表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/369

case.6 【忍耐】の美徳 天使ラグエル

※事前告知にあったタイトルに、勘違いがあったので修正です!

いつも応援ありがとうございます!






「“剛剣ごうけん”ッ!」



 サタールが俺に斬りかかってきた。

 俺はそれを何とか避けながら思案する。


 今の状況はマズい。

 正直、勝ち目はほぼゼロだ。



 前衛職のエキスパートで、回復魔法も使える万能アタッカーのサタール。今は『鬼神化』を使っていて、攻撃や魔法、全ての威力が倍近く上がっている。

 しかも、“魔断まだん”という剣技を使うため、サタール相手に魔法は一切効かないだろう。


 そして、“勇者”の白夜。コイツは、実際そこまで強くはない……のだが、回避行動が異常なまでに速くて中々攻撃が当たらないのだ。

 回避しなくても、防御が素早いため、不意を突く以外にダメージが与えられるのかと不安になる。

 それに、勇者固有スキル『魔王探査』がある為、俺が“潜影せんえい”のような気配や姿を隠す技を使ったところで、すぐに居場所がバレてしまうのだ。


 さらに一番厄介なのが、“巫女”の月夜。コイツは、巫女固有スキル『未来予知』で俺の行動を先読みする事が出来るのだ。

 ―――俺も知らない、俺の行動を。



 と、いう訳で俺は今からそんな三人の相手を、5分間乗り切らなればならない。




「“炎天えんてん”ッ!」



 サタールは、俺お得意の魔法を放つ。

 さらに、



「“追い風”っ!」



 月夜が文字通り追い風を放ち、その勢いにのって今度は白夜が突進してきた。


 しかしその間も、サタールの“炎天”は空から降り注ぐ。



「クッソ……“炎鎧えんがい”ッ!」



 俺は“炎鎧”を使い、炎属性のダメージを軽減しつつ、サタールと白夜の二人・・を警戒していた。



「“双竜そうりゅう”ッ!!」



 突進して来ていた白夜が、俺から奪い取った双剣に、龍属性を付与させ、そのまま十字状に斬りかかってくる。

 さらに、



「“鬼流キル”ッ!!!」



 サタールも、白夜に合わせて同時に攻撃してきた。

 飛び上がって、そのまま回転しながらこちらへ来る。



「……ッ!!!」



 どうする、どうするッ!?

 横に避けるか? いや、それだとサタールがッ……。

 なら……後ろかッ!!!



「ヘッ、これで―――」



 俺が、後ろへステップを踏んだ、その瞬間だった。



「―――おにいちゃんっ! サタールさんっ! 後ろに飛ぶよっ!」



 ……ッ!!!

 息を、飲むしかなかった。


 何故なら、月夜のその言葉を受けて、サタールが急に回転をやめて、そのまま飛んできたからだ。



「サンキュー嬢ちゃんッ!」



 それに、白夜もそのまま走る足を止めない。



「もらったぜェッ!」



 気づいた時には、サタールが目の前に居た。

 そしてそのまま、



「グァァァァッ!」



 ―――右肩から斜めに斬られてしまった。


 傷口から血が噴き出ている。

 痛みと、暗がる視界に苦しんでいると、今度は白夜が仕掛けてきた。



「ハァァァァァァッ!」



 チッ……流石にそれは受けるわけにはいかねぇよな……?!



「……“潜影”ッ」



 命からがらに影へと隠れる俺。

 今、この間に『天魔アーク』で回復しないと……。


 俺は、傷口をスキルで癒やしながら再び思案する。

 そろそろ、5分経過だ。これでサタールも退場して、少しは余裕が出来るか……?




「―――俺っちが回復する隙を、アンタに与えると思うかい?」




 突如、そんなサタールの声がした。

 まさか……アイツ、影の中にッ!?


 俺は焦って、周囲を見回したが、サタールの影は何処にも無い。

 ……一体……何なんだ……?



「―――後ろだよ、アホ大将」



 え……?



「ガ……ハッ!」



 気づいた時には遅かった。

 俺は、背後から剣で背中を貫通させられていた。


 傷口が広がり、治療していた傷からは再び血がボタボタと流れ落ちる。


 そのまま俺は、“潜影”の効果が終了して外へ出てしまう。



「さあ、兄貴。そろそろ降参してください」



 白夜は倒れている俺を見下ろしながら、そう吐き捨てた。

 チッ……3対1でイキりやがって……!


