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There persons and a dog   作者: 浜崎汪《はまさきめーる》
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新しい生活へ

 夢見向かって、努力する姿は素晴らしい。慶子も夢に向かって努力する一人の高校生である。

 3月5日。卒業式を終えた慶子は、インターネットの合格発表を待っていた。


 慶子が、小学生のころ慶子の祖母は糖尿病を患い病棟で亡くなった。最期には、体が褥瘡だらけになり、苦しそうにしていた様子が忘れられなかった。その祖母が唯一痛みを忘れていたのが、看護師が歌を歌いながら祖母の体を動かしていたときであった。慶子は子ども心に、歌や声かけをして患者さんに痛みを忘れさせることができるのだと感じたのであった。慶子が看護師に憧れ始めたのはそのころからだった。

 高校で看護コースを選び、課外も受け続けなんとなく慶子が描いていた夢が形になろうとしている。


 ネットの合格発表を待たずに郵便物が届いた。


 郵便物に書かれた文字は、慶子の描いたものとはまったく違った結果だったのだ。



 母絹江が早出の仕事を終え、家に帰ったときには慶子はベットの上で泣きじゃくっていた。その姿を見て、この結果をどうにかしてやりたいと思った絹江だったが、

「母さんは、慶子がなんで落ちるのか本当に納得いかない。慶子は毎朝早く課外にも行って受験前も根つめて勉強していた。母さんは慶子のがんばりを一番知ってる・・・

けど、もっと上がいたんだね・・・大丈夫よ。慶子。若いうちはね、つまずいていいのよ。そして、自分が目指していたのが本当に自分がしたいことだったのか、考えることもいいんじゃないかな・・・」


 それでも、こらえきれず、一晩中泣いていた慶子だった。


 これからどうしよう。浪人をするか、それともどこかの学校を受けるか、それとも仕事をするか。仕事をするとしてもどうするのか。家庭の経済状況を考えると働いたほうがいいのかも。そんなことを考えて、高校へ行き担任の先生に結果を知らせた。

 合否の結果を聞いた担任の先生は、慶子の顔を見た。

「何度も聞いたと思うけど、なんで看護師になろうと思ったの?」

慶子は答えた。

「歌や声かけをして患者さんに痛みを忘れさせてあげたいと思ったからです。」

その答えを聞き、先生は、慶子にパソコンの資料をプリントアウトして渡した。

「ここを受けてごらん」

 学校のサクラはつぼみが膨らんでいたが、まだ風は冷たかった。

 

 慶子の街の主要道路の桜並木は、散った花びらでいっぱいになった。遅い進路決定だった。慶子は自宅から少し離れた老人ホームで働くことになった。社会人一年生。チャコールグレーのスーツを着た慶子はそこの門をくぐったのである。

 フラワーフィールドカンパニー

 慶子の新しい生活の場だ。


 

 読者の解釈に任せます。

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