61,人質救出
Side蜜柑
「ここに……相手組織がいるんですか?」
三馬君がメガネの位置を直しながら、私にそう尋ねてくる。
私は迷わず答えた。
「……うん。間違いないよ、私がこの目でしっかりと見たんだから」
間違いなく、敵はここにいる。
そして、女の子を一人、この部屋で監禁している。
何せ私がこの目で見たんだ……間違いはないはず。
「……行くよ」
「ああ……久々に燃えて……」
「うるさいですから、それ以上は声を出さないでくださいね。相手に気付かれます」
「き……た……」
三馬君に抑えられて、重沼君は完全にやりきれていないような表情を見せる。
……うん、これだけ耐えきれなさそうな表情を見せているんだから、きっと戦いの時に発散してくれると思う。
……今回の戦いは、いけそうな気がする。
「……それじゃあ、中に入るよ……!」
私は静かに三人に告げて、そして視聴覚室の扉の前まで静かに歩いていく。
そして、そのまま一気に……扉を開いた!!
「生徒会だよ! そこにいる女の子を解放して!!」
「ば、バカな……生徒会がこの教室に来ただと!?」
「リーダーだ……リーダーに連絡を入れろ!!」
「そうはさせるかよ!!」
ドン!
重沼君が放った銃が、一人の男の無線機を破壊する。
それがリーダーとの唯一の情報交換手段だったのか、彼らの顔に焦りの表情が見え始めていた。
「こ、これが見えないのかよ! 大人しくしねぇと、この娘が大変なことに……」
「大変なことになるのはお前だ」
「え?」
いつの間にか三馬君が、女の子の喉元にナイフを突き付けている男の間後ろまで移動し、そしてその男の首筋をチョップ。
まともに喰らった男は、そのまま気絶し、三馬君は女の子を見事に救出。
「野郎……やってくれるじゃねえかよ」
残り人数は三人。
……大丈夫、行ける!!
「大人しく投降するって言うなら、危害を加えることはしないけど……どうする?」
「どうするも何も……俺達は投降する気なんざまったくねぇ。ここでお前ら生徒会をブッ倒して、目的を果たすまでだ!!」
「……なるほど。あくまで私達に降参するわけじゃないのね?」
「ああ……これは俺達からの宣戦布告だ!!」
男達は、大声でそう宣言する。
……仕方ない、実力行使をするしかないみたいだね。
「……みんな、分かってるよね?」
「ああ」
「もちろんです」
「分かってるよ……そろそろ始めようぜ?」
私は三馬君と重沼君、そしてもう一人いる男子生徒である大川君に尋ねる。
すると、三人共答え方はいろいろあったけど、それぞれ肯定の意を示す言葉を告げる。
……それじゃあ、そろそろ。
「それじゃあ……作戦、開始」
私はそう告げると、一直線に目の前の敵まで走っていく。
男は刀を創り出し、私に応戦しようとしている。
……そんな刀で、私の攻撃は止められないよ!!
「私の剣は、炎を帯びし熱き剣。その熱にて、彼の者の武器を溶かしきれ!!」
瞬間。
私の右手に、刃の部分が炎に覆われた剣が出現する。
……私はその剣を、相手の刀にぶつけた!!
ガキン! と強烈な衝突音が響いたと思ったら、男が手にしていた刀は、跡形もなく溶けて行った。
「な、なんだと!?」
「……弱いね」
ドカッ。
私は柄の部分で男の鳩尾を殴ると、その男はいとも簡単に気絶してしまった。
「……ふぅ」
他の三人も戦闘は終わったようで、これにてこちらの方は解決。
……後はこの男達のリーダーのもとに向かわなければ。
「まだこの事件は解決じゃないよ……とりあえずこの男達を生徒会室まで連行しておいて。あ、縄で縛っておくのを忘れずに。それから校長先生に連絡を」
「分かりました」
……さて、私はあの空き教室へ向かうことにしよう。
この事件を……終わらせる為にも!