case.14 アスモフィVSムル(4)
今日は思ったより伸びが悪いです……
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「そんな……ッ! 嘘……嘘……嘘だッ!」
明らかに怒っている様子のムル。
どうやら、こっちが本性ってわけね。
私も本性が無いわけじゃないから、分かるわよ。
「何よ……何よ何よ何よ何よ何よ! 私は海王なのよ!? 負けるわけにはいかないのッ!」
「残念だけど。それは私も同じなの。魔帝八皇として、そして1人の女として、貴女には負けたくない」
それに……あの人が賭けの対象になっている以上はね……。
「もういい……手加減は無しよ……!」
また、またムルの雰囲気が変わった。
「風舞:伍ノ型『風塵』ッ!」
今度は……風……!
風属性の魔法なら、負ける訳にはいかない……!
「“風刃”……ッ!」
まるで嵐のように押し寄せる風を、私の放った風の刃が切り裂いていく。
「雷舞:壱ノ型『落雷』ッ!」
しかし、ムルの攻撃を放つ手は止まらない。
今度は雷。文字通り……私の上空に黒雲が……
「『守護』ッ!」
咄嗟の判断で、二重に障壁を展開した。
幸い、そのお陰で落雷から身を守ることが出来た……が、
「合技/海舞:陰ノ型『嵐』」
……ッ!?
何、今この子何て言ったの?!
かい……ぶ?
しかし、そんな事で驚いている場合では無かった。
だって、目の前に広がるのは文字通りの嵐なのだから。
それに、地面から水が吹き出てきた。
「フィールドが海になれば、勝つのはどちらか……もう分かるでしょう?」
っぷ……急にそれは卑怯よ……!
私あまり泳げないのに……!
今の状況を簡単に説明するなら、地面は海面へと変わり、空には強風……いや、暴風が荒れ狂い雷は轟き……まさに嵐である。
私はどうにか足場を確保しようとしたが……
「させませんわ。水舞:肆ノ型『水龍』ッ!」
水の中だと言うのに、ムルは華麗な舞を繰り広げ、そして見たことのある技……水の龍が私に向かってやって来る。
―――このまま、私は負けるの?
『逆転』は1日1回しか使えないスキル。
今日はもう使えない。
魔力は残っているが、状況が状況だ。まともに放てるかどうか……。
「ウフフ……」
ッ……!
あの女に、一発。一発でいいから何かぶちかまさないと私の気がすまないわ……!
あの余裕しゃくしゃくな態度。
少しでも鼻をへし折ってやる……!
そして、ルインちゃんに繋ぐのよ……!
(あの子なら……)
―――悔しい。
そりゃ悔しいわよ。
負けたくない。
でも、あの女にとられるのだけは……何としても回避しないと……!
『GRUUUUUUUUUUU!!!』
……来るッ!
私は何とかしないと、と思い咄嗟に『守護』で障壁を張る。
さらに、回復魔法を自分にかける。
「そんなの無駄ですわ……ッ!」
龍は突っ込んでくる。
多分こんなものじゃ、簡単に破られ……
―――ダンッ!
『GRUU……』
……なかった!
「何で……! 何でよ! 水舞:肆ノ型『水龍』!」
再び技を使うも……
―――ダンッ!
障壁にぶつかり、そのまま消え去っていく龍。
「おかしい……こんなのおかしいわよ!」
ガクンとうなだれてしまうムル。
―――来た……!今だ。今しか、チャンスは無い!
ムルが怯んでる、この今しか!
「“暴嵐突風”……」
一点集中型の風魔法。
範囲は広めに、一発だけ。
私は震える手で、魔力を集中させる。
「何で……何で……!」
「吹き飛びなさいッ!」
手に溜めた風を、一気に解き放つ。
暴風は水を吹き飛ばし、その水は津波となってムルに襲いかかる。
「こんな……こんな事で……! 風舞:捌ノ型『天照』ッ!」
技を放つムル。
空から降り注ぐ、打ち付けるような風。
だが……
「そんな威力じゃ、私の風には勝てない!」
私の暴嵐突風は全ての物を吹き飛ばしていく。
そしてそのまま、ムルに―――
「ふふ……」
様子が、おかしい……。
何で、笑っているの?
まさか、ここから……勝つと言うの?
「うふふ……っ。あはっ、面白いね。……水舞:陸ノ型『波紋』」
―――当たる事はなかった。
『波紋』によって、私の魔法は消されてしまう。
え……?
何で……?
「いい? 私には勝てないの。これが、最後ですよ。合技/海舞:陽ノ型『緋水』」
再び海舞。
今度は陰ではなく陽。
太陽が現れ、そして自分に襲いくる水をその身に纏うムル。
「……少し焦りましたが、楽しかったですよ」
「まだ、負けたわけじゃ……」
「さようなら―――」
えっ……?
だってさっきまで、私の方が優勢だったのに……?
「―――憐れな勘違い乳牛さん。私の演技に騙されてくれてありがとね♡」
意識が消える直前、ムルが言い放った言葉を……その恍惚とした表情を、私は脳に刻み込まれた。
全部……全部演技だったの?
自分が勝てるって……分かってたの……?
あー、ムカつく。
勝てるって分かってた上で、あんな動揺したフリをするなんて。
ごめん、ルインちゃん……。
爪痕を残せなくて。
貴女は、絶対に勝つのよ……!
そして、私の意識は完全に消え去った。
昨日『鋼鉄ノ鳥』というボカロ曲を初めて聞いたのですが、すごいいい曲で普通に泣きそうになりました。皆さんも是非聞いてみてください!




