川と猫と俺
一話で既にブックマークつけてくれた人、センキューてす。これからも投稿してく予定なのてどんどん来てくれて構わないのてすよ♥(棒読み)
学校から家までは、歩いて35分程度。現在の気温も35度、同じだからといって何かあるわけではないが…喉が渇いたので途中の自動販売機で適当にお茶を買う。やはりこの猛暑の中、何も飲まずにはいられない。キャップを開けて一口を口内に含む。冷たく、スッキリとした味わいが喉を潤す。
静葉にも言ったが、今日は母親の誕生日だった。家族は俺と妹と母親の3人。父親はいない。母さんは今まで女手一つで、俺達兄妹を養ってきてくれた。そんな母さんの誕生日会をする事にいくらか目を細める。川にさしかかり、近くに架かった橋を渡る。道路の向こうのほうで陽炎が揺らめいた。
川のほうをふと眺めると、ダンボール箱が流れていた。そのまま視線を前に戻そうとして、固まる。気のせいだっただろうか。もう一度ダンボール箱を凝視する。
……
気のせいか…
いや、違う。ダンボールの中で何か動いている。生き物だろうか……
と考える前に、俺はもう、橋から飛び降りていた。
数瞬の間、空を滑空して、体が水面に叩かれる。
バッシャーーーーンっ
水しぶきが盛大にたち、衝撃で体がヒリヒリする。だがそんなことに目もくれず、全力でダンボールに向かって泳ぐ。
昔は正義感が強いと言われていた。幼いころから、喧嘩をみると仲裁にはいり、なにかしら困っている人には声をかけずにいられない。そんな子どもだったと母さんから聞いたことがある。もう古い記憶でまったく覚えていない。歳を重ねるごとにその性分も薄れていったようで、今や見る影もなくなっていた。
そんな俺でもこの時だけは、昔の自分に戻っていた。俺がここで目を背けて、ただの見間違いだったのだと完結させるのは簡単なことだ。だがしかし、どんな命だって、死んでいいはずがない。見捨ててしまうなんていうことがあっていいはずがないのだ。そんなことするくらいなら、ここで溺れるほうがマシだ…ッッッ!
絶対に助ける……
そのダンボールは俺の前からスーッと遠ざかっていく。さらに必死に水を掻く。
「ま…ハアッ…てよ…」
俺は別に泳ぎができるわけでもない。さらに服が水をすってかなり重いという最悪な状態だ。もう息も苦しくなってくる。だが、今だけは、今だけは……
「ハァ…あ、あああああ!!」
もてる力の全てを腕に込める。少しずつダンボールとの距離が縮まり……俺は左手でそのはしっこをどうにか掴む。
よし、後は川から上がらないと……
ちらりと箱の中を覗いてみると、一匹の黒猫が尻尾を揺らりと振ってこちらを見ていた。衰弱した様子もなく大丈夫そうだ…
その箱ごと猫を背に担ぎ、岸辺に方向転換する。が、時間を追うごとに疲労感とネコの重みが重なっていく。
あと、6mだ……必死に水を掻くが、力が抜けていく。
「ッッ!!ゲホッ!」
泳ぎが雑になり、誤って水を飲みこむ。遂に、泳ぎを止めてしまい、沈み始める。このままだと、このネコまで溺れる……
俺はダンボール箱の底を必死の思いで持ち、精一杯岸辺に向かって放り投げる。反動でまた水を飲み、息が止まる。その合間に箱は放物線を描いて、土手に落ちたのが一瞬見えた。よかった……無事を見届けた俺から力が抜けた。意識が薄れきながらも、水面に手を伸ばす。しかしそれも虚しく、どんどん水平線は遠のいていく。
息ができなくて苦しいーーー
が、少しずつそれも和らいでいく。太陽の光で反射した水面は、死に際だというのに美しいという感動を与える。ただ、まぶたが重くなっていくのを静かに感じていた。
次から本題てすよ。最近ゲームが忙しい……それは忙しいと言わないてすかね?