 まだだ……まだ諦めないぞッ!




「さぁて、俺っちはここまでだ。お二人さん、後は自力で頑張りな?」


「はい……と、言ってももう勝ったような物ですが……」


「ヘッ、そいつァどうだかねェ。案外ウチの大将はしぶとい奴なんだ」


「え……それって……?」



 サタールの言葉に、白夜は目を丸くして驚いていた。


 俺は、スキルを使って超速で回復を進めながら、そのセリフを聞いていた。


 フッ……サタールのヤツめ……まだ俺が戦えるって分かってるから、んなこと言えるんだな……?



 いいぜ……やってやろうじゃねぇの!



 俺は、傷口が塞がった時点で回復を終了させ、ゆっくりと立ち上がった。



「そ……んなっ! 兄貴……なんでまだ立ち上がれるんですかッ!」


「ハァ? んなもん気合だ気合。いいか? 言っとくがめちゃくちゃ痛えぞ? それも超が付くほどな」



 実際、痛かった。

 腹も脇腹も肩も背中も、めちゃくちゃ痛い。

 スキルでできたのは、傷口を塞ぐだけ。


 噴き出した血液は戻ってこないし、ましてや痛みなんて消えるわけがない。



「じゃあ、なんでッ!」


「―――それは、やらなくちゃいけない事はやらないと、だからだ」



 俺は、そんな当たり前の事を言ってやった。



「え……?」


「親が、上司が、先輩が、先生が、どんなに嫌な奴でも、俺はハイハイ従って来たんだ。それがやらなくちゃいけない事だったから」


「やらなくちゃ……いけない事」


「今だってそうだ。俺はお前たちに、この世界での厳しさを教えようと思った。だが、俺の想像を遥かに超えて、お前たちは俺をここまで追い詰めた」



 まさか、ハンデありとはいえ、二人のコンビネーションがここまで良くて、しかもそれで俺にダメージを与えるなんて、想像もしてなかった。



「だが、このままじゃ格好がつかないだろう? だから、少しだけ本気を出す。もちろん武器は使わない」


「でも、それで俺たちに勝てると……?」


「余裕さ。今までどんな事でも耐えて耐えて耐えて……耐えてきたんだ。知ってるか? 塵も積もればなんとやら、だ。ここからが本番だぜ? 覚悟しな」



 俺は、少しズルいかもと思いながらも、両手に“魔剣”を生み出した。



「なっ……それはッ!」


「“魔剣”……まあ魔力を具現化した物を剣状にした物だから、コレはただの魔力だ」


「そんなッ!」



 俺は、全身の痛みに耐えながら、そう言い切った。

 済まないな、二人とも。


 少し手を抜きすぎたようだ。

 今から本気を出して、少しでも互角にしてやる!



「クハハ、それでは―――」



 俺が、そう言いかけた時だった。





『良くぞ耐えました。新たなる神よ―――』





 空から、突如として響いた声。

 女性の柔らかい声で、その言葉を聞いていた俺は、すぐさまその言葉の“神”というのが俺の事を指しているのだと分かった。



▶おい、魔王。嫌な気配がするぞ……?



 ハヌマーン……?



『実は、我も感じている。我ら大罪にとって、何かとてつもない危機が訪れているような……』



 さらに俺の中でベルゼブブまでもが、厭な予感を感じ取っていた。





『認めましょう、貴方のその力。我ら“美徳”たる天使が、貴方を神として認めましょう―――』




 すると、地下なのにも関わらず、太陽のような眩い光が訓練場を覆った。




「おい、誰だか知らないが……何を言っているのか分からないから、もっと分かりやすく言ってくれッ!」



 光に向かってそう叫びながら、俺は皇兄妹にサタールたちの方へ行くようにジェスチャーを送った。

 二人はそれを一瞬で理解して、移動を開始し始めた。


 サタールとルインは皇兄妹を守るように前に立ち、武器を構えた。




『―――あら、敵対するつもりはないのだけれど』



「いいからまずは誰なのか名乗れよ」



 いい加減不気味だ。

 光から女性の声、そもそも地下なのに光。


 それにさっき、美徳の天使って言ったか……?




『はあ、まあ良いでしょう。よーく聞きなさいね?』





『―――私の名前は、ラグエル。【忍耐】の徳を冠する至高なる天使よ』


ガバガバ設定許してクレメンス

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