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case.11 アスモフィVSムル(1)

戦闘シーンの書き方を学びたい今日この頃

「と、言うわけで。私は貴女と戦うわけね」


「はい。よろしくお願いしますね? 乳・牛・さ・ん♡」



 この女……消し飛ばしてやろうかしら……!


 私の手は、無意識の内に爪が食い込むほど、強く握りしめていた。



 気を取り直して……。


 私、ルインちゃん、マノン、ムルと4人で話し合った結果、『魔王様争奪戦トーナメント』の組み合わせはこうなった。



1回戦:アスモフィVSムル

2回戦:ルインVSマノン



 で、それぞれの勝者が決勝戦を行う……と。


 私、アスモフィはこの目の前に立つ幼女、海王ムルと今から戦うわけだけど……。


 ここで負けるわけにはいかないわよね……。



「ヘヘッ、それじゃあ大将のご指名なんでね、俺っちが実況させてもらうぜェ?!」



 サタールが突然ノリノリで実況を始めてしまう。


 ……アイツも変わったわよね。

 昔はあんなに明るい感じじゃなかったのに。


 何か隠し事でもあるのかしら……?



「えっと……左に構えるのは! 我らが魔帝八皇が1人! 【色欲】を司る大悪魔アスモデウスの子孫にして、その柔らかな顔の裏には凶暴な一面も持つ、最強の僧侶! その名もォォォ!? アスモフィィィィィィィ!」



『『ウォォォォォォォォォォォォォォオ!』』



 ツッコミたいわよ。

 そりゃあね。


 こんなにもノリノリなサタールも、どこから湧いてきたのかも分からないこの歓声も。


 とことんツッコんでやりたいわよ。


 でも、私はあえてツッコまない。あーえーて、ね。

 これから真剣勝負だというのに、そんなことで体力を使いたくないからね。



 そう考えた私は、一歩ずつ用意されたバトルフィールドへと進んでいく。

 このフィールドは、広い長方形のような形で地面もコンクリートでできている場所だ。



「続きまして! 右に構えるは! この海底都市リュグウの主にして、我らが魔王様に一目惚れした健気な少女! その幼い見た目とは裏腹に、とても強力な力を秘めていそうだァ! その名も、海王〜ムルゥゥゥゥゥゥゥ!!」



『ウォォォォォォォォォォォォォォォォオ!』



 ぐ、ぬぬぬぬぬぬ。

 ツッコミたい、ツッコミたい。でもツッコんだら負けな気がする。


 それにあの女も、ムカつくくらい優雅に歩いてくるし。

 


「うふふふふ。こんなに騒がしいのは久しぶりなのです! 私も頑張りますよ!」



 その小さな手で握りこぶしを作るムル。

 喋らなければかわいい女の子なんだけどな。


 しかし、本性を知ってしまってる以上はもう普通に接することは出来ない。


 私たちはもう魔王様を取り合う、ライバルなのだから。



「ムル。私は手加減なんてしないわ。いい? 魔王様をもらうのは私。それ以外に有り得ないの。弟をもらうのはおねえちゃんなのよ?」


「そうはさせませんわ。私だって生涯独身のまま死んでいくなんて嫌ですもの。それに、私がこの世界に生を受けてから何年だと思いますの?」



 そういえば……確かに、今までこの子の年齢は聞いてこなかったわね。

 

 私は今まで200年くらい生きてきたけど、海王ムルって名前は1回も聞いたことなかったわね。


 ということは、私より若い……?



「……分からないわ」


「フフ、私は今年で5000歳。この世界に5000年もの間、居たのですわ。どう? これでもまだ私と戦う気があるの?」



 ごっ……!

 嘘でしょ……?


 私、勝てるの……?



「あらあら、動揺しちゃって。それじゃ不戦勝ということで私が決勝戦に進ませていただきますね」



 だめ、ダメよ……。

 動きなさい。止めなさい。私!


 ……何で……?何で足が動かないの?



 まさか、怖いの?

 あんな、たったの一言でビビったの?


 このままだと、あの人は海王アイツにとられちゃうの?



 ……嫌だ……。

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ!



「待ちなさいよ……!」



 震える声で、私は叫んだ。



「あら、まだ話せたのですね」


「……舐めないでくれるかしら。……確かに私の方が弱いかもしれない。だけど、だけどこのまま何もしないであの人がアンタにとられるのが嫌なのよッ!」



 こんな気持ちはいつぶりだろう。

 いや、初めてなのかもしれない。


 初めて、一緒に居たいと思った人。

 守ってあげたいと思った人。

 ずっと見ていたいと思った人。


 そう思う理由は分からない。


 でも、自然とそういう感情が湧き出てきた。

 世にいう「一目惚れ」というやつなのだろう。


 初めて会った時のあのピリリッとした感覚。

 初めて褒められた時のあのピリリッとした感覚。

 彼に何かをされる度に、身体の奥の方が痺れたようになるあの感覚。


 私は、あれが好きだ。



 だから、もっとその快楽を味わいたい。

 その快楽は、私だけのものにしたい。



 こんな、ポッと出の女に取られてたまるかってのよ。



「勝負よ。私だって負けないわ……!」



 そう、自分に言い聞かせるように宣言した。

 するとムルは振り返り、戦闘態勢に入る。


「ハァ、困った乳牛さんですね。1回痛い目見てもらいましょうか」



 ……明らかに雰囲気が変わった。

 前に感じた“神のオーラ”みたいなのも濃くなっている。


 これは……負けるかもね……。



「さてさて、両者とも準備はいいかい?」

 


 私たちは無言で頷く。



「了解だ。それじゃ始めるぜ! 第1回戦、アスモフィ対ムル! 開幕だァァァァァ!」

次回から戦闘です

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