48,四色対抗リレー
午後の部も結構な盛り上がりを見せ、そして競技はとうとう最終競技であるリレーを迎えた。
現在、僅差で赤と青が善戦しているという状態であった。
こんな状態なんで、結構この競技が重要となるらしい……まぁこの競技に俺が出るわけじゃないから別にいいんだけどな。
「瞬一先輩が出ないのは……少し残念です」
「そうですわね。去年の体育祭ではリレーのアンカーだったことをおじい様から聞いていたのですが……」
何故か魔術格闘部で揃っている、観客席の一角。
ちなみに、小野田・大和・北条・大地は、リレーに出場する為にこの場にはいない。
特に小野田は燃えてたな……今日こそ大和を倒すとかなんとかで。
後、気になることと言ったらもう一つ。
「……千里。今日は来てくれて本当にありがとう」
「啓介の為だもん。この位当たり前だって」
「……うう、これ以上嬉しいことなんてないだろうな……!!」
いや、もっとあるだろうに。
にしても、この二人の距離が縮んでいるように見えるのは果たして気のせいなのかねぇ?
「……羨ましいわね。私だって……!!」
「……刹那。とりあえず、そんな目で俺を見るな。なんか寒気がするだろ」
情けないな、晴信は。
たった一つの視線だけでそうなるとは……俺なんか七つの視線を感じるぜ?
しかも、その内の二つはリレーの選手達の中から感じるんだぜ?
『さぁていよいよ最終競技となりました! ここまで盛り上がりを見せてきた体育祭ですが、泣いても笑ってもこれが最後です! 準備はよろしいでしょうか? それでは……スタート!』
宮橋の実況により、選手達はスタートする。
とりあえずまずは一年生の番なので、特に見るべき点もないかな……と思ったが、なんとこの時点で赤は若干遅れをとる形となってしまった。
一番は青……千世って足速いのな。
そしてバトンは次の走者に渡る。
続いても一年生であり、その後は二年生となる。
やはり青は一位であり……走者は優菜か。
アイツも意外に足速いな……若干魔術かけてるのかもしれないが。
「赤が盛り返してきたよ!」
赤が何とか三位にまで順位を上げる。
……よし、その調子だ!
「次はいよいよ三年生……」
なんか、このリレーで体育祭が終わってしまうと考えると、少しだけ寂しいような気がするなぁ。
けど、そんなこと言ってたって仕方ないよな、うん。
「私に任せなさい!」
二年生からバトンを受け取った北条が、そんなことを叫びながら走っていく。
……おお!
「二位に浮上した!?」
晴信が驚きの声をあげる。
北条がなんとか二位にまで順位を引き上げたのだ。
ただ、青との差までは縮めることが出来ない。
「くっ……後は頼むわよ!」
「分かってるっての」
バトンはそのまま、大地の手に渡る。
大地はバトンを受け取ると、そのまま全速力で駆け抜ける!
「抜かさせないよ!」
青の走者は……早乙女か!
「ちっ……無駄に足が速いな、お前」
「無駄にとか言わないでよ……人聞きの悪いなぁ」
走りながら二人がそんな会話をしているのが聞こえてくる。
……お前ら、真面目に走れよ。
そんなことをしている内に、バトンは最終走者に渡る。
最後は……大和だよな!
「いっけぇ大和!!」
大和は足が速い。
それは誰もが知っている事実であった。
事実、青との距離をどんどん詰めていく。
そして、このリレーの勝者が総合優勝を決めるということと、この競技で正真正銘最後の競技となるという想いから、選手達のヤル気は更に上がる。
そして、最後に笑ったのは……!!
結論を述べてしまうと、リレーの一位はまさかの緑組。
俺達赤組は二位、三位が青で四位が黄色。
色別順位もこの順位となったのだった。
なんだか、納得いくようないかないような……そんな形で、今回の体育祭は幕を閉じたのだった。
次回予告
「お久しぶりです……」
「貴女……私の敵ね?」
「二人とも落ち着きなって」
「今回は貴女に譲ってあげるわ」
「かつて私は闇に堕ちました……」
「君はもう一人なんかじゃないんだよ」
「この子には……指一本触れさせない!!」
「ありがとうございます……大和君」
次回、『大和と由良』編、お楽しみに。