それぞれの思い
作り置きがなくなったてすの……頑張ってかないと……
言葉の意味が分からず、ただ言いつかえてしまう。
「どうせこの家にいつまでもいる訳にいかねぇんだろ?俺も今はこんなことしてんだが、普段は世界中の場所をを旅すんのが好きでなぁ。オレと来るなら旅の途中で、自分の力のこと、元の世界に戻る方法なんてもんも見つかるか分かんねぇぜ?」
それは確かに悪くない話だ。アリスの家でいつまでお世話になるかもわからなし、迷惑なんてかけられない。それにここにいて事態が進展しそうな気もしれない。魔道士がどれほどすごいかはまだピンとこないが、彼は様々な方面に顔が広そうだし何か分かる可能性はある。世界中を回ることが出来るのか……俺はアレクの目に向き直り、
「はい、ぜひお願いします」
はっきりとそう答えた。アレクは満足そうにうなづく。
「そうこねぇとなぁ。っつーわけでレスターさん、同意の下でコイツはもらうぜ?」
俺が物扱いのような言い方には気になるが、俺はこの人としばらく過ごすことになるようだ。アレクはそう言ってレスターさんに目を向ける。さっきはこのことで揉めていたのだろうか。
「本人の希望なら、仕方ありませんね」
少し自嘲的にレスターさんは言った。
「だから、テメェらの娘が評議会から帰るときには付き添いも付ける。心配はしなくていいぜ?」
「だってさ、アリス」
アリスはずっとうつむき、何も喋らなかったが、パッとアレクの方をむき、
「わ、私もこの人についてくよっ」
その言葉に皆目を丸くする。
「あ、アリス?」
俺はアリスの真意を取ろうと聞き返す。アリスは真面目な顔をしていた。冗談ではなさそうだ。
「私も叶人くんと一緒にアレクサンダーについてくの!」
「理由がよくわかんねぇな……あとオレの名前はアレクだから間違えてんじゃねぇ」
アレクは不満そうにぶつぶつ呟いている。レスターさんは困惑していた様子だがアリスに訳を聞く。
「…アリス、どうしてかな?」
アリスはそっぽを向いて拗ねたように、
「だって……だって私、もう叶人くんの力になるって決めたんだもん!」
「それに、パパ!」
アリスは真剣な表情でレスターさんを見つめる。アリスの顔は「分かって!」と言っているかのようだった。レスターさんも驚いたようにまじまじとアリスを見る。そしてぽつりと
「アリス、本当に君は……」
長い沈黙だった。しかし、レスターさんがクスリと微笑んで
「うん、わかったよ。そうすればいいよ」
「パパ!」
「親父!?」
「あなた!?」
アリスは嬉しそうに、エールは意味不明とばかりに、サラさんは悲鳴気味の三者三様の声があがる。それを諭すようにレスターさんはゆっくり言う。
「サラ、アリスの思う通りにさせよう。この子もちゃんと考えてそう結論を出したんだ」
「でも……」と言いながらサラさんはアリスとレスターさんを交互に見ていたがやがて、
「もう、しょうがない子ね。言い出すと聞かないところパパにそっくりよ?」
観念したように笑う。
「ママっ!」
アリスはサラさんに飛びつく。サラさんも愛おしそうにアリスを両手で包み込む。その様子を見て、ついつい俺も顔が緩む。過ごした時間こそ短いものだったが、この一家の家族を思う気持ちは十分な程に伝わっていた。
「盛り上がってるところ悪ぃが、オレ、まだ何も言ってねぇんだが……」
話から外されたアレクの最後の小言にみんなで大笑いした。
一応メインキャラは今のところ、叶人くん、アリスちゃん、アレクんの3人てすの