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case.9 対抗する恋心

【―――】

これが付くセリフを言うキャラは誰でしょう?

 いつからだろう。



―――いつからだろう。



 いつから、私はあの人に……。



―――いつから、私はあの人に?



 何で?……理由は自分でも分からない。



―――きっと、あの時からだ。



 でも、気づいた時にはあの人のことを目で追っていた。



―――あの時から、私はずっとあの人の事が……



 この気持ちの正体は何……?



―――この気持ちの正体は何……?



 まさか……恋……なの?



―――きっと、私はあの人が好きなんだ。



 ううん。これは恋じゃないわよね。母性みたいなものよ。ただ心配なだけ。



―――ずっとずっと、初めて出会ったあの時から、私はあの人に恋をしていたんだ。



 でも、私は彼が気になる。ずっとずっと見ていたい。



―――好きだから、片時も離れたくない。



 ううん。私は姉になるのよ。姉は弟に恋なんかしないわ……。



―――ずっと一緒にいたい。



 でも、あの人が別の女の子と話してる時……何故か心がモヤモヤするの。



―――でも、あの人が他の女の人と話してると、心がイライラしてくるの。



 何で?どうして?



―――何で?どうして?



 まさか、私は本当に彼に……?



―――独占したい。他の女になんかとられたくない。



 私はずっと……逃げてきたの……?この気持ちから。



―――あの人の隣に居るのは私だけでいいの。



 ……もう、私は逃げないわ。この気持ちに嘘をつかない。自覚するのよ私。これは……紛れもない“恋心”なのだから……!



―――あの人に言い寄る悪い虫は、私が排除しなくちゃ……ね?




『『彼を絶対に私のモノにしてみせる。』』




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 今思えば、悪い予感はしていたんだ。


 アスモフィから『念話』による通信が入ったときも、それはあった。


 だが、俺はそれを無視してしまった。


 それが結果的にはいい方向に転ぶのだが。



 だが、この時の俺はまだそんなことを知る由もなかった。





 俺は今さっき、アスモフィから急ぎの伝達があったことを、サタールとルインに伝えた。



「ほう、アスモフィの嬢ちゃんも仲間にしてるんだなァ?」


「はい! 主様が言葉巧みに仲間に引き入れたんですよ!」



 2人は、すぐに打ち解けた様子で話していた。



「で、今からムーン大海の海底に向かうことになったんだが、それでもいいか? 2人とも」


「はい! 私はずっと主様の隣に居ますから!」


「俺も、ここでの用事は後回しにしてくれてもいいぜ。だがまあ、なるべく早めがいいけどな?」


「……2人とも。ありがとう」



 と、言うわけで2人からの了承も得られたということで……。



「んじゃあ早速行きますかね……」


「はい!」



 と、俺のけだるそうな声を合図に、ルインは転移魔法を使うのであった。





 転移が終わり、目を開くと俺たちは見渡す限りの青に包まれていた。



「……ここは?」


「わ、分かりません……。転移先は海上をイメージしたのですが……」



 何故かここに転移してきた……と。

 ルインの転移は毎回正確であるが故に、今回のこれは、何か別の外的要因があるのだと、疑ってしまう。



「誰かが、転移先を書き換えた……とか?」


「そりゃ有り得るかもな。ここにはアスモフィの嬢ちゃんとかが居るんだろう? だったらその海王とかいう奴がそういうことをしてもおかしくはなさそうだがねェ」



 確かに……海王ってのがどんな奴かが分からないからな。

 もしかしたらゴツいおっさんかもしれないし、もしかしたら艶めかしいお姉さんかもしれない。


 しかし……



「やっぱこの神殿……が気になるよな……?」



 周りに見える、唯一の建物が、目の前にあるのだ。

 見た目は、さっき言った通り神殿のような見た目。



「とりあえず、中に入る……か……?」



 そう、言いかけた時だった。



「あっ、いたいた〜! お、お、おねえちゃんずっと待ってたんだぞ……!」



 顔を赤らめて、少し動揺したような表情で駆けてきたアスモフィと、



「えっ、この人が魔王!? えっ、ウソウソ! あのじいさんじゃなくてこんなイケメンが!? きゃぁぁぁぁ!」



 と、まるでアイドルを目の前にした時のファンを絵に描いたような反応をする小さな少女。



「あ、アスモフィ……?」


「ひゃうんっ……! ひゃひゃ……何でもないわ……。えっとね、この子が海王さまですよ!」



 え……この子が?

 こんなちっちゃい子が……?



「あ、今魔王……私のことちっちゃいって思いましたわね……!」


「え? あ、いや。別にそんなこと」


「むぅ、そうですか? まあイケメンなので許しますけど!」



 うぅ、何かこの子には調子狂わされるな……。

 別に俺イケメンじゃ……。


 あれ……?

 そう言えば、この世界に来てから俺の顔、自分で見たことあったか……?


 まさか……無い?

 そうだよな……?俺、自分の顔知らねぇんだよな……。

 まさか、イケメン?イケメンだったりするのか……?


 何か急に照れくさくなって……


 いや、いやいやいや、そんなこと考えてる場合じゃない!



「こほん。それで? 俺に会いたいって言う理由は何だったんだ?」



 俺は海王に聞いてみた。



「えっと、まず自己紹介から致しますね。私は海王ムル。気軽にムル、って呼んでくださいね? ま・お・う・さ・ま」


「ムル……? わかった。それじゃあムル、その……俺に会いたいって言ってたらしいが、その理由を教えてくれないか?」



 俺がここに来た目的。

 それを聞いたのだが……。


 軽い気持ちで放ったこの質問が、このあとすぐ起こる戦争のきっかけになるなんて……


 この時の俺はまだ、知らなかった。




「はい! それは……海王わたし魔王あなたの結婚式を開く為ですっ!」

ブクマや評価、是非よろしくお願い致します!

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