朝ごはん
Yes!祝日てすの
その後、すぐに全員集まり、朝ごはんが始まる。普段は4人用のテーブルにもう1つ余分にイスが追加されていた。食べ物は数枚の焼かれたバゲットパン、サラダ、マッシュポテトにスクランブルエッグと言う具合だった。簡単なメニューばかりだったが、不思議と言葉を失うくらい美味しく、自然に食べるスピードが速くなった。と、そこで、自分が思っている以上にお腹が減っていたことに気がつく。たしかに、俺が川で溺れてから、何時間たったのかもわかってないのだ。どれほど時間がたったのか想像もできない。向こうの世界ではもう何時間過ぎているのか。行方不明届でも出されて捜索されているだろうか。1日帰らないだけではそこまで警察も動かないか…。だが、家族が心配していることだけは確かだろう。もしそんなことになっていたら……
「お口に合いましたか?叶人さん」
サラさんが心配そうに聞いてくる。ハッとする。知らず知らずのうちに難しい顔をしていたのだろう。心配をかけないようできるだけ笑顔をつくり、
「はい、すごく美味しいかったです。ありがとうございました」
「そうでしたか」
と、深く聞かずに、微笑んで皿を片付けに行った。
「それで、どうする?」
すかさずアリスが顔を寄せて尋ねる。何のことか分からずに目を瞬かせる。少し考えてから、魔法を見せると言う約束のこと思い出す。
ちょっと早い気もするけど、どうするか…
「そうだな…まあ早速だけどお願いするよ」
「うんっ、分かった!じゃあ外でやるから行こっ!」
アリスはそう言うと立ち上がり、まっすぐ玄関に駆けていく。俺もその後を追おうと立ち上がり、ゆっくりと床を踏みしめた。
外に出ると、野原が広がっていた。芝生のような地面からあちこちから草花が彩る。少し行ったところに森がみえる。どこかの峠なのか、下には街が見えた。時折吹いてくるそよ風が少し冷たく気持ち良い。
「へえ、こんなところに住んでるのか」
辺りを見回してそう話しかける。アリスは右足を軸にくるっとターンしてこちらをむく。あ、つまづいた……
「う、うん、いいとこでしょ?」
「ああ、そうだな」と同意する。
「でもなんでここに?あっちの街の方に住もうと思わなかったのか?」
街中の方が何かと便利に思えるが。アリスはうーん、と声を出す。
「パパがね、街は狭くて息が詰まる〜って言ったからここに住む事にしたんだって。前にママが言ってたよ。ここの方が気持ちいい〜もんっ」
そうか、と適当に相槌を打つ。
「じゃあそろそろ始めよっか」
アリスが手を叩いて、話を終わらせる。
話のネーミング難しいてすよ