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We love PK!  作者: ケレンコフ
第一章。
4/11

殺人鬼達。

ヤマザキ達殺人鬼一行は、街へと戻るべく歩を進めていた。


「あ、そういやヤマザキ。お前そろそろ自分の賞金確認しといたほうが良いぞ?」

不意に、ゲイツがヤマザキに声をかける。


「あー、そういえば。チョット待ってくださいねーっと………でた。あっちゃー。」


眼前にステータス画面らしきものが浮かび上がり、それを見たヤマザキが手で顔を覆う。


「おーおー、やったじゃねぇかヤマザキ。お前も遂に百万級(ミリオンクラス)、立派な殺人鬼の仲間入りだぞー」


「ヤマザキ、オメデトー。今夜の烤鸭一切れだけ、日本に向かってお供えしてあげるヨー。」


「何そのビミョー過ぎる祝い方ー。」


【キリングフィールド】で、各個人のドロップ賞金は殺した人数に比例して額が上がって行く。

百人までは、殺害数1に付き一万円ずつ上がって行く。つまり、ゲイツの言う百万級とは百人の人間を殺害したということ。

この百万級プレイヤー達のステータスを、他のプレイヤーが確認した場合、百万級プレイヤーのステータスは黄色で表示される。


賞金が百万円以上のプレイヤーは、高額賞金首として多くの者に狙われる事になる。


………二日。百万級になったばかりのプレイヤーが生きていられる平均日数が二日である。

多くの百万級が二日の間に命を落とし、他者の襲撃の嵐から生き残った少数は更に賞金を上げ、より過酷な状況に身を落としてゆく。



「そっかー。これで俺も百万級かー。でも、何かカッコいい!!」

そう言ったヤマザキをベテラン二人がキョトンと見つめ、ついで一斉に噴き出した。


「ぷっ。あはははは、ヤマザキあんたホント馬鹿ヨ。あー、お腹痛いネ!!」


「ぶひゃひゃひゃ、百万級がカッコいいとか!厨二ww厨二www厨二病乙と言わざるを得ないwww」


「何ですか、二人とも!!!そんな笑う事無いでしょ!!??ゲイツは草生やすな!!」


と、憮然とするヤマザキに対して。


「あのネ、ヤマザキ?百人殺した殺人鬼って社会不適合者よネ?」


「え?えぇ、まぁ確かにそうですが………」


「んでな、んな数を殺しきるには相当な時間ゲーム内に居なきゃダメだろ?」


「………あ゛。」


つまり………


「「おめでとうヤマザキ!!お前は晴れて社会のクズの中のクズだ(ネ)!!!」」


「………うわぁ。」


つまり百万級とは高額賞金首であるだけでなく、社会のゴミである事をゲーム内で公言し続ける者たちの事でもあった。







「………ん?あ、二人とも。お客さんみたいですよ?」


ひとしきり二人にからかわれた後、ヤマザキは周囲に襲撃者の気配を察知する。


「はー、お前の気配探知は最早ニンジャだな。明日から忍者装備に変えたらどうだ?」


「やですよ。西洋剣に忍者コスとか、どんな罰ゲームですか。」


【キリングフィールド】は、一般的なMMOと異なりスキル等の要素は存在しない。

レベル、攻撃力、防御力などの基本的なステータスの他は当人の持ちうる要素で戦闘を行う。

そのため、軍人や各種武道経験者などが圧倒的に有利なゲームとなっている。

だがその有利のまま考えなしに賞金を稼ぐと、当人の賞金は跳ね上がりあっという間に狩られる側に回る。


ヤマザキ………彼は根っからの小心者である。常に周囲の視線に怯え、周囲に気を配る。そんな彼が、本来の自分らしさというものを手に入れられたのは、VRMMOというヴァーチャルなリアルのお陰だった。

だが、長年の習慣は簡単には消えない。この場合は、それが良い方向に作用しているのだが。


因みに、彼が殺人狂となった事に特にドラマは存在しない。何となくで、デスゲームに身を投じ。何となくで人を殺してみたら病みつきになった。只それだけの、普通の殺人狂だ。


つまるところ、常に周囲の気配を探るセンサーの様な殺人狂。それがヤマザキなのである。



「ヤマザキ。お客さんの数は?」


「うーん、8人ってとこっす。何か、4:4で挟み撃ちされそう。後二分位で出てきますよ。」


彼らは現在森の中の道に居る為、視界が確保しづらい。奇襲されると非常にまずい状況だが、事前にそれが分っていればいくらでも手の打ちようが有る。


「よし。じゃぁ何時も通り………ジャンケンだ。恨みっこなしだぜ?」


「わかったヨ。それじゃ」


「「「最初はグー、ジャンケンポン!!ポン!!!ポン!!!」」」


「よし!じゃぁ俺が一人っすね!!」


「ちぇー、今日の兄ちゃんは食いでが無かったから暴れたいのになぁ。」


「ま、仕方ないネ。全ては神の思し召しヨ。さっさと片付ける、ワタシ晩御飯食べる。それで幸せヨ。」


「へいへーい。んじゃ、ちゃっちゃか行くとしますか。」


そして、三人はそれぞれ担当の方向へと駆けだすのだった。



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