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マイルドラプターグルーミング

掲載日:2026/03/22

私はアイドルだ。元々全くそんな気はなかったけど、事務所の社長兼プロデューサーの月空千草さんに熱心にスカウトされてアイドルになった。

それなりに充実して、アイドル仲間も増えていった。


ある日、千草さんがプロデューサーを新たに雇った。極めて優秀な、というか明らかに不可能を可能にし続けている千草さんでも流石に大所帯を切り盛りしきれなくなったからかと思いきや、実は元々このプロデューサーさんを雇うのは決まっていたらしい。千草さんが「色んな娘が揃って、まだまだ粗削りだけど、そこを磨いていく楽しみも含めて丁度いいタイミングだと思いまして、いかがでしょうか……」と、社長とプロデューサーなのに千草さんの方が下手に出て上目遣いでうっとりと新プロデューサー、○○さんを見上げながら訪ねると、○○さんは黙って千草さんの髪を撫で回し、幼女扱いのようにしながら抱き寄せた。千草さんは感極まって涙を零す位嬉しかったみたい。


○○さんに対する私の第一印象は、まあ、悪くはなかった。私の活動の細かい部分を見て褒めてくれて、優しく頭を撫でながら評価してくれた。○○さんに頭を撫でられたり、誉め言葉を貰うと、全身が熱くなって、凄く恥ずかしいような気持ちにもなるけど、同時に、うん……嬉しい。アイドル全員が同じようにされて、同じように思ったみたいで。皆○○さんの事を心から歓迎した。


こうして○○さんが私達の事務所に加わった。

早速一つ問題が起きた。勿論○○さんのせいではない。問題は、千草さんと私達の関係性の変化だ。

これまで千草さんは私達アイドルと家族のように接してくれていた。いや、今もそれが変わったわけではないのだけれど。話したりしている時、どこか千草さんの私達を見る視線に、なんというか、「値踏み」のような感じを覚えるようになった。

私としては仕方ないようにも思う。私達アイドルは、事務所にとって「商品」である事は確かなのだから。ただ、幼い娘達はそんなビジネスの理屈に納得できないし、幼い分感受性も強くて千草さんのちょっとした変化にも敏感に反応した。それで、事務所の雰囲気が悪くなってしまうかと思われた。

そこに○○さんが助け舟を出してくれた。まず、○○さんは私達アイドル全員を集め、その前で千草さんを厳しく、激しく、徹底的に叱りつけた。

その厳しさ、激しさは、私達を確かにちょっと怖がらせたり、千草さんに同情もしたのだけれど。

同時にある種の安心感というか、この事務所に足りなかったものが与えられたような感覚もあった。

つまり、今までは良くも悪くもなあなあな部分があった。でも○○さんが加わって、一気にきちんとした組織になった。○○さんが絶対的な頂点、隷属すべき支配者。その下に千草さん。そしてその下に私達アイドル。そういう上下関係がしっかりと生まれた事を、幼い娘達も含めて全員が直感的に理解した。

千草さんは○○さんの許しを得るため、あらゆる媚びを売り尽くして懸命に謝り続けた。と、十分反省した頃合いを見て、○○さんはふいに優しく千草さんを抱き竦め、あやすようにそのお下げ髪を撫で回した。丁寧にセットされた髪が完全にぐしゃぐしゃになるくらいたっぷりと。千草さんはもう、○○さんに許して貰えた嬉しさと安堵で泣き腫らしていたけど、その様をみっともないと思う娘はいなかっただろう。むしろ、羨ましい……。

とにかく深く反省した千草さんは、○○さんの下から私達にも謝ってくれてわだかまりが解けた。

その上で○○さんは、「値踏み」もやむを得ない所はある、と、特に幼いアイドル達に向けて説明した。

○○さんも私達を常に「値踏み」している事。それでも私達一匹一匹を、分け隔てなく大切に想ってくれているのも事実だと言う事。私達を「値踏み」するのは、私達がより○○さんにとって理想的なアイドルに近付けるようにしっかりと躾けて育てていくためだと言う事。○○さんも千草さんも、私達が○○さんの為にもっともっと役に立つように、よりよいアイドルになれるように一匹一匹の個性を生かして分け隔てなく調教する、と約束してくれた。

これで問題は完璧に解決し、新プロデューサーの○○さんに対する私達アイドルの信頼も一気に高まった。

幼い娘達はもう、いつでも○○さんに纏わりつきたくてしかたないようだし、年長のお姉さん達も、うっとりと熱くて甘い視線を○○さんに送っている。

私としても○○さんの、はっきりと言うべきことは言いつつも私達の事を見る視線にはちゃんと私達を想ってくれていて、どんな風に使うか真剣に考えてくれているのが分かる所とか、その……うん、好き。


○○さんは私達の頭を良く撫でてくれる。幼い娘も年長組も、勿論私の事も。撫で方は時々凄く優しいけど、基本的には乱雑というか、モノ扱いされる感じだけど、それはそれで、うん、悪くないかな。皆すぐに自分から頭を差し出して、なでてなでてって○○さんにおねだりするようになった。年長組のお姉さん達も○○さんにかかれば欲しがりな幼女でしかない。私は流石にそこまでがっつけないけど、時々それに近い態度は取ってしまっているかも……。


