第一章4『現実のような悪夢、悪夢のような現実。』
耳元で聞こえてくる水の音。
心が楽になる、さわやかな音が耳に着くと、自然に目が覚める。
目を覚ますとすぐに見えるのは見慣れた噴水だ。
いつものように、冷たい水が流れている。
もう日が沈む夕方であるからか、広場は人たちがそれほど多くはいなかった。
もう慣れている。 こんなな日常。
昼には人が多く、夕焼けの時間になると少なくなって。
そして夜になったら、誰も外に出てこない。
変わらぬ、変わらなさそうこんな景色。
この村での日常は、いつもそうだった。
そして俺はその変わらない日常の中で...
死を見た。
「何んだ。これ?」
いつも俺が座っているところ。噴水前のベンチに座っている。
まだ鮮明だ、その状況が。
忘れられるわけがない、体感上10秒も経っていない。
右手が切られて、服と体は血だらけになったはず
変な話を繰り返す女に殺されたことまで。
本当に鮮明だ。
ところで?
これが何?
さっきまでも感覚が感じられなかった右手はある。
怪我ひとつもない。
噴水の中の冷たさも、よく感じられる。
確かにあったことだが、事実はなかったことだ...?
確かになかったことなのに... こんなに鮮明だ。 なんて...?
うーん...
結論が出た。
「夢だよね。」
それも考えることすらいやな悪夢
とてものどが渇いた。 体を回して、噴水の方角に向かった。
口の中にきれいな水が入ると、精神が冴えてくる。
いいだなあ、いったん水不足は解決され、その次は今俺に何が起こったのかということだが、
その質問、答えは凄く簡単だった。
全く、どこにも。 何も起きなかったと。
その少女。いや、その女が言ったへんなはなし。また何で俺を殺したか。
ほら、最初から俺はこんなに生きている、殺されたという話が成り立たないじゃない。
結局、全部夢だという話か。
「あ、なんでそんな夢を…」
ところで、俺、いつ寝てしまったんだ?
多分噴水の前で起きたから、朝に水を飲んだ後、すぐにか?
それじゃ、俺今日一日何もしなかった?
あ、俺、怠け者?
人生を意味なく過ごしているのか?
まあ、毎日そうですけど。
もう日が暮れる時間。
俺はいつも夜を過ごしている路地に足を運んだ。
いつも俺の日常へ。
何も変わらないそんな日常
「お兄ちゃん!」
俺はその場で足を止めた。
そして音が聞こえてくる方向に転じた。
あの遠くで、一人の少女が。 リコが走って来ていた。
「何だ、なぜまだここにいるの?
えっ、まさか玉、みつけたの??」
玉。
俺はリコの問いに何の返事もできなかった。
ただ、見つめるだけだった。
「なぜそんなに眺めてる? アタシの顔に何かついた?」
絶対に、初めてで見る人にする行動じゃない。 これは。
「リコ…?」
頭の中がさらに頭がさらに複雑になる。
「なぜ、なぜそんな顔する?まさかお使いがあまりにも遅く終わったと怒る......」
さっきの自分だったら、そうだったかもしれない。
しかし、今ではない。
「リコ・・・お前...だろう?」
声がとても震える。
「なぜ、どうしたの?まさか玉を見つけることができなかった?」
俺は何の返事もしなかった。
リコが俺を知っている。
玉を探しに行った事実まで、全部知っている。
...というのは。
どこから、夢だった?
「大丈夫だよ? 明日また探せばいいから。 今日はもう遅いから、休んでも大丈夫よ?」
「リコ、知りたいことがあるが。」
「うん…うん、何が? 何かおかしいよー?さっきから。」
俺は指で、空を指しながら言った。
「確かに、今は夜だ。そうだよね?」
「うん。空を見れば分かるんじゃない。」
リコが小さな指で指した空を飛ぶしばらく見上げた。
美しい黄昏、確かに夢で見た天と同じだった。
俺は少し息を止めた。
さっきから俺がやってきた質問。
その正解ではない質問を、もう一度深く考えた。
実は正解じゃないことではないかも知れない。 ただ、
俺がその正解を避けたかも。
完全に、とんでもないといという理由、無視したその誤答を。もう一度深く。
「リコ、よく聞いて。」
俺はリコの肩に手を挙げた後、目を合わせた。
「うん?何よ?こんなに顔を近く」
いや、まだなにも説明できない。 敢えて混乱させる必要は…
「いや、何でもない。」
言う必要がない。どうせ最初からありえないことだ
じゃ、俺が、死んで復活したと? はあ?
「確かに。夜だね。 日が暮れている。」
いつのまにか日が暮れている。 まもなく夜になるはずだ。
今日一日もそうだ。
「なぜあえて空を見てるんだ。 アタシがさっきタイムクリスタルをくれたんでしょ?」
あ、そうだっだ。 この時間を教えてくれと言っていたそれ。
今度こそきちんと使う機会だね。
ポケットに何が入っている気分は久しぶりだ。
俺は手をポケットに入れてそのガラス瓶を取り出して、
瞬間、そのガラス瓶を落とすところだった。
「うん、え?見る方法を分からないの?仕方ないねーさっき説明したのに。」
リコが俺に近付いてきた。
俺は手に握っていたタイムクリスタルを急にポケットに入れた。
槌に頭を打たれた気持ち、さっき感じた身の毛が再びなどを乗って登っているようだった。
「なぜ急に隠すの」
もちろん、このタイムクリスタルは俺のものではない。 俺のすぐ前にいる子のことだから。
それでも返すことができない理由が存在した。
いや,俺が子どもの物を奪って持って遊ぶ悪趣味があるからではない。
「リコ、これ。俺がちょっと持っていても?」
「うん?別に関係はないけど......何で?」
問題を起こしたり、むやみに扱って割れたりする深刻な問題がない。
もちろん、俺の立場ではこちらがさらに深刻な問題だ。
「リコ。今は話してくれることができないよ。本当にごめん、これ、ちょっとだけ貸すよ。 うん?」
「何だ、さっきから。なぜそんな顔すんの?」
「ねえ、アタシも一緒に行ってもいい?」
リコが腕を開いたまま俺の前に立った
今リコは俺が自分のためこんなことをするのを分かってはいるのかな?
いや、ありませんとも
「いや、リコ。ここにいって。お願いだ。」
俺が思っているのが正しいなら、俺一人で行くことも十分に危険だ。
そこにリコを連れて行ってからは、その次は想像することも嫌だった。
声でいたずらという気配が感じられなかったのか、リコは素直に納得した。
「あ...分かったよ、それでも夜には獣が...出る...」
さっきよりはるかにしょんぼりしているリコ。
それを確実に感じられたが、今の俺はそんなことまで気をする余裕などない。
「リコ。」
「き・・・聞いてる。」
「俺がもし夜まで来ないとしたら......」
「大人たちに言って。 わかった?」
リコがゆっくりとうなずくのを確認して俺は席で起きた。
リコがこれ以上みえないときまで俺は歩いて、歩いた。
そしてリコが視野から消えると共に、俺はポケットからガラスビンを取り出した。
「はあ、俺に・・・」
「何を認めさせるつもりか…。」
ポケットに入っていたタイムクリスタル表面には。
誰のものか、分かるような血がいっぱい付いている。