受けると思っていたのだが、本当に受けるとは思ってもいなかった。しかし、サタンは炎で出来た鎧を身に纏った状態で技を受けたのだ。
流石は大悪魔……七つの大罪といったところか。全くダメージを受けた様子は無かった。
むしろ、身に纏う炎の勢いが増している気がする。まさか……吸収しているのか?魔力を。
「子孫の分際で、俺たちに勝てると思っているのかァ!? ハッ、笑わせるなよ!? 燃え尽きろ……“豪炎華、向日葵”ッ!」
……ッ。この魔力量はヤバくないか……?
サタンが発動したこの魔法……。文字通り、炎で出来た向日葵のような花……の蕾?が現れたのだが、目眩が起きそうなくらいの温度と魔力量……。
これは……ヤバいだろ。
「燃えろ……! ファイアァァァァァァァァァッ!」
開花した……!花の中央部分から、超強力な熱光線が放たれる。
着弾する直前、アスモフィが前に出て守護障壁を展開した。何重にも、何重にも。
しかし、サタンの放った熱光線は障壁を紙のように破壊していき、そして3人へと当たる。
「「「ウァッ……!」」」
……よし、今だ!
俺にしか出来ないこと。
奴らが洗脳なら……俺がやる事はもう決まっている。洗脳の完全なる上位互換を俺はする事が出来るからな。
「ほら、今だぜ魔王!」
「ああ、分かっている!」
一瞬にして、アスモフィたちのもとへ詰め寄る。
そしてそのまま俺は、3人に手をかざした。
なあ、レオン。
ホンモノってやつを見せてやるよ。
これが本当の洗脳……。いや、『支配』だ!
「俺の傀儡となれ……。帰ってこい、お前たち!」
水曜日は一回行動にしますね