もちろん千草さんが連れてきただけあり、○○さんはプロデューサーとして凄まじく優秀だ。

例えば○○さんは音楽や動画制作にも造詣が深い。作家達のおしりを文字通り激しく叩き、妥協無く作品を作り上げる姿勢は、率直に格好いいと、思う……。

『この歌詞は「たくましい」より「浅ましい」の方が絶対に良いよ。その方がアイドル達の女らしい魅力が伝わるよね』『それと、イントロはアイドル達の気持ち良くなってる声をたっぷり入れよう。いや、イントロだけじゃなく曲全体でずっと鳴らしておこうか。よし、今すぐ生録しよう、ほら、さっさと一匹ずつ並んでね』『曲は凄く良くなったから、MVも撮り直しだね。全編アイドル達の生まれたままの姿で撮影しよう』

○○さん御自ら私達を撮ってくれた。凄く褒めてくれて、でも○○さん好みに女らしさをより強調するように的確な指示もくれて……○○さんの一言一言、そしてカメラ越しに私のあるがままの姿を余さず捉えてくれている事が嬉しくて、身体も心も、ずっと熱くて悶えそうだった……。


○○さんは私達を一匹、二匹と数える。私達の小さな頭を強めに小突きながら。これは決して私達の尊厳を傷つける為だけではない。つまり、○○さんの趣味だからというのもあるけれど、こういう呼び方をする事で私達にアイドルとプロデューサーの上下関係を教えこんで、心の奥底にまで刷り込んで下さっている。

○○さんが常に上位で支配者、私達アイドルは常に傅く被支配者というゆるぎない関係性を、幼い娘達も含めてアイドル全員が完璧に理解する事が今後の事務所の繁栄にも必要だからだ。私達もみんな納得している。だから、時々『燐』とか、甘く身を寄せ合っている最中に名前で呼んで貰えたりすると、かえって凄くどきどきして、お腹のあたりが熱くなって、きゅんっ、として○○さんに浅ましく縋り付いてしまったり、する……。


○○さんは教育者としても私達アイドルを徹底的に躾けてくれる。煌びやかな世界で浮かれすぎないように、○○さんの為に家事や身の回りの御世話をさせて頂く下女としても成長すべきなのはアイドル、いや一匹の女として当然だ。いつでもどんな事でも○○さんの役に立てなければ私達に存在価値はない。

「ん……こ、これでいいかな」くらくらとしてとろんと蕩けた瞳で上目遣いに○○さんの評価を待つ。と、○○さんは私の頭に指を差し込むようにして思いっきりなでなでしてくれた。

『いいよいいよw凄く上手になってるのにお前はいつも謙虚で俺の期待に沿えてるか心配してて、そういうところも含めて、可愛いぞ、燐』

「っ、そんな、褒めすぎないでよ、私はただ、すぐ調子にのるから、気を付けてるだけ……。でも、その、あ、ありがと、○○さん……」今朝ここで選んで貰えて本当に良かった。今日はもう、一日中浮かれてしまうだろう。最高の一日を与えてくれた○○さんが一番幼いアイドルのひなちゃんを優しくも厳しく躾けてあげている格好よくて真摯な姿を、うっとりと目で追い続けながら、にやけ顔をずぅっと止められなかった。


『いつもいってるだろ、もっともっと露出を増やす。それに生地。より薄くてすぐ破ける生地だ。彼女達が最高に頑張って俺に捧げるパフォーマンスが出来たら、ライブ中にステージ上でサプライズ御褒美もあり得るんだから。わかるよね』「は、はい!もうしわけ、きゃんっ、ありません、直ぐ手配し直します……その、御指導感謝です……」「ん、○○さん……」『わかればいいんだよ、よしよし、素直でいい娘だ』「んぅ、……優しすぎます、○○さん……」「んっ、んっ、……○○さん、○○さん……」

○○さんの想定と違う衣装を提案してしまったデザイナーの落ち度をしっかりと叩きに叩いて躾けてあげる○○さん。それに感謝しながら反省するデザイナー。聞き分けの良さを褒め、労わるように撫でてあげる○○さん。その優しさに抑えきれない熱い視線を向けるデザイナー。いつもの微笑ましくもプロの緊張感もある会話。但し今日は藍子がずぅっと、そう、本当に一日中ずぅっと、〇〇さんに密着して纏わりついている。これもアイドルの大事な仕事。一番大事な仕事の一つかもしれない。当然ながら、倍率が凄く高い。私は積極性に欠けるのもあって、一度だけ担当した。もう、その日の幸せは今もこの全身にしっかりと刻み込まれている……。今日の藍子も同じだろう。こんなにも名誉で重要な役目を私達に与えてくれる○○さん。その栄誉に震える藍子だけでなく、私や他のアイドル達も、藍子と同じ気持ちで、心の口付け……って、変かな、でもそう、心の口付けを、○○さんに一日中、毎日、会えない時もずっと、捧げ続けている……。


○○さんが提案してくれるアイドル衣装はいつでも、どれも私達それぞれの個性を活かしながら、一番大切な○○さんへの熱い想いを体現するための工夫に満ちている。それは○○さんが私達一匹一匹をしっかりと道具として大事にしてくれている証で、アイドル衣装を提案して下さる度にもう、二つ返事で「それでおねがいします」と言いたくなるけど、敢えて私の側からも意見や提案をする。そういう自主性積極性、もっともっと○○さんに媚びたい、傅きたい、○○さんの道具として役に立ちたい、○○さんを喜ばせて楽しませたい……常にそれを考え○○さんを愛する気持ちを全面に押し出す事がアイドル、いや、一匹の女として自然な在り方だ。


私達アイドルがもっともっと自然体で○○さんに御奉仕できるように、○○さんが私達を、私を、今日も優しく導いて躾けて下さっている。本当に幸せ。

いつも本当にありがとう。○○さん……大好きだよ……。

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