case.17 ルインVSマノン(3)
※少し今回は納得いってないので、今度しっかり書き直します。
何で……何で何で……何でッ!
「嘘……ですよね……?」
主様が身代わりに……?
私がマノン様にしたと思ったことは全部主様が……?
嫌……嫌だよ……。
―――また、私は1人になるの?
一人ぼっちは、もう……嫌だよ……
「俺の目的はなァ……そこの、魔王もどきを殺すことだったんだよ。最初からなァ」
え……?
「いいか? 今まで俺は自分の事を話したことなんて無かっただろ?」
確かに……この人はいつもバカみたいに叫んでるだけで……
「ずっと……ずっとこの時を待っていたんだ。俺のスキルを誰かに話したのはこれが初めてだぜ?」
「一体……主様に……どんな……恨みが」
そんな事をするのには、何か動機があるはずなのだ。
震える声で、私はそれを聞いた。
「理由? 理由なんかねぇよ。ただ魔王ってだけでムカつくからよぉ。どいつもこいつも偉そうにしやがって。俺を超える力を持つものだけが、俺を従えろってんだ」
……ムカつくから?理由は無い?
ああ、駄目だ。この人が何を言っているのか、本当に分からない。
今まで、信じていたのに。
でも、それももう、今この時をもって終わりだ。
私は……。いや、私“も”隠していたスキルを、そして今まで使ってこなかったスキルを使う。
「―――『復讐』」
―――グラッ……
地面が、揺れる。
空も黒くなる。
「アァン? テメェ、何してる! “電光石火・獣式”!」
“マノン”は超高速で突っ込んでくる。
だが……
「邪魔。消えて」
私は手を横にはらった。
たったそれだけだ。
それでどうなったかと言えば―――
「グルァァァァァァァァァァァァァァッ!」
勢いよく、横に吹っ飛ぶマノン。
スキル『復讐』。
その効果の詳細は分からない。
だが、判明してるのは“怒”の感情が最大限に達した時に、“自分の能力値を限界まで引き伸ばし、出す技の一発一発の威力を災厄級の物にする”ということ。
ちなみに今のでマノンの腹はえぐられてるはずだ。
「ガハッ……テメェ……俺に『身代わり』があるって分かっててやったのか……?」
「―――煩い。スキル発動。『悪夢』」
スキル『悪夢』。
その名の通り、相手にとっての悪夢を引き起こすスキル。
これは、相手が“恐怖”を感じているときにしか発動できない。
つまり、マノンは何かに対して恐怖を感じているのだ。
その証拠に……
「おい……何で……何でテメェが生きてる! “魔王”ッ!」
“幻覚”……か。
殺したはずの主様の幻覚が、今見えているのだろう。
「主様……もう、私を一人にしないでください……っ!」
私の思いは通じることはない。
幻覚は幻覚なのだから。
現実には目の前に倒れた主がいるのだから。
「マノン。貴女だけは許しません。貴女に本当の『悪夢』を見せてあげましょう……」
心はもう、闇に……血に染まりきっていた。
自分でも、もう引き返せないところまで来ていることは分かっていた。
だったら、行けるとこまで行ってやる。
「アアアアアアア! クソガッ! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す! “電光石火・獣弐式”!」
技が進化してるみたいだけど。
遅すぎて話にならない。
もちろん動体視力も限界まで上がっている為、マノンがどれだけ速く動こうが、全く関係ないのだ。
それに……
「戦いにおいて、焦りと油断は禁物ですよ」
腕でマノンの突進を止めながら言った。
そう。焦りと油断は、自分に隙を作ってしまうから。
『悪夢』はそれを強制的に誘い出すスキルでもあるのだ。
「うるせぇ……!うるせぇうるせぇ! 俺に指図をするなァァァァァァァ! “咆哮雷”ッ! ウルァァァァァァァアッ!」
マノンがそう叫ぶと、ワタシの周りには雷が落ちる。僅かだが、電磁力も発生しているようだ。
「だから、無駄なんですって。“氷柱・五月雨”ッ!」
魔法を放つ。
いくら『復讐』によって底上げされた能力値でも、獣化したマノンにダメージを与えることは出来ないと、分かってはいた。
だから、目的はそれじゃない。
魔法を使う理由は、最初っからただ一つ。
「それこそ無駄だって言ってんだろォォ!?」
空から氷柱が降り注ぐ。“氷天”と似た技だが、少し違う。氷柱の形状や、威力……この技は、小さな威力で、大量に……という数で攻める技だ。目くらましには……ピッタリでしょう?
「チッ……前が見えねぇ……!」
狙いはただ一点。
マノンが怯んでいる間に、私は“それ”を抱え、壁の方まで走った。
それは……
「主様……!」
我が主、魔王ルミナス。
だが主様は目を開けない。
でも……でも、近くに居て、ようやく分かった。
―――主様は、生きている!
息を、していたのだ!
目の前に光が広がる。
ああ、どうしてだろう。主様が生きていると分かっただけで、こんなにも……
―――世界が広がるのか。
私は主様を地面に寝かせ、マノンを見据えながら言った。
「主様……待っていて下さい。あの化獣を今すぐ排除してきますから」
私は誓ったのだ。
主様の隣に居ると。
主様を守ると。
だから、絶対に負けない。
もう、躊躇もいらない。
主様みたいになるんだ。
慈悲を、殺せ。
対象を始末するのが、私のシゴト。
「初めての対象は、貴女です。―――マノン」
▶眷属/ルインが職業“暗殺者”になりました。
▶職業固有スキル『変幻』を獲得しました。
▶“魔王の恩恵”を受け、スキル『死霊』を獲得しました。
第2回戦が終了し次第(明後日以降)から、タイミングを見計らって、ブランノワールも再開させます。
どうぞ宜しくお願い致します!




