ボスと死と友情
ちゃーん!12話です!
「やぁ、待っていたよ、冒険者の御一行、よくここまでこれたね、だが、ここで死んでもらうよ」
と、ボスは笑顔で俺らを見る。そしてボスは
「おやおや、そこに居るのは憎きトゥイス家の子孫じゃないかい?」
それに対しフレンは
「あぁ、そうさ、というか何故お前がここに居る?」
という具合に勝手に話が進んで行きそうな流れなので俺は一回ストップを入れる
「ちょ、すいません、えっと、俺たちに説明して頂けます?」
俺は少し控えめにボスに説明を求めた。するとボスは腕を腰に当てて話し出す
「私は元魔王軍幹部、鋼使いのラフィス、何故倒されたはずの私がこの場に居るかだが、詳しく内容は言えないが、とある人物のお力で復活することが出来たと言うことは教えてやろう!」
そういうとラフィスはゲラゲラと笑い出した
それを聞いてフレンは補足をするように話しながら剣を抜き、両手で剣をしっかりと持ち、構える
「あのラフィスって奴は僕のひいお爺さんに当たるトゥイス・ライト・ゲルンが倒した幹部だそうだ、あいつは剣豪ゲルンと呼ばれたひいお爺さんでも倒すのが大変だったと聞いてる、本気でいかないとやばいだろうね」
そうフレンは忠告する
そう言われた俺は心の中で
《はぁ?!俺まだこの世界に来て数日ですよ?!もう幹部さんですか?!もうちょっとヌルゲーかと思ってたのに、なんだよこの世界は!無茶にも程があるでしょ?!…あぁ、でもこのダンジョンに来ることになった理由って、俺とユキが上級職だったからだよねぇ…ちっ!!あぁもう!考えるのはやめた!やりゃいんでしょ!やりゃ!ここまで来たならラフィスをぶっ倒して帰るまでだ!》
俺は覚悟を決めて「そうだな」とフレンに返事を返してから、刀を抜き、構えた
それを見たユキは心の中で
《どうしよ〜!これ完全にやばい敵だよね?えっと、前衛は2人に任せて私は回復魔法を後衛から使い続けよう!これしかない!》
そうユキも覚悟を決めた
俺は勢いをつけるために声をあげた
「よぉっしゃー!行くぜ2人とも!覚悟しとけよラフィス!!さぁ!!“剣と魔法で幹部討伐!”開始だぁ!!」
俺のその掛け声と同時に戦闘が始まった
最初にフレンが走り出す、迫って来るフレンを見てラフィスは剣を出し、構えた
フレンは剣を思いっきり横に振るが、ラフィスはそれを綺麗にかわし、フレンに剣を振った
ラフィスの振った剣はフレンの左腕に深い切り傷をつけた。フレンは
「ツッーーー!!」
と痛みを堪えた。
だがフレンの左腕の袖は流れる血であっという間に赤く染まった
それを見たラフィスは
「おや?ただ少し切りつけただけなんだが、この程度も避けられないとは、トゥイス家も劣ったものだねぇ」
と、フレンを挑発する
すると俺の後ろから
「回復魔法、《オールヒーリング》!」
と、言うユキの声が聞こえた
するとフレンの左腕はすぐに治り、服に付いた血も綺麗に消えた。フレンはニヤッと笑い素早くラフィスの後ろに回り、
「上級剣術、《十連斬》!」
と、そういうとラフィスの背中を凄い速さで十回程切る
すると相当なダメージが入ったようで
「くっ!舐めてはならんなぁ、子供でもあのトゥイス家の子孫なのだからな、殺す気で行かなければ」
そういうと構えているフレンめがけて走って行く、フレンは剣を縦にしてラフィスの剣を受け止めようとしたが、ラフィスはフレンの少し手前で
「最強剣術、《大切断》!」
と、ラフィスが言うと剣が赤く光る
そのままフレンの剣めがけて剣を振るうと、フレンの剣が粉々に粉砕した
「なっ?!」
フレンは驚きの声をあげる
そしてフレンの剣を破壊したその剣はそのまま止まることなくフレンの腹を切り裂いた
フレンは腹からバックリと切れて、上半身は飛び、地面に強く落ちると、上半身の下も下半身の下も一瞬で血溜まりになった
ラフィスの剣からはフレンの血が滴り落ちる
「あれぇ?少し本気でやり過ぎたかなぁ?まぁ、良いよね」
とニコッとする
ユキは唖然とした顔で涙を流しだす
俺は怒りを爆発させた
「…ざけんな…」
「え?聞こえないなぁ?」
と、ふざけた顔で俺に挑発する
「ふざけんなって、言ってんだよ!このクズ野郎!地獄におちやがれぇぇぇ!!」
俺はそう言ってラフィスめがけて勢いよく走り出す
「死ねぇ!!友情剣術!!!《インフィニティスラッシュ》!!!」
そう言ってラフィスを走りざまに一回切った
「は?たった一回切ることをインフィニティって言うのか?馬鹿だなお前」
そうラフィスが言うので
「はぁ、馬鹿はどっちだろうね、上半身を見なよ!」
ラフィスが自分の上半身を見た瞬間にラフィスの上半身が輪切りになる
「な…ん…だと、こんな低レベルに私がぁぁぁ!!」
そう言い残してラフィスの体は消えた
そして消えた直後にどこか遠くからラフィスの声が聞こえた
「ふぅん、なるほど、まぁ言っちゃうとさっきのは私の複製体だ、本当に殺り合える日を楽しみにしているよ!ワァッハッハッ!!」
その声を聞いて俺は
「はぁ?!嘘だろ、フレンを殺した奴とまた戦わなきゃいけないのかよ…」
そう言って俺はゆっくりとフレンの死体に向かって歩いていく
ユキは既にフレンの死体の前で大泣きしていた
「うわぁぁぁん!フレン…短すぎるよぉ!まだ出会って数日じゃん!なのになんでぇぇ!!」
「ユキ、フレンに回復魔法をかけてやらないか?上半身と下半身が分かれてちゃ可哀想だ」
そうユキに言うと
「うん、そうだね…」
と、言ってくれた
俺はフレンの上半身を持ち上げ、下半身とくっつける。
「回復魔法、《オールヒーリング》…」
そうユキが言うとフレンの上半身と下半身は元通りになり、血溜まりも綺麗に消えた
そしてユキはハッとした顔をして俺を見る
「あ!私そういえば、私、蘇生魔法かけれるんだった!」
と、言う
「まじか?!なら、早くフレンにかけてやってくれ!」
俺はユキに頼む
「言われなくてもやるよ!じゃあいくよぉ!………蘇生魔法、《リザレクション》!」
ユキはフレンの心臓部分に手を当てて、そう言うと
フレンが息を吹き返す
「がはぁ!……あれ?僕は死んだんじゃ…」
そう言って俺とユキの顔を見ると、すぐにフレンは納得したような顔になり
「なるほどね、君たちがラフィスを倒して僕を生き返らせてくれたわけか…ありがとう!そしてただいま」
そう言ってニコッと笑った
それに俺は
「あぁ、おかえり!蘇生はユキがしてくれた、ラフィスは…正直、フレンが居なかったら倒せてなかった、しかもあいつは複製体だった…」
と、教えた
ユキは
「おかえり!フレン!生き返って良かったぁ!」
と、気持ちを伝えていた
「あぁ、心配かけて悪かったね、でもユキのおかげで体調もバッチリさ!まぁ募る話も有るだろうけど、それは宿に戻ってからって事で」
と、言って起き上がる
俺らはその意見に対して頷くと3人で一緒にボス部屋を出た
俺は寝かせているハンネをおぶって、3人でダンジョンから出て行くのだった
死を味わった聖騎士
ふぃぃぃ、戦闘もひと段落!
次回からは緩めに戻り、いろいろ進展し始めますよぉ!!