目次 次へ 1/3 プロローグ 教室の窓の外では、桜がもう散りかけていた。 風が吹くたび、花びらが宙を舞い、黒板の前に立つ担任の声をかき消した。 「これで、最後のホームルームです」 その言葉が教室の空気を静かに震わせた。 笑い声の絶えなかった三年間の時間が、今、ひとつの幕を閉じようとしていた。 隣の席の遥が、静かに涙を拭っている。 俺は笑うしかなかった。悲しいのか、嬉しいのか、自分でもわからなかったからだ。 ただ一つだけ確かなのは、この瞬間が永遠に戻らないということ。