case.11 レベル上げ
『成り上がれ。』
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「ルイン、お願いがある」
低い声で、ルインに言った。
「はい……なんでしょう」
おどおどした様子で答えるルイン。
「レベル上げがしたい」
「ですよねぇぇぇ!」
(クッ……こんな魔王が居てたまるかよ……)
「す、すまないなルイン。それでも、少しはレベルを上げないと、ルインだけでなく、俺自身をも守ることが出来なくなってしまうのだ」
「ま、まあそうですよね……。でも、どこでしましょうか」
「それなら、一つ心当たりがある」
「え……?」
「この洞窟だよ」
俺は、後ろにある洞窟を指差した。
「でも、あそこにはまだ勇者さんたちが……」
「安心しろ。これを見てくれ」
そう言って俺は懐からあるアイテムを取り出した。
「それは……!」
そう。“支配の宝玉”。俺がサファイアに作らせた、SP消費無しで『支配』を使える最強のアイテム。
「これを使って、洞窟内の魔物と、そしてあの勇者たちを『支配』する。そして……殺す」
「なるほど! 抵抗出来ないまま殺せば、安全ですもんね!」
「まあ、そういうことだな。では戻るぞ」
「行きましょう!」
そして俺たちは再び洞窟へと戻る。
……と、すぐさまアイツらが現れた。
―――転生勇者のパーティだ。
「あぁっ! 見つけたぞ魔王! よくも俺たちを!」
「『支配』」
俺は問答無用で宝玉を掲げた。
宝玉は光り、その光は勇者たちを包む。
「クッ……! な、なに……を……」
光が収まると、勇者たちは“完全支配”された、光を失った目になる。
これで支配完了、だ。
「ルイン、ちなみになんだが」
「はい、なんでしょう」
「人を殺しても経験値は入るのか?」
確か、“スカーレット”だと、PKは違法行為として通報される仕組みだと聞いていたが、この世界ではどうなのだろうか。
「はい、我々魔族は常に人を殺してレベルを上げて来ましたから!」
「おおう、笑顔で怖いことを言うな」
「ですので安心して殺してくださいね!」
「う、うむ。了解した。それでは遠慮なく……」
勇者たちに手をかざし、“魔刃”を放った。
勢いよく飛んでいった3人の首の切断面からは、ブシャッ!と血が吹き出ている。
「さて、これでレベルは上がったのか?」
俺はステータスを見てみた。
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【ルミナス】
性別:男
種族:半神
職業:魔王
レベル:1→18
スキル:『支配』
:『転生』
:『剣技』←New!
:『魔道』←New!
:『死霊』←New!
技能:魔刃
持ち物:支配の宝玉
支配……・ルイン : 夢婬魔
攻撃力:92→482
防御力:86→426
魔力:107→603
所持SP:500→1000
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3人殺して上がったレベルは17か。
まあレベルの上昇に応じて能力値が上がるのはわかる。SPが貰えたのも何となく理解は出来る。
しかし……
(スキルも増えている、だと?)
どういう事なのだろう。
今までは、俺の推測が正しければ“感情がピークに達した時”に自動的に獲得できる物だと思っていた。
しかし、現実にはスキルが3つも獲得出来ている。
しかもこの3つのスキル、転生勇者が持っていたスキル……だろうか。あいつらの特徴とほぼ一致している。
もし仮に、“スキルを持った相手”を倒す事でスキルを獲得出来るのだとしたら。
あいつらが持っていたスキルを俺が持っているのもおかしい話ではない。
しかし、それだとサファイアはスキルを持っていない事になる。
この世界に君臨する“四神”の内の一体というくらいだから、さすがにスキル無しというのはないだろう。
となると、俺は“サファイアを殺していない”事になる。
(あいつ、まさか“自殺”していたのか……?)
いや、でもそれはあり得ない。確実に“魔刃”で殺したはずだ。
となれば、ヤツは“四神”ではなかった、という可能性があるか。
……まあそんな事どうでもいいんだけどな。
実際、今問題なのはどうして俺がスキルを獲得出来たか、という点であって、サファイアが四神であるか否かなど、些細な問題なのだ。
事実として、あいつからはスキルを貰えなかった、ということが残るだけ。
(さて……気になってることを調べてみるか)
俺はふと思った。
俺のステータスの中で、唯一今まで触れてこなかった箇所。
(半神か……。多分、可能性があるとしたら、これだ)
そしてそのまま、説明を開く。
そこには、びっしりと羅列された文字列。
さすがに全てを一度に読み切るのは不可能だと考え、ざっと流し見する。
そして、とある一文を発見した。
▶神族の特徴として、スキルを持つ相手を殺した場合、そのスキルを奪う事ができる《殺奪》という特性を持つ。
やはり、か。
つまり、俺はスキル持ちを殺しまくれば、自ずと最強へと近づける訳だ。
「主様?」
「フッ、ルイン。安心しろ。しっかりとレベルは上がっていた。ついでにスキルも増えたぞ」
「本当ですか? それは良かったです!」
「このまま、暫くレベル上げを続けようと思うのだが、いいか?」
「はい、構いませんよ! ですが、この洞窟には雑魚しか……」
「構わん、まずはこの洞窟を制圧する」
そういう俺の顔には、自然と不敵な笑みが浮かんでいた。
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「“灼熱”!!」
「ガガァ……」
▶スキル『弓術』を手に入れました。
「“氷塊”!!」
「ピギィ……」
▶スキル『吸収』を手に入れました。
「“魔刃”!!」
「グァァァ……」
▶スキル『液状化』を手に入れました。
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と、いうわけでスケルトン、スライム、グールを倒し、スキルを次々と獲得した。
スキル持ちの希少な魔物は、なかなか居なかったが、運良く倒すことが出来たのだ。
そしてさらに、サファイアによって改造された洞窟をくまなく探索し、魔物という魔物を殺しまくった。
その結果、今の俺のステータスはこんな感じになった。
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【ルミナス】
性別:男
種族:半神
職業:魔王
レベル:18→32
スキル:『支配』
:『転生』
:『剣技』
:『魔道』
:『死霊』
:『弓術』←New!
:『吸収』←New!
:『液状化』←New!
技能:魔刃
:死んだフリ
持ち物:支配の宝玉
支配……・ルイン : 夢婬魔
攻撃力:482→786
防御力:426→680
魔力:603→1029
所持SP:1000→2500
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とまあ、こんな感じにはなった。
それにある程度魔法も使えるようにはなってきた。
「さて、ルイン。改めて俺の目標を言おう」
サファイアが居た、巨大な玉座に座りながら俺は言った。
「俺は、俺がこの世界に来た理由を解明する。だが、たとえ戻れるのだとしても、俺は戻らない。じゃあ何をするか。そんなの簡単な話だ。俺たちで“魔族の国”をつくる。そのためにも今は魔族を味方につけるところから始めようと思う。“今の”……魔族が居る場所へ、俺を案内してくれるか? ルイン」
「はい……! はい! もちろんです!」
ルインは飛んで喜ぶ。
そんな姿を見て、俺は。
「ははっ……! やっぱり、お前には笑顔が似合うぞ」
「へっ!? あ、あるじさま……?」
二人で、しばらくの間見つめ合う。
いつまでもこの時間が続けばいいと思った。
―――このひとときは、それくらい、儚く……楽しいものだった。
▶感情《楽》を取得しました。
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―――これは感情を取り戻す戦い。




