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今日から僕は吸血鬼  作者: 仔田村
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運命の日

仔田村と申します。

最近、老師転生が煮詰まってきたので、息抜きにあまり設定とかがなく書きやすい物を書きました。

二作目はずばり!ボーイミーツガールです!

あまり自信がないですが頑張って書いていきます!

これからはこちらと老師転生を交互に更新できたらと思います!(^^)/

どうぞよろしくお願いします<(_ _)>

 「なんなんだよ、これは!」


 空は赤のオーロラで覆われたように真っ赤に染まっている。


 そんな中僕は今、屈強な一人の男に追われていた。


逃げ惑う僕に、男の熱気が伝わる。

恐ろしい殺気である。

平凡な一中学生に送る殺気ではない。


僕は死に物狂いで走った。

火事場のバカ力だろうか、僕は物凄いスピードで走っていた。

運動音痴の僕にはあり得ない速度である。


だがそのおかげで今はなんとか距離を詰められないでいる。

とにかく僕は奴らに捕まらないように走り続けた。






~数時間前~


 何気ない日常、今日もいつものように学校へ行き、授業も程々に受け、部活にも入っていないので鞄を持ち教室を出る。

そう、いつもとなにも変わらない一日だ。


 僕は図書館に寄り、いつもの日課を行う。

それは吸血鬼物の本を読み漁ることだ。


 僕は吸血鬼という想像上の生き物が大好きであった。

強力な妖力、鋭く尖った牙、赤の瞳、紳士的な立ち振る舞い、異性を魅了する美貌、変身能力、そして、その強力な力のバランスを取るかのような意外な弱点。


どれも僕には魅力的に思えた。

今日は『吸血鬼の王』という寓話を読んでみようかな。







 しばらく本を読み耽っていた。

いつの間にか日が傾いて、夕焼けを覗かせていた。


(そろそろ下校時刻だ)


そう思い本を閉じようとしたとき、トントンと肩を叩かれた。


「あの、赤石煉くんだよね。なにを読んでいるの?」


「っ!!」


一瞬体が固まる。


 僕はいわゆるボッチという奴だ。

元々内気な僕は、小学校の時も友達がいなかった。

そんな僕にわざわざ話しかけてくる生徒はいない。


ましてや女子で話しかけてくる者など皆無だ。

だがこの声は知っている。

だって…。

僕は振り返りその子を見る。


(紅凛さん!!)


そこには僕の初恋の女の子がいた。






 紅凛さん。

彼女は小学生の頃から知っている。


僕はその可愛らしい容姿、物静かな雰囲気、それでも自分の意見は曲げない性格に惹かれ、気づけば好きになっていた。

ボッチの僕は結局、あいさつもろくに出来ず、後悔したものだ。


 そして僕は親の意向で私立の少し遠い中学に進学した。

両親も友達が出来ない僕を心配したんだと思う。


「環境を変えてみるのもいいんじゃないか?

おまえは頭もいいし、きっと中学で話が合う奴もいるはずだ」


この言葉に一抹の希望をかけて、僕はこの中学に進学した。

結果はまあ、見ての通りだ。

ボッチ人生継続中である。


入学式に紅凛さんがいたのはとても嬉しかったが、友達すら出来ない僕に彼女と会話する勇気なんてあるわけがなかった。


まさか吸血鬼趣味のこんな些細なことで話すことになるは、夢にも思わなかった。


「赤石君、大丈夫?さっきから固まっているけど」


「うっうん、大丈夫!」


思いがけないことで少々頭がフリーズしていたようだ。


「それで、何の本を読んでいるの?」


「えっ!えっと吸血鬼の本...」


 最後の方は声が縮こまってしまった。

机の上には吸血鬼物の伝承やファンタジーなど何冊も置いてある。


もしかしたら紅さんに変に思われるかもしれない、という気持ちで少し悲しい気分になった。

この歳で吸血鬼に没頭しているなんて、オタクか中二病くらいだろう。


 しかし紅さんの反応は予想していたのとは違った物だった。


「赤石くんも吸血鬼好きなんだね!

実は周りには秘密にしているんだけど、

私も吸血鬼、大好きなの!」


「えっ、そうなんだ」


「赤石君のおすすめの本とか教えて欲しいな!」


「うん」


いつものおとなしいイメージとは大分違う。

吸血鬼がとても好きなんだろう。

僕は好きな子の前でテンパりながらおすすめの本を紹介した。






 下校時刻となった。

紅さんは僕のおすすめの本を借り、一緒に校門前まで本について話した。


「じゃあまたね。今日中に読むから、またおすすめを教えてね!」


「うっうん!じゃあまたね!」


(やった!また明日も話せるんだ!)


 僕は嬉しさで内心小躍りしながら帰路についた。

この時今日がまさか、僕の人生を大きく変えることになるなど知る由もなかった。





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