紅の眼
今日から僕は吸血鬼、更新です!
主人公は一体どうなるのやら(*^^*)
それでは本編どうぞ!
時刻はすでに夕刻を迎えていた。
僕はこの昼と夜の間のこの時間が大好きだ。
真っ赤に染まった空を見上げながら僕は帰路に着いた。
帰路の途中、僕は近所の本屋に寄った。
この近所の本屋さんは古本屋でその蔵書はかなりの物だ。
週に何度か寄ってもう一年近いが、未だに『吸血鬼』に関する本は山のように出てくる。
店長のおじいさんは僕を孫のように可愛がってくれて、よく自室の書斎に案内してくれる。
僕はそこでおじいさんと一緒に本を読むのだ。
店の本を読んでも大丈夫なのか?と聞いてみたが、おじいさん曰く、
「本が好きな若者もずいぶん減ったしのお。ワシも趣味で本を集めたもんじゃから一緒に読書をできる蓮くんが来るのは大歓迎じゃよ!」
と言われたので遠慮なく使わせていただく。
今日は英語で書かれた本を読むことにする。
別に中二病とかそんなのではない。
日本語の本だけでは探し求めていた本に出合えないと思ったからだ。
そのためだけに英検の2級をとって、今も準1級に挑戦中だ。
やはり目的をもって学ぶ姿勢は大事だ。
目的があるだけで何倍も効率が上がる気がする。
そんなわけで、今日も携帯の辞書機能を片手に洋書を読み漁った。
「リーンゴーンリーンゴーン」
いつもの時間だ。
おじいさんの古時計を合図に僕は本の片づけを始めた。
おじいさんも本を閉じ、店じまいの準備をする。
相変わらずお客さんは少ないがどうやって生計を立てているのだろうか。
僕はいつもそう思うが口には出さない。
これだけの蔵書を持つ店だ。
お金にはまず困らないだろう。
「おじさん!今日もありがとう。また見に来てもいいかな?」
「もちろんじゃとも。今度はお友達も連れていらっしゃい」
「はい!それじゃあさようなら!」
(お友達…。紅さんも誘ってみようかな。)
僕はそんなことを考えながら帰路に着いた。
家に着いた。
僕は家に着いてから食事を取り、お風呂に入った。
僕は、図書館で借りた本を夜の楽しみとしている。
お風呂上がりの読書は最高だ。
一日中本読んでるじゃないかと思うかもしれないが、これが僕の日常なのだ。
これが僕に友達が出来ない大きな理由なのだがそれでもいい。
僕は人生の友は少なくてもいいと思う。
ただしその友達とは一生の友情を持ちたいと思う。
僕は、上辺だけの関係は御免だ。
ぼっちだからなのか、僕はそんな価値観を築いていた。
お風呂から上がった。
今日は特に楽しみにしていた。
理由は、丁度いいところで読み切れなかったので借りて来た「吸血鬼の王」の続きを読めるからである。
僕はカバンを開けて本を引っ張り出す。
「あれ?」
手をゴソゴソと動かすが本が見つからない。
カバンをひっくり返す。
中に入っているはずの本はなかった。
(そういえばおじさんの所に置いて来ちゃった)
そうだった。
僕はおじいさんにお勧めの本としてこの本を出して置きっぱなしだった。
時間は9時を回っていた。
明日まで待って改めて取りに行けばいいだろう。
そう思ったが続きが気になる。
気になって仕方がなかった。
僕は10分ほど悩んだ末に本を取りに行くことにした。
お母さんにはすぐ戻ると言って、出てきた。
辺りはもう真っ暗だ。
僕は急ぐために近道を使うことにした
。
普段は使わないが、学校に遅刻しそうな時にたまに使う道だ。
この道は街灯も少なく薄暗い。
僕は暗いのは平気だが、普通の人はそうは使わないだろう。
僕は薄暗い路地の中に入っていった。
いつもならなんてことのないはずだった。
日常はそうやすやすとは崩れない。
だがこの日、この道は非日常に繋がっていた。
「…なにこれ」
僕の目に飛び込んできたものは屈強な男に噛まれている人の姿だった。
見た感じ男は、女性の首筋を噛んでいるようだ。
笑えない冗談だ。
吸血鬼は好きだが、こんな状況を僕は望んだことなんかなかった。
「誰だ!」
(やばい!気づかれた!)
男たちと目が合う。
その瞳は深紅、見惚れてしまうほどの赤であった。
その瞬間薄暗かった路地は朱に染まった。
いつの間にか空は、夕焼けよりも赤々と輝きを放っていた。