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Magicians Dream  作者: ransu521
第二部 新学年
76/139

53,分かりやすい不良

「な……なんだ!?」


男達は、さすがに僕がいるとは考えつかなかったのか、驚きの声を挙げる。

だが、その直後に突然笑い出した。


「何だよ……お前さん一人か」

「痛い目に遭いたくなければ……この女を渡してもらおうか?」

「いやぁこの子かなり可愛いからよぉ……お前の彼女にしとくのはもったいないんだよなぁ!」


僕に突っかかってくる、三人の男達。

数で僕に勝っているからなのか、その表情には余裕すらうかがうことが出来た。

けど……僕に勝ちたいのなら、数に頼らないことだな!!


「由良は僕の大切な友達だ。この子には……指一本触れさせない!!」

「ああそうですか~」

「イケメンな彼氏をお持ちでいいねぇ!! もっとも、これからは俺達の恋人になってもらうけどな!!」

「……テメェら、どの面下げてそんなこと言ってるんだ?」

「ああ? ……!?」


あまりにもうるさいので、僕は今持ちうる限りの殺気を、男達に当てる。

すると、男達が面白いように黙り込んでしまった。

……自分で脅すのには慣れてるけど、脅されることに対してはまったく抗体を持ち合わせてないらしい。

……なんて絵に描いたような、弱い不良なんだ。


「や、野郎……やるじゃねぇか」

「けどなぁ……俺達だって伊達にこんなことし続けてるわけじゃねぇんだぞ!!」

「お前のようなアマちゃん、このナイフで……」

「ほぅ……どのナイフのことを言ってるんだ?」

「え? ……!?」


ナイフを見せつけてきた男に、僕は一言そう告げる。

そして、その男のナイフを……僕の風の魔術でどこかに弾き飛ばした。


「なっ……!?」

「魔術……お前、魔術が使えるのか!?」


……魔術も使えないような愚か者が、由良を連れ去ろうとしていた?

……馬鹿みたいな話しだ、そんなの。

その前に、このご時世で魔術も使えないとは……一体コイツら、何者なんだ?


「お前達……どうして魔術を使えない?」

「うるせぇよ……そんなのどうだっていいだろう!!」


男達は、何故かキレたような形相を浮かべて僕に襲いかかってくる。

……愚かだ。

本当に、愚かな男達だ。

僕に向かって……魔術も使えないのに歯向かうなんて。

ならば……いいだろう。

魔術を使うまでもない。


「はっ!!」


ガッ!

僕は襲いかかってきた不良の内の一人の鳩尾に、蹴りを入れる。

その男はその場に跪き、それを確認せず、僕は後ろを振り向く。

いつの間にか回り込んでいたらしい男が、僕に向かってナイフで突き刺そうと試みているところだった。

……ナイフなんかじゃ、僕の身体を傷つけることなんて出来るわけがない!!


「ふざけるのもいい加減にしろ!!」


その男の腹部にも蹴りを入れ、さらに横から襲いかかってくる男にも、左肘鉄を喰らわせる。

見事に三人共腹を抑えてその場にうずくまってしまう。

……けど、コイツらがおきあがったら面倒だ。


「由良、この場からいったん離れるよ」

「は、はい!!」


やむを得ない。

こうなってしまったからには……もはやこの公園に居続けるのは不可能だ。

面倒だけど、僕達の方から移動した方が確実だ。

どこか別に休めるような場所を探しに、僕と由良はその公園から走って出て行ったのだった。

……コーヒーは、ふたを開けていなかったので、ズボンのポケットの中に突っ込んでおいた。













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