異世界転移
「あなた、この世界の人間ではありませんね」
ー・ー・ー・ー
『!!は! はぁ、またおんなじ夢か…』
最近同じ夢ばかり。姿形は分からないけど、黒いモヤがかかった人?に同じセリフばかり言われる。
ベッドに上半身だけを起こした状態で額に手を当てる玲奈。
肩にかかる程の黒髪で寝起きのため、少しボサついている。
毎日ではないが、結構な頻度で同じ夢を見ているため、何か起こるのではないかと思っているのだが、日常生活は特に変わったことはなく平凡な高校生活を送っている。
今日もいつもと同じように、制服に着替えて家族と朝食を食べ、自転車に乗って高校まで走り出した。
気持ちのよい春風を自転車で切り抜けていく。
途中の道で、ちょっとした雑木林を横切るのだが、何故か雑木林の手前で自転車を止めた。
『フンフンフ〜ン』
鼻歌を唄いながら、雑木林の中へ入っていく。
少し奥へ入った所で、ふと我に帰る。
『あれ、なんでここにいるんだっけ?』
外に出ようと振り返ると、なんだか目の前の景色がおかしい。目の前の空間が歪んでいるのだ。
『え、何なに』
あり得ない事が起こっており、頭の中で処理が追いつかない。歪んだ景色を見て、だんだんと気持ち悪くなってきた。手で口を抑えて、なんとかその場をやり過ごした。
そのうち、景色は元に戻った。
一刻でも早く、ここから出た方が良いと咄嗟に思い、走り出した。
雑木林を出ると、いつもの風景がそこにはなかった。
『自転車がない。ってか、ここどこ…』