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case.6 【色欲】の僧侶アスモフィ(3)

「あまり調子に乗らないでくれるかしらッ!?」


 

 アスモフィは手を振りかざして風の魔法を放つ。



「フハハ! 怒りながら無詠唱で魔法を撃ってくるとは、なかなか暴力的な僧侶様だな」


「うるさいわね! いいから早く死になさいよッ!」



 再び風魔法。簡単に人が吹き飛ばされるくらいの強い勢いを持った風が俺を襲うが、それも無駄に終わる。



「クハハハ! まあ落ち着きな! スキル発動、『吸収』!」



 『吸収』によって、俺の手の上に、風が集まっていく。



「何よ……何よ何よ何よ! 何で勝てない訳!? だって私は魔帝八皇なのよッ!? 魔法だって貴方より数百倍も上をゆく筈なのに!? なのに何で貴方は生きているのッ!?」


「そんなの、簡単な事だ。俺が強かった、それだけだよ」


「ハァッ!? 何で……何で何で何で!? 私が新参者の魔帝八皇だから!? 私が回復魔法以外大して強くないから!? もう何なのよッ!? いいから早く死になさいよッ!?」



 新参者の魔帝八皇だったのか……。



「そろそろ終わりにしようぜ?」


「ハァッ!? 嫌よ! 負けるのなんて嫌ッ! だったら……! マノン! そんなゴミ早く片付けてこっちを助けなさい!」



 あ?

 コイツ、今何て言った?



「チッ、わーってるよ! オラ、アスモフィの頼みだからなァ! 早く倒されてくんな! “爆発炎魔エクスプロージョン”!!!」



 マノンによる爆発魔法攻撃が炸裂。

 今までの爆発より数段上の威力があるように見える。


 ルイン……。大丈夫だよな……?



「くううっ……! まだです……!」


 ……!良かった、まだ大丈夫そうだ。


 でも……このままだと。



「ヘェ? まだ立つんだ! んじゃあもう一発!」


 マズイか!? あれをもう一度喰らったら、

流石にルインでも……!



「“爆発炎魔エクスプロージョン”!!!」


「キャァァァァァァァァッ!」



 ルインはマノンの爆発魔法を喰らってしまい、遥か後方へ吹き飛ばされる。



「ルインッ!」


 俺はすぐ助けに行こうとするが、



「お前の相手は俺だぜェェェ!」


「私も居るわよォ!?」



 前方からはマノンが、後方からはアスモフィが。


 ……勝ち目はあるのか……?


 いや……。やるしかない。じゃないとルインが……!

 早く怪我の手当てをしないと!



 フーッと大きく息を吐く。

 

 

 落ち着け、俺。

 いいか……?俺は魔王なんだ。

 魔王なら部下のしつけくらいちゃんとしとかないとな……?

 分かるだろう?



「何突っ立ってんだオラァァァァ!」


 マノンの攻撃。

 魔法使いのくせに物理で殴ってくるとはな。


 距離は僅か数メートル。


 なら……!



「“招雷しょうらい”! “無双剣”!!!」


「おおっ!?」



 雷魔法による撹乱のあと、無双剣で一気にダメージを稼ぐ。


 しっかりと俺の作戦通り、マノンにダメージを与え、退かせることが出来た。


 だが後ろからはアスモフィが攻撃を仕掛けてきた。



「貴方まだ本気出してないわよね? そうよね? ムカつくわ! とっとと本気出しなさいよ!」



 そう言いながら風魔法を放つアスモフィ。


 全く、無詠唱なのはズルいだろうが。



「『吸収』!!」


 再び手に風を集める。



(これ、何かに使えないか……?)



「ああもう! マノン! 攻撃は頼んだわよ!?」


「了解だぜェ!? オラァ!」



 なっ、剣も使うのかコイツ!


 剣を振りかざしてきたマノン。



「グッ……!」


 流石に、1対2はキツイか?



「オラオラオラァ! 余所見すんなよ!?」


 クソ、コイツの攻撃速いぞ!?


 受けるので精一杯だ……。



「クッ……」


「オラオラオラァ! どうした魔王様よぉぉ!?」


「クハハ……まずはお前から殺してやるッ!」


 煽りには煽りで対抗だ。


 そして、近距離には、遠距離で!



 俺は弓を引き抜く。


 魔力で矢を生成し、構える。



「へぇ……?」


「受けてみろ! “流星”!!」



 空から矢を無数に降らせる弓術……それが流星。


 そして俺は弓を戻し、剣を構える。



「まだだ……“残影”!」


「これは……!」



 残影とは、超高速で動き、影がその場所に残ったままに見える剣技。



「マノンッ!」


 俺は剣と弓、2つの武器でマノンに攻撃する。


 だが……



「小賢しい! 爆☆発!!」


「グァァッ!」



 コイツ……自分ごと爆発魔法で攻撃してきたぞ……?!


 クソ……! また駄目だった……!


 どうすればコイツらを無力化出来る……?



 俺がそう思案している時、しばらく攻撃を仕掛けで来なかったアスモフィが声を上げた。



「うふふふ………あははははっ……!」


「何だ? 何故笑って……! おい! 何をしている!?」



 俺が見たのは……ルインが……ルインがアスモフィに持ち上げられている姿。


 何だ?何をしている?



「あはは……私分かっちゃったのよ。貴方が本気を出すにはまずこの女をどうにかすれば良いって」



 あ……?

 コイツ、何を言って……?



「じゃあ、バイバ〜イ」


 グサッ。

 鈍い音だけが、この闘技場バトルフィールドに響いた。



 あ……あ……。


「ウァァァァァァァァァァァァァァッ!」



「うふふ、安心なさい。私のまほ」


「ブチ殺す……!テメェだけはブチ殺してやるッ!」


「えっ」



 また……俺はまた……!


 何でいつもいつも……!



「ウアァァァァァァァァァァァァッッッ!!」



▶スキル『憤激焉怒エンドレイジ』を再習得しました。

▶感情『怒』を修復しました。

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