47,応援合戦
昼休みを迎えた後に、午後の部が始まった。
まず最初に応援合戦から始まる。
まぁ俺が出るわけじゃないからいいけどよ……毎回毎回、この応援合戦には、ネタ的なアクションを起こす奴らがいるわけで。
「とりあえず、まずはうちの色からか……」
今回は、赤→緑→黄色→青の順番だ。
ちなみにこの順番、今までで一番勝っている色から順番になっている。
つまり、赤である俺達が一位で、一番最後に応援をやる青組は最下位ということになる。
前から思ったが、この応援合戦って結構理不尽だよな……どこが最下位でどこが一位なのかがすぐに分かっちまうから。
「けど、最初が俺達のクラスか……確か俺達の色は、普通に男達のむさくるしい応援だったよな」
俺がそう呟いたのと同時に、学ランを着た男達がぞろぞろと現れてくる。
頭に白いハチマキを巻いた、そんなむさくるしい男がぞろぞろぞろぞろと……。
テレビで見る分には燃えてるなぁって感じがするけど……こうして見ると、おぞましい光景だ。
しかも中にはワイシャツのボタンを外してる奴らまでいるものだから、そんな奴らの気持ち悪い筋肉を見せ付けられるというわけだ。
……誰も見たいなんて言ってないぞ、おい。
「フレーフレーあ・か・ぐ・み!!」
「「「「フレフレ赤組! フレフレ赤組!!」」」」
……何というか、体育祭だねぇ、うん。
そんなベタな応援はおよそ数分で終わり、続いて緑組の番。
緑組はチームカラーに合わせたチアリーダー達が登場した。
……おお、なかなかに可愛い……。
「瞬一君……分かってるよね?」
「……瞬一、浮気は許さない」
「瞬一、本当に大丈夫だよね?」
「あ、あの……余計なことはしない方がよろしいですよ?」
「……俺、何か悪いことしたか?」
別に俺は踊りを見てるだけなんだがな……何故に女子四人に責められなければならない?
しかもさり気に遠くから三つの視線を感じるし……何が起きた?
「……現在瞬一を悩ませてる贅沢な悩み、ここに」
「嫉妬感じるなぁ……一人俺にくれよ」
「大丈夫だ。お前はすでに女が一人いるから」
横では、晴信と大地によるそんな会話が聞こえてくる。
……確かに、晴信はすでに刹那から想われているというのに、その想いに気付かないとは……なんて鈍感男なんだ。
「「「「お前が言うな」」」」
「何でお前らが声を合わせて言う?!」
男子達(晴信・大和・大地・啓介)に、同時に言葉を頂戴する。
……そんなことをしている内に、緑組の応援が終わった。
続いては、黄色組だが、黄色組は無難に、流行の歌の替え歌というものだった。
確かこの歌は……ガル○モの……。
「って、替え歌じゃねえじゃねえか!!」
歌詞そのまんま歌ってるし……どうすんだよ。
音声が流れてないから著作権とか気にする必要はねぇが……もしこれが音声化されてたとしたら、確実に訴えられてたぞ。
危ないからこのまま黄色組の応援を終わりにすることにしよう。
さて続いては青組の応援だが……。
「……何これ?」
何か、ふんどし着た男達が登場してきた。
うわぁ……さっきの赤組の応援よりも気持ち悪い。
「みんな……やらないか?」
やらねぇよ。
思わず心の中でそう言葉を返してしまった。
そして、男達は構える。
同時に、曲は流れ出す。
『♪~やらないか?』
だから、やらねぇよ。
これはアレか?
ちょっと前に有名になった、例のあのダンスか?
高校によっては文化祭やら体育祭やらでやるという、あの踊りがついにこの学校にもやってきたのか!?
……ヤバイ、これはある意味で、ヤバイ。
「……瞬一、ああはならないでね」
心配するな、葵。
頼まれたってやらないから。




