第3話
電子網には知識が溢れかえっていた。
季節は秋なのだろうか冬なのだろうか。
自宅周辺の落ち葉を拾う。
粉砕した葉と燃やし灰は肥料に。固い土をスコップで掘り起こす。
捨てる予定だった大量のペットボトルはカッターナイフで加工しプランター、植木鉢に変わる。
自宅ゴミを漁り納豆の空パックを入手。
ぬるま湯で洗い納豆菌を確保培養した納豆菌液。
米の研ぎ汁からは乳酸菌発酵液。
液体肥料の完成。
作業をする男に纏わりつく幼子二人。
「ミミ」「ミミ?」「ミウ」「ミウ?」
男が最初に覚えた異世界語は幼子二人の名前。
二人の黒髪頭を撫でてやれば、嬉しそうに目を細めた。
卵終了のお知らせ('A`)
生きる為に飯を喰う。初日、冷蔵庫から卵が消えた。殻は肥料に。
「アイ」「あい」「ニケ」「にけ」
二日目、少女二人の名を覚えた。
四人の娘達は相変わらず男の名をエビス、エビシと呼んだ。男は困惑するが兎に角、言葉が通じないのだ、だから流す、棚上げする。
鶏胸肉終了のお知らせ('A`)
二日目、冷蔵庫から鶏胸肉が消えた。
ミミ、ミウ、アイ、ニケ、四人の娘が幸福の表情で食せば男は何も言えなかった。
押(´;ω;`)忍
249 マレ
タンパク質end
250 名無しさん
股間から出せばええやん
うはw無限サイクルw永久機関だおww
251 マレ
てめぇケンカ売ってんのか
せつじつな件(´;ω;`)
252 名無しさん
草www
道端の草でも喰ってろwww 本気で
四人の娘と共に自宅周辺の団栗を拾い集める。
ネットから食用野草の情報を得ていく。
「葛根掘るか。」
葛粉採取。それは大変な重労働。
388 マレ
豆もやしさん 豆もやしさんなら何とかしてく
れるはず! 大豆に成り上がれ!
389 名無しさん
数か月後やな
あきらメロン 股間から(ry
391 マレ
玉ねぎ芯 キャベツ芯 人参へた エリンギの
石突 小松菜ホウレン草の根 にんにく!
植えたよ植えた!!
392 名無しさん
半年生き延びられたらな〜
だから股間の(ry
393 マレ
じゃが芋さん さつま芋さんはまだ芽が出ない
394 名無しさん
結構種類あるな
でもさ?そこから更に株数増やす必要ある。
半年後も食えない件
395 マレ('A`)
うつだしのう
396 名無しさん
農民王に俺は成る! (・∀・)
日々、主食の米は減っていく。
「団栗拾いに遠征するか」
団栗は栄養価に富むスーパーフード。
だからだろうか。
バケツを抱え怯えるミミとミウを守るように立つアイとニケ。対するのは鬼人の女達五人が手にする石槍を稀人達に突き付ける。
ここは彼女達の狩猟場。今季拾う団栗で来年秋迄食いつないでいくのだ。
稀人は肩にスコップを担ぎ彼女達を観察する
「ほ〜~~ん」
何処かのんびりしたものである。
震える石槍の穂先。彼女達もまた怯えているのだ。
稀人は最年長のニケにアイコンタクトを送り顎をしゃくる。
あちらへ行くぞ
離れていく稀人達に先頭に立つ鬼人族の女は判り易い程に安堵した。身丈頭一つ高く、あの日、石斧を振り上げていた女。
稀人達が向かう先、大量の果物が生る木へと向かう様に五人の鬼女は声をあげて笑った。
やはり出来損ないの神だな。
それは食べれない!
なんや?渋柿識らんのか?(*´ω`*)
その渋味ゆえに鬼人族も野生の獣も忌避する渋柿を大量にもいで帰る。
当分、渋柿狩りですわ。(*´ω`*)ヒヤッハァ-
稀人が果物ナイフで皮を剥く。横では双子のミミとミウがピーラー、一つを交代で使用し皮を剥く。少女にとっては遊びなのだろう。
剥き柿に紐を通し熱湯殺菌するのはアイとニケ。
平屋の軒先に大量の柿が吊り下げられる。
しっかし 何なんやろ??
稀人には鬼女の事、ニケ達の事、ここが何処なのかも解らない。
深夜、パソコンの前に座り今日も調べ物をする。背後、干したばかりの布団で眠る少女達の寝息を聴きながら。
俺が守ってやらなきゃな。
男は一家の柱。
翌日、稀人は竹を切り出しに藪へと向かった。