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俺の目に映る空は作りモノだ。  作者: 黒い歯
プロローグ:『世界の果て』
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プロローグ『最後の始まり』

こんな話を聞いたことがある。


我々の人生に、運命などはないと。


つまり、我々のすべてのものは偶然。


ただ、その偶然が複雑に絡み合って、いるの間にか強い縁になって。

その縁が一つ一つ集めてひとつの運命に変わるって。


我々の人生は、そんな運命を作り出すと。


どう見たら本当につまらない話だ。


いやいや、僕たちがなぜそんな偶然の罠に掛けらなければならないんだ?

そもそも僕たちが『私、生まれます!』と言ったことあるか?


そんな考えに達するようになれば、神というやつが何を考えているのか凄く疑問だ。


本当にただ退屈だという理由で僕たち、人間を作ったのか。


まあ、詳しいのよく知らないが、一つだけは分かる。


それは、その神というやつは...

今僕の前にいる神とは違う存在だということを。



さっき女性の悲鳴がどこから出たのかも知られない。

そんなことをいちいち気を使うほど都合が良い状況ではないんだ。


結局こんな展開か。


周りを飲み込んでしまった黒い霧。

さっきまで確かに一緒だった仲間たちは全然見えない。


全身を締めつけられる恐怖感は、何の声も出せずに僕の口を押さえた。


唇に触れるその感覚は氷のように冷たい。


今、僕の体が動かないのは、奴の能力のせいか、じゃないと怖くて動けないのか。


そんなことをゆっくり考える余裕などは、もう僕にはない。

あったら逃げたんだろう。


すべてを呑み込む真っ黒の闇。


その暗闇より、暗い存在が、僕の目の前に現れた。


「やはり口から止める方がいいね、さっきあの子はうるさかって大変だっだ。」


甘いながらも威圧的な声、僕の耳元にささやかせる。


はあ、うるさかったって…


誰かには人生の最後の瞬間。その最後の瞬間に出した絶望の悲鳴が、こいつには、ただのうるさい音にしか聞こえないというのか。


このままじゃ、僕もなくなる。

誰の記憶にも残っていないまま。


畜生、こんなとんでもない相手にどうやって勝てる?


今まで、僕たちはそれなりに強いと思った。


当然なことだ。 僕たちはこの世界で指折りの最強者たち。

俺は違うかもしれないけど、少なくとも仲間たちはそうだ。


そのため、僕たちはここまで来た。

数多くの逆境を超えて、僕たちを制止した存在をなくして出て行き、今ここ。最後の段階まで来た。


ところで、これが一体何だよ。


やつの顔を隠している仮面では、赤い瞳しか見えなかった。


まるで夜空の赤い月のように、自分にとってそう見えた。


実は、僕たちはこの世界に来た瞬間からこうなる運命だったことではないだろうか。

僕たちがいくら努力しても、今までの全ての壁も乗り越えても、こいつにはダメなのか?


すべてが、決して勝てない存在の前では無意味なのか?。


わかっている。

事実はわかるよ。


僕は前から疲れていたということを。

諦めたいという思いが、既に必ず脱出できるという希望より大きいということを、感じているんだよ。


この前の男『神』に何をされても、僕ができるのはもうないんだろう。


まあ、もういい。


もうここに。


希望などない。


どうせ皆ここで。

消えてしまう・・・


「大丈夫か?!」


すべてのことを放棄して目を閉じたその時だった。

信じられて頼りになる誰かの声が。


黒い霧の向こうで、聞こえてきた。


「何とか言って!」


忘れていた。 僕は独りではないということを。

まだ、忘れなかった。 君たちの名前を。


僕に大丈夫かと聞いてくれたあの女性の声、僕たちのパーティの戦闘魔法使い、カエリ、その次に聞こえてきた声、俺たちのパーティの戦死、リバス。


はっきり記憶している。

君たちの名前を。


そして... 先のその悲鳴。

確かにあったが、今はみんなの記憶から消えた彼女。


今僕がここで、全てのことを放棄すれば、結局、僕も彼らの記憶から忘れられるだろう。


そんなのはいやだ。


ここで虚無にも忘れるのはいやだ。


彼らとともに過ごした日々を、一緒にいた思い出を。

そのすべてを一緒にした僕という存在が。 忘れられるのは遠慮だ。


すでにあいまいになっていく意識をやっと掴んだまま、奴の手を打った後、叫ぶ。


お互いの瞳は見えなかった。 返事が返ってくるという確信もなかった。


返事が帰ってこない質問はいつも悲惨だ。

しかし、、返事が必要ない質問はいつもあるものだ。


「僕は大丈夫!だから...」


「絶対に。あきらめるな!!」


なぜ嘘をついたんだろ。

ひぁ、事実は大丈夫じゃないですけど。


行くと向こうの赤い目が、少し歪んでいた。

僕をつかまえていた手が消えた今、僕はその刹那の瞬間を逃さなかった。


こぶしを強く握った、そして、その仮面へ飛ばした。


絶望的と言うべきだろうか、予想通りだ言うべきだろうか。


僕の拳は、奴の他の闇、黒い手にそのまま詰まってしまった。


心の中から押し寄せるわからない感情に、僕はつい笑ってしまった。


神は分からないというそうに聞いた。


「笑える? このような状況に?絶望的な表情がよく似合った状況なのにね。」


「そりゃ、そうかもしれない。 しかし、今回のは僕の勝ちたから。」


「はあ?」


神は首を傾げる。


「お前は、見えないところで攻撃したから、無効だ。 反則だよ。失格だよ」


「しかし僕は正々堂々に攻撃したから、セーフ。点数は1対0。」


やつの表情がひどく気になるんだけど、見えなくて残念だ。。


「僕はここで降伏だ。点数は、僕が勝っだ。 偽神」


僕の目の前の大きな黒い空。

あの空に咲いている赤い満月。


今は、三日月。


「こんな状況で冗談か? 滑稽だな。心臓がとまるくらい面白い。」


「ハハ、偽神さまにほめられるなんて、嬉しくて仕方ないですよね。」


「面白いやつよ。一つだけ約束しておく。」


「みんながお前のことを忘れても、俺がお前のことを忘れないと。」


その言葉が終わった直後、僕は、限りないどこは横に投げ出された。


この場所がどこなのか、分からない。

ただ何も見えない、何も聞こえない。

それを明らかに感じることだけだ。


もう誰も僕を助けてくれない、そんな事実に、唇も動かなかった。


この感情は何だろう。


怒りか?


違う。


悲しみ?


それも違う。


ただぼくは何も変わらなかったという、そんな無力感だ。


人間たちが監禁された仮想現実ゲーム。レックトライ。


僕たちは脱出に向かうこの最後の戦いで大敗北した。


この…偽界での僕のエンディングは

多分バッドエンドのようだ。


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