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There persons and a dog   作者: 浜崎汪《はまさきめーる》
15/17

兎烏《とう》の如く

介護福祉士を受験した慶子。

そして、東京に就職する英樹。

二人のこれからが・・・

挿絵(By みてみん)

英樹が、手を振った。

そのまま二人は、英樹の家に直行した。

空港から走る主要道路から、桜並木の陸橋を走りすぎる。五分咲きの桜の中を抜けるように二人は歩いていった。


「これが東京バナナだ。慶子バナナ好きだろ。」

英樹はニコニコしていた。

挿絵(By みてみん)

「英さん。わたしも東京へ行きたい。」

英樹は慶子の顔を覗き込むと

「俺もそう考えたんだよ・・・けど、放送局の仕事って思ったより大変そうなんだ。4月からは現場のロケが詰まってて、俺も駆け出しだから慶子と一緒に過ごす時間もないし。しばらくは遠距離になるけど、俺が落ち着くまで待ってくれないか。」

そう言うと慶子をぎゅっと抱きしめた。


英樹が帰宅した翌日、あわただしく卒業式を終え、謝恩会が終わった。

次の日には荷物の整理、そして、次の日には引越し。そしてその日に慶子の合格発表がある。


英樹の引越しを手伝う慶子。

「慶子が運ぶから小さく梱包した荷物を、たくさん作っといたよ。」

英樹が笑う。

「じゃあ、私が東京へ行くときには、英さんが持つから巨大な荷物をたくさん作っとく。」

と慶子が言う。

英樹一人の所帯道具だから大したことはない。あっという間に荷物の積み込みは終わってしまった。

今日は介護福祉士の合格発表である。

英樹は、慶子とそれを確認し、次の朝東京へ経つ。


二時になった。

スマホの合格サイトを開く慶子。

「わー、番号がたくさんあって探すのが大変。このページにはわたしの番号はない。3ページ目は・・・」

K400ー3883

あった。

「やったー」

慶子と英樹は顔を見合わせ歓喜した。

「今日はお祝いだな。」

募る話に、慶子の帰宅時間はついつい十一時をまわってしまった。明日は、慶子は通常どおり施設へ行き、仕事をする。英樹を見送ることはできなかった。


 施設ではサクラが慶子に優しかった。

「慶子ちゃん元気を出しなよ。若い時にはね、私もそういうこといろいろあったけど、今は、ほら、この紫の髪の毛よ。自分が一番好きだ。自分を一番愛せるのは自分しかいないんだよ。ここにいるときの慶子ちゃんは、いつも笑顔がきらきらしてるから。大事にしなよ。」

サクラはにっこりと笑った。

午後からお花見会がある。慶子の施設のサクラもまた、満開で中庭にはまおと数人の利用者が遊んでいる。慶子は、ユニットを組み『青い山脈』と『りんごの歌』をピアノで弾く予定だ。

中国の故事から、月をうさぎ、陽をからすに古来たとえられていました。

そして、「兎走烏飛とそううひ」というように月日の流れの速さも兎やカラスが速く駆けることにたとえられています。

今月の話では、英樹と慶子の別れが慌しくやってきて、そして慌しく新年度を迎える様子を表現したいと思いスピード感を重視しました。

今回表現できなかったブラックベーダーとその家族、オメガリオンアルファはまた次の話で表現できたらいいなと思います。

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