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ウタガミ  作者: らいとぱ
1章「そしてようやくオーバーチュア」
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ディナータイム

「「り、竜!?」」


 驚きで声がはもる。そうは言ったものの、竜というより蛇に近い。

 手足はなく、体を左右にふってニョロニョロ動いてくる様はまさに蛇さながら。

 体長は目測でだが、20mはある大蛇。しかし、俺はこの化物をあえてドラゴンと呼んだ。

 何故か。

 それは有無を言わせない絶対的な力がそうさせたのだ。あれはドラゴンだ。と言う押しつぶされそうな圧迫感に見舞われたのだ。恐怖・戦慄・絶望、そしてほんの少しの恍惚。様々な感情が入り混じり、俺はその場から動くことができなかった。こんな経験をしたことが人生であっただろうか。竜は俺達を見てじっとしていた。奇妙で静かな、しかし確かに渦巻く殺意の間が空く。


「……っ…叶人くんっ!に、逃げよっ!?」


 俺と同じくしばらく固まっていたアリスだったが、俺よりいち早く回復して叫ぶ。俺もようやくハッとして来た道を全力で引き返す。ただ、本能の赴くままだった。


「っていうか、なんでこんな森にドラゴンなんかがいるんだよッ!?」けっこう最悪なファーストコンタクトなんですけど。


「し、知らないよぉ〜!!!!」


 ああぁ、ちくしょう…

 何も考えず、足を動かす。奴は追って来なかった。全く物音が立っていないからすぐ分かった。だが、俺には分かった。奴は、俺たちがどんなに逃げていたとしても、捕まえられる自信があるのだろう。それはおそらく、人がアリを踏むのにわざわざ全力を出さなくても、必要最低限の動作で潰そうとするのに通じるものがある。そしてこの場合、人はドラゴン、アリは俺とアリス。走りながらもアリスに声をかける。


「な、何かっ、魔法はっっ!?」


「魔法!?そ、そんなこと言っても……」


 が、突然遮られる。ドラゴンが動き出した。蛇のように体を器用にくねらせ、かなりのスピードを出している。


「この際、なんでもいい!!アイツの注意を引ければなんでも!!」


 こうなれば追いつかれるのも時間の問題だ。その前に手を打たないと……!切迫した声にアリスは真剣な表情になる。


「わ、分かったっ!え、えとじゃあこれ!!」


 そう言ってアリスは上体だけひねり、ドラゴンに手をかざす。


「えい!!」


 パーーーーーンッッ!!!!

 盛大な音と共に光が弾け飛ぶ。恐ろしい程眩い光が辺りを包む。直接光を見たわけではないが、急な閃光が目に飛び込んできて一瞬なにも見えなくなる。


「ギャガガガガォォンンンンン!!!!!!」

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